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キャリアコンサルタントの学び

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#最近の学び

理論概要④ カウンセリングの誕生と発展

理論概要④ カウンセリングの誕生と発展

カウンセリングは社会的・経済的な変化を受けながら発展してきましたが、その主なルーツは1900年代前半のアメリカにあります。①職業ガイダンス運動、②心理測定運動、③精神衛生運動、という3つの社会的な動きです。

1.3つのルーツ①職業ガイダンス運動「職業指導運動の父」といわれるパーソンズの職業相談です。
 
19世紀末のアメリカでは、急速な工業化にともない経済的な発展が進む一方で、大規模な移民流入、

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小話① なぜキャリア「コンサルタント」なのか

小話① なぜキャリア「コンサルタント」なのか

ちょっと寄り道にそれて、もう一つ私が気になっていたことについて。
なぜキャリア「カウンセラー」ではなく、キャリア「コンサルタント」なのか、という疑問です。

カウンセラーもコンサルタントも相談にのるという趣旨では同じかもしれませんが、問題へのアプローチ方法や使用するスキルがまったく異なります。
私はスタートが中小企業診断士=企業コンサルタントのため、最初はその違いに非常にとまどいました。(*1)

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理論概要③ 経営学におけるキャリア理論(HRMでの位置づけ)

キャリア発達の理論は、産業・組織心理学においては人事心理学の中にあり、経営学では人的資源管理(HRM)システムに組み込まれています。

その深い関係性について見ていきたいと思います。

1. 産業・組織心理学と組織行動論の関係性人事心理学とHRMは、その対象領域がほぼ同一ですが、同一学問ではありません。
前者が基礎科学であるのに対し、人的資源管理論は組織に資する管理制度構築のため人事心理学の知見を

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理論概要② 人事心理学におけるキャリア理論

理論概要② 人事心理学におけるキャリア理論

人事心理学のキャリアに関する理論は、職業心理学(*1)からの流れと組織心理学からの流れがあります。

1. 職業心理学の成立職業心理学については、コロンビア大学のキトソン教授が、1925年に「職業適応の心理学」を出版したのが始まりです。「職業指導の熱烈な主張者であり擁護者」だったそうです。
彼の著作が、心理学を用いて職業指導を解説し、職業適応を論じた最初の総合的著作とされています。

このキトソン

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もう少しだけ深く学びたい、キャリアコンサルティングについて

もう少しだけ深く学びたい、キャリアコンサルティングについて

キャリアコンサルタントの養成スクールで学んでいた時、感じていたこと。

その一 理論の全体像や、各理論の位置づけがわかりにくい!

多種多様に理論家の名前やら学説やらが出てくるのですが
とにかく羅列されている情報を覚える、という感じ。
資格試験で学ぶレベルだと体系的に整理されていず、全体像が見えないんですよね。

キャリアコンサルタントとして何をどう整理して消化すべきなのか
知っておけばいいレベル

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理論概要① 産業・組織心理学におけるキャリア理論

理論概要① 産業・組織心理学におけるキャリア理論

キャリアに関する理論は、社会学、経営学、経済学など多分野にわたって学際的に研究されてはいますが、やはり心理学においてその蓄積があります。

まずは、応用心理学の一つである産業・組織心理学を取り上げます。​

1.産業・組織心理学の系譜産業・組織心理学は、組織における人間の行動や態度を研究し、人間と組織のより望ましい関係性を探求する学問です。
そして組織の側と個人の側のどちらに力点を置くかで、揺れ動

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