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ADHDの人とうまく仕事を進めるための4つのポイント

「ADHD」と検索窓の入力したら、「迷惑」という言葉が予測入力された。

いろいろと読んでみると「同僚がADHDで仕事ができない」「教えても理解してくれない」みたいな内容が多かった。

ADHDはじめ、発達障害を持っている人と一緒に仕事をしている定形の方はきっとイライラしていると思う。普通の人なら通じることがまるで通じない、作業がいつまで経っても終わらない、失敗ばかりしている・・・。

そんな「ADHDの同僚・部下に困っている方々」がストレスなく仕事を進めるために、ADHDをどう扱えばいいか、ということについて考えてみました。

(注:私はADHDを持ってますがASDつまり自閉傾向は低いタイプです。ADHDでもASDがメインのタイプとは少し違っているかもしれません。ご容赦ください。)

ADHDと仕事をする上での大前提 ー回路が違うー

ADHDの思考回路は、一般的な普通の人の思考回路と違っています。iPhoneとAndroidみたいな感じです。

ネットもラインもインスタもできるんだけど、Androidは◁の「戻る」ボタンが下の方についているのに対し、iPhoneはブラウザの上のほうの←で「戻る」みたいな感じです。

どっちも結果として大体似たようなことはできますが、iPhoneを使っていて、Androidを使っている人に「なんで◁の戻るボタンで戻れないの?」と言われても、できないものはできない、ないものはない、としか言いようがない。という感覚に近いかと思います。

なので、仕事の指示の仕方や教え方を変えないと、上手く伝わらないし理解できないというのがADHDだと思います。

①ADHDと仕事をする上で絶対やってはいけないこと

ADHDと仕事をする上で絶対にやってはいけないことの1つ目は、「叱る」ということです。

怒られたら傷つくとか、可愛そうとかそういう情緒的なことではないし、発達障害者の人権侵害だ、パワハラだと権利主張をしたいわけではありません。

ADHDは、目の前の人が怒っていると自分が「怒られている」という事実で頭がいっぱいになってしまって、他のことは一切頭に入ってこなくなるからです。

ADHDは脳の作業領域、ワーキングメモリが少ないと言われています。どういうことかというと、作業するためにある脳内の作業机の面積が普通の人よりかなり小さいと考えていただければいいと思います。

あと、強く印象付けられたことに「こだわってしまう」という特性もあります。

作業机の面積が小さく、その上こだわりも強いため、上司や同僚から怒られると「怒られた」という字が書かれた付箋が机の上を埋め尽くしていく感じなのです。

なので、相手が何に対して怒っているのか、怒っている原因は何か?といった肝心なことは一切、頭に入ってきません。

私も若い頃によく鬼上司に叱られましたが、

「うわぁあああ!!!!怒ってる!!!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁああ!
もう帰りたい!!!!!」

という考えで脳内が埋め尽くされるので何ら生産性がありません。

早く仕事を終わらせたければ、ADHDを叱らないほうがいいと思います。叱ってもなんの解決にもならず、むしろ脳内がシャットダウンされてしまうので伝えなければならないことは一切伝わりません。

なので怒らずに、伝えたいことを簡潔に伝えることが大切です。

②ADHDにはさせないほうがいい仕事

ADHDの脳内は、常にいろんなアイデアや思考がとめどなくポップアップされているようなものです。

着信やラインなどスマホはいろんな通知が届きますよね?あんな感じで頭の中で年がら年中四六時中通知が届きまくるのがADHDの脳内です。

自分が楽しい、面白いと思える仕事でないと集中力を維持するのがとてもむずかしいのです。で、飽きちゃったなーと思うと脳内のポップアップ通知が気になり始めて、思考は明後日の方向に行ってしまいます。

なので、私は伝票を書き写す、郵便の宛名を書く、などの単純で正確さを要求される作業は苦手です。

手書きの伝票は1枚仕上げるのに3回位書き損じするし、郵便の宛名は住所や名前を間違えないように1文字ずつ確認しなければいけないので、だいたい人の3倍くらい時間がかかります。

なので、私の場合は仕事を手伝い合っている同僚に「私、字が汚いから代わりに書いてもらえないですか??」って頼んで、書いてもらっています。

(その代わり、専門知識が必要な仕事だったり、相手と折衝したりするのは得意なのでそういう仕事は私が代わりにやっています。)

単純で、なおかつ正確性が要求される仕事はADHDにさせるとただただ時間がかかるだけなので、他の人にしてもらうのが望ましいと思います。

③ADHDに仕事を指示するときに配慮をお願いしたいこと

ADHDは「実行機能」と「報酬系」と呼ばれる脳機能が上手く働いていないと言われています。

「実行機能」とは、指示されたことに優先順位をつけたり、ある作業をしながら他の作業をしたりすることです。

「報酬系」とは、満足感や達成感を得ることです。

この2つの機能が不十分なので、「なんのためにその作業をやるのか」「なぜこのやり方でやる必要があるのか」「どうしてこれはしてはいけないのか」ということが予め理解できていないと、指示された仕事を最後まで達成することができません。

なので、仕事を指示する場合は

①その仕事の目的やゴールイメージをまず伝える
②指示しようとしている仕事の全体像を伝える。
③やり方や手順が決まっている場合は、そう決まっている「理由」を教える
④やってはいけないことがあれば、その「理由」も教える
⑤(可能であれば)やり方・方法はあまり細かく指示せず、本人のやりやすい方法に任せる

というようにしていただけると大変ありがたいです。

どうなったら良いのか、何が目的なのが、この仕事になんの意味があるのか、が理解できないと仕事に関心が持てません。関心が持てないと脳内の絶え間ないポップアップ通知に気を取られ、集中して仕事をすることができず、仕事を完成できません。

関心がないことができないなんて、子どもと同じじゃないかと思われる方も多いと思いますが、事実、興味のないことは本当にできないので、そこはごめんなさいとしか言いようがありません。

ただ、「自分の任された仕事は、こういう目的があって、このあとの工程でこういうことに使われるんだな。」という全体像さえ見えれば、興味をもって仕事をすることができます。(基本的に好奇心は旺盛で、人の役に立つことは好きなので。)

あと、あまり細かい指示を出されるのも苦手です。ただでさえ同時にいろんなことを考えるのが苦手なのに、あれやこれやと細かく言われると「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」という思考で頭の中がいっぱいになってしまうのでどっと疲れてしまいます。

思考が独特なので、自分がやりやすいやり方も普通の人からみれば結構独特かと思います。しかし、「絶対やらないといけないこと」、反対に「絶対にやってはいけないこと」以外であれば、本人にある程度任せて自由にさせてもらえると嬉しいです。自由度ゼロになると窒息してしまいます。

④誤解を防ぐため、確認のためのチェックリストを活用

ADHDは脳内が常に多動で、なおかつ脳内の作業領域もすごく小さいため、指示されたことを忘れてしまいます。

同時作業ができないので、メモを取ることもとても苦手です。

なので、チェックリストの活用をオススメしたいです。

例えば配布資料の準備であれば、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□必要部数【   】 部
□コピーした資料に抜けがないか
□1部ずつホッチキスで止める
□封筒に入れる
□会議室の机の上に並べる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こんな感じで手書きのメモでもいいので、指示した方、指示された方双方に誤解がないようにチェックリストを活用するのが良いかと思います。

(はじめは指示する側がチェックリストを作らなければならないと思いますが、なれてきたら指示された側(ADHD側)に作ってもらって、その内容で間違いないか確認すれば手間もないかと思います。)

私はルーティン業務についてはエクセルでチェックリストを自分で作って、それを使って自分でチェックしながら仕事をしています。なので、ADHDではありますが、大きなミスや致命的なミスは防げています。

☆  ☆  ☆

ADHDは思考方法・思考回路に独特さがありますので、理解する過程や興味の持ち方が定形とは異なっています。

しかし、理解できないわけではなくて、むしろ無意識に近い「地下水脈」のようなバックグラウンドでずーっと理解しようと考え続けています。

全体像が理解できれば、そこからはバーっとつながっていくので応用もできますし、「こっちの方法のほうがいいんじゃないか?」などのアイデアもわいてきます。

ただ、入り口の部分、「理解するための最初の伝え方」をちょっとだけアレンジしてもらえたらとっても助かります。

「ADHDの同僚・部下のせいで」仕事が進まないストレスが、少なくなるといいなと思って書かせてもらいました。



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