会社の向かうべき方向の言語化とデザイン
会社のビジョンやミッションステートメントについて社内にどう伝えていくかを悩んだことはないでしょうか。会社や組織が成長していく中でうまく伝えていかなければならないことでありながら、その方法はたくさんあると思います。
前回10周年時には株主やパートナーさんも呼んだりして物理的に集まることができましたが、今年15周年では、COVID-19の影響にも鑑みて物理的に集まりはできないものの、成長していく会社と共にのミッションステートメントをアップデートして、それをみんなで共有する方法を検討していました。
向かうべき方向を言語化する必要性
創業時、「タイムデザイン」という社名には、旅行する人たちの時間(タイム)を素晴らしいものにする(デザイン)ことを意味づけていました。提供しているサービスも唯一無二のものであり、バリュープロポジションも明確。特段これ以上にビジョンやミッションステートメントを定義しなくとも我々の存在意義は共有されていました。
15人、20人と社員が増える中でも、社内メンバーと直接一人一人と話せるくらいの人数までは、だいたいそれぞれの業務内容は負荷の具合を肌で感じることができて。よく言われる「30人の壁」を超えても部長とのコミュニケーションを密にすることによって全体把握とメッセージ発信はある程度うまくいっていました。でもそう思っていたのは私だけだったのかもしれません。
以前からあった課題なのでしょうが、そこにCOVID19に伴うリモート中心の働き方が、見えにくい状況を進めていきました。ついには社内から「会社の向かっている方向性が見えにくい」という声をもらって何もしないわけにはいかないなと危機感を持ちました。
我々の向かうべき方向性の言語化が必要でした。
ミッションステートメントをアップデートする
言語化といっても、いきなり降って沸いたような言葉が伝わることはありません。誰かの心に響く言葉には、いつも何か物語(ストーリー)のような側面があると思うのです。創業の原点を振り返りながらも、自分たちの目指す姿をストーリーにして伝えたいと思いました。
私たちの創業原点にあるキーワードは「課題解決」「創造」「互助」があります。詳細は省きますが改めて会社名と掛け合わせて「課題解決のための創造」=「デザイン」と意味付けました。
そこから言葉を膨らましては絞り込み、本質はどこにあるかを研磨していきました。
「何のための会社は存在するのか?」に答えようとすると、詳細かつ具体的に何時間でも語れるし、コンセプト的に凝縮したものを数秒でも語れます。
ミッションステートメントは凝縮をしていく中で定めていきました。会社名にかけていた思いも、これまでのタイム=「お客様の時間」から、タイム=「時代・未来」と、会社の成長に合わせて概念を転換し、下記としました。
私たちが今世界のホテルや旅行業界でやっていること、これからも続けていくことそのものです。
言葉にデザインを吹き込む
この言葉をどのように共有するのが良いか。
新しい働き方が当たり前になり、多くのメンバーがリモートワークしています。もちろん出社しているメンバーもいます。働く環境が離れていたとしても、手に触れられるもの通じて、ミッションステートメントのアップデートを共有したいと思いました。
本当に幸運なことにも、前々から交流のあった我々の良き友人であり、NハリやALOMSTBLACKなどのアパレルを手がけるデザイナーの中嶋さんにパーカーの制作を相談すると、快く引き受けてもらえました。
彼らはこれまでの私たちの15年を見守ってくれていて今回の目的を説明すると数週間後にデザインの方向性について連絡をくれました。
その内容は素敵でした。
前面に「TIMEDESIGN」、後面に「15」と「DESIGN THE FUTURE」が配置されていた。文字は白糸の刺繍。パーカーはコーポレートカラーの藍色。
それをパーカーの表と裏に配置されたテキストの塊にも「過去・現在・未来」「創業メンバー3人」「タイムデザインメンバーとパートナーと顧客」と、隠れた意味を持たせていて、それらは前面と後面が少しずつ重なり合わせた配置をとることで、それぞれの関わり合いをミッションステートメントと共に表現してくれた素晴らしいデザインでした。
また、デザイン背景を聞いて、やっぱり素晴らしい仕事の裏側には素敵なストーリーが存在するのだと思いました。ビジネスもアパレルも他の仕事もこれは同じなのかもしれないですね。本当にありがとう。
完成したパーカーは梱包し、Zoomで開催する全体会議の前までに間に合うようにリモート中の社員自宅へも配送しました。みんなで画面で記念撮影できて良かった。
ミッションステートメントを基に、それぞれの仕事領域がクライアントやユーザーの課題解決のための創造を通じて時代を作っているという認識を持ち、ほこりを持って進んでいきたいと思っています。
今回創ったミッションステートメントをいつかまたアップデートする日が来るかもしれません。その時までにまたそれにふさわしいストーリーを語れるような会社を目指し続けたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございます。
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