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無題

社会人になり、勤続年数が11年目になった。

とある会場の運営責任者・リーダーに任命されたのは、入社して2年目のこと。
時間管理・人員配置・飲料管理・クレーム対応など、先達はなく、「私達も勉強するから、一緒に頑張っていこう!!」『貴方は出来るから』と上司に言われた。

なぜ私が選出されたかといえば、「常識人」だったからだ。
私は、そう育てられたから、それ以外の道を知らなかった。

●挨拶は欠かさない。
●業務内容は先輩・上司の姿を見て盗む。
●先輩・上司が働きやすいよう、気を配る。
●繁忙期には予定を組まず、盆も正月も働く。
●新入社員には、順序立てた教育を行う。
●自分のロッカーは整理整頓する。
●積極的に先輩・上司の仕事を手伝う。
●決められた当番を守る。
●勤務時間を守る。
(どうですか?人材派遣会社が謳い文句に掲げるに相応しい内容。人事も、こういう人間を求めている。)


薄々気付いてはいた。
専門学校(わざわざ金を払って勉強しにくる学生しかいないはずの空間)でも、『進学も就職もできずとりあえず資格取りに』来たようなヤンキー崩れがいたり、ハロゥインや年越しに騒ぎまくった挙げ句、散々ゴミを散らかして消える人種がニュースになったり、「常識人」とは到底呼べないニンゲンがこの世には多くいるのだということ。
(そも、世界規範に則ったニンゲンだけなら、世界に貧困や暴力は存在しないからね)
そして、私は「なんでこんな簡単なことも出来ないんだろう」といつも思っている。

今になって、共働きの両親に、介護の必要な祖母・介護する祖父、幼い弟ふたりのいる家庭で育ち、炊事・洗濯・掃除を当たり前に手伝ってきた人生、これがアダルトチルドレンと呼ばれる、庇護すべき子どもだったという認識がようやく出来る。
私にとっては、ニンゲンは、生きるとは、こういうことで、誰もが助け合わなくては、と無意識ながら思ってきたので、まさに今、改めてニンゲンの愚かさに呆れ果てているところである。

先の通り、本来人事が喉から手が出るほどほしいであろう人材になった私。
今は、さらに上の役職を任されている。
ただしこちらも、先達はなく、「何かあったら遠慮なく言って!!」『貴方は出来るから』という上司が、別部署にいるのみだ。
部署の人員はほとんどが私よりも年上で、人口減少による働き手不足になる前、潤沢に資金も人員もあった時代を過ごしてきたメンバー。また、高齢化によって体力は低下し、医者通いが増え、意識が凝り固まって、パソコンも使えない。
私個人としては、いくつになっても新しいことには柔軟でありたいし、体力が衰えても金が欲しいなら座学はなおのこと必要だと思っている。これも、「勤勉さゆえだよ『貴方は出来るから』」と言われると、「なぜニンゲンはそれができないの?」と堂々巡りだ。

結局、事務業務も会議への参加も、現場での人員配置もクレーム対応も、全部ぜんぶお鉢が回ってくる。
『貴方は出来るから』
それを免罪符に、みんなが楽をしたいだけではないのか?出来る人に、全て任せているだけではないのか?

「常識人」は、そんな怠け者を飼うために生きている訳じゃない。


こんなnote書いているニンゲンが、接客業だなんて、やっぱり世の中の誰も彼も信用しないほうがいいですよ。