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「浦和レッズ三年計画を定点観測」~#20.2020 J1 第15節 vs鳥栖 レビュー&採点~

昨年の対戦と同様、お互いが自分たちのやりたいことをぶつけ合い、スコアが動く試合となりました。
ゴールシーン以外にもお互いに決定機がいくつかあり、感情の起伏が大きかったなと。

試合前のトピックスとしては
スタメンで左SBに岩武が入り、柏木が横浜FC戦以来に起用されたことでしょうか。
ただ、結果としてはこの2人がそれぞれ失点に絡んでしまい、どちらも途中交代と、次のチャンスにつながるような爪痕は残せなかったかなという感じでしょうか。

試合の流れ

最近レビュー動画を作るほどの時間が取れず、試合の流れにはあまり触れていなかったので、今回は採点の前にサラッと全体を振り返ろうと思います。

鳥栖はキーパーの高丘を含めてビルドアップを行います。
この時にボランチの松岡が浦和の2トップの間に立ったり、梁のサポートを伴ってボールをサイドに散らしたりと、浦和にプレッシングの基準点を作らせないようなポジショニングをしてきました。

また、幅を取る両SBも浦和の中盤ラインを越えた位置でボールを待つので、ここにボールが入った時には浦和はSBが縦スライドで対応することになり、4-4のブロックを配置で動かすように仕向けてきました。

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◆ キーパーを加えた3vs2によって作った優位性を活かした先制点

鳥栖の先制点のシーンはキーパーの高丘を加えて浦和の2トップに対して3vs2の数的有利を作ったことと、それを活かすポジショニングから生まれました。
このシーンは是非、11:20あたりから右CBの原に注目して頂きたいと思います。

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エドゥアルドがボールをゆっくり運んだが、浦和がスライドして前進させなかったことで、ボールを高丘へ下げます。
この時に松岡が2トップの間を意識したポジションを取っているので、ボールサイドの興梠はエドゥアルドに対してプレッシングして、パスに対して二度追いする形で高丘まで出て行きますが、レオナルドは中央から動くことが出来ません。

さらにエドゥアルド→高丘とボールが渡っていくところで、原がバックステップをしてサイドまで開いてレオナルドや関根から距離を取ります。

松岡がレオナルドを留めている状態かつ、ボール保持者がライン際にいますので、ここに対してのプレッシングは関根が行うことになったのですが、
原が関根から距離を取っていたため、前向きに余裕をもってボールを受けてプレッシングに来る関根を観察しながらプレー選択することが出来ました。

このようなボールを受けるまでの準備や、
受けてからしっかり顔を上げて前を向いて相手を観察してプレー選択すること
こうしたことが鳥栖のビルドアップ隊は当たり前のように出来ています。
それだけでも、鳥栖の金明輝監督がサッカーの基本に忠実なプレーを選手たちに植え付けていることがうかがえます。

サイドの選手への岩武の対応のまずさもありましたが、
このシーンでは、鳥栖のボールを大切に扱って前進させるための動きを紹介させていただきます。
是非、DAZNで動画で確認してみてください。


◆この試合も狙いは中盤の背後

浦和のボール保持で狙ったスペースは鳥栖の中盤の背後スペース。
最終ラインでボールを持っている時には関根、興梠、柏木がこのスペースにポジションを取ります。
これまでの試合と少し違ったのは右SHが柏木だったこともあってか、興梠が関根のサイドに顔を出す機会が多く、それによって関根が本来得意とする外側のエリアでプレーをする時間が増えました。
これは前回柏木がスタメン出場した横浜FCでも見られた現象ですが、
レオナルドが1トップ、もう片方のFWと柏木がシャドーのようなポジションを取って、お互い狙うエリアが被りにくい配置になりました。

また、最終ラインは青木、柴戸が鳥栖の2トップのポジションを見つつ、
どちらかが1列降りたり、0.5列降りたりしてCBをサポートして数的有利を作ってボール前進を図りました。

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そして24:50に訪れた興梠の超決定機はビルドアップの構造を素早く作ったところから生まれます。

24:25で関根が左サイドからカットインを仕掛けますが鳥栖の選手が人数をかけて関根の前を塞いだことで、こちらのサイドからの突破をやめます。
左サイドでサポートに入った柴戸から右サイドの橋岡へプレーエリアを変えるボールが出ます。
このボールが橋岡にとって後ろへのボールだったことや樋口のプレッシングが早かったことから、橋岡はデンへバックパスをしますが、
その前の局面でサイドまで流れて守備対応をしていた金森が中央まで戻り切れていなかったので、柴戸がすかさず2トップの間に0.5列降りる形で覗いてボールを受け、ターンして一気に鳥栖のボランチの間を貫くボールをレオナルドまで届けました。

レオナルドの対応にエドゥアルドが出て、原がそのカバーリングをするために動いたことで、
原の背中を興梠が取ることが出来、レオナルドもエドゥアルドが寄せてきた力を利用してターンして興梠へボールを流して決定機になりました。

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ボール前進が詰まっているサイドから逆への展開、
それによって空いた中央のスペースを見つけてボールを引き出す、
相手のアプローチを交わすようなターンから鋭い縦パス、
柴戸が今の浦和にボール前進に欠かせない選手になっていることがよくわかるシーンだったと思います。


◆相手が攻め残っている隙を一気に突いた同点弾

ハーフタイムで鳥栖が選手交代を敢行します。
左SHを本田から小屋松に変更し、ピッチ中央でのプレーが得意な選手からサイドでの突破が得意な選手へキャラクターが変わりました。

そして、早速47:10にライン際にポジションを取った小屋松にボールが入ります。
柏木の背後で小屋松がボールを受けたので、対応するのは橋岡になりますがここで潰しきることが出来ず、
さらに柏木も対応している橋岡を傍観しているだけで、橋岡が出て行ったスペースをカバーリングをしていなかったため、
小屋松が橋岡と柏木を振り切り一気にドリブルで切り込んでグラウンダーのクロスをDFとGKの間のスペースへ送り込みます。
スペースへ走り込んだ金森にはぎりぎり合わず、ここは西川がボールをキャッチし難を逃れました。

鳥栖が一気に縦にスピードアップして攻めたことで、組織全体が縦に間延びした状態だったこともあり、西川→槙野→関根と早めにパスをつなぎ、急いで森下と松岡が関根に対応しようとしたところで、関根も興梠へ素早くパス。
興梠は一旦外に流れる、関根は興梠が元居たスペースへ走り込んで再びボールを受けて相手を少し交わしてすぐにシュート。
外に流れていたはずの興梠がスルスルと中に戻ってきてシュートのこぼれ球を押し込む。

47:27に西川が槙野にボールを出して、最後に興梠がシュートしたのが47:47。
鳥栖のビッグチャンスから一転、わずか20秒でゴールを陥れました。


◆セットプレーから元のポジションに戻れずに失点

浦和が左サイドから攻めて、岩武から関根へのスルーパスが流れた後に、鳥栖がすぐさま攻撃に転じ、コーナーキックを獲得します。
58:02に原川が蹴ったコーナーキックをはじき返しますが、すぐさま鳥栖に拾われ、ここからボールを奪うことも切ることも出来ませんでした。

この状況でのポイントは右SBの橋岡がコーナーキックでの守備ではファーサイドを担当していたため、浦和の右側からのコーナーキックだったこの場面では自分のポジションと逆のサイドにいる状態だったこと。

このままボールが切れなかったため、橋岡がいるはずの場所は流れで興梠が見ることになりました。この時に橋岡は岩武の外側にいます。
そこから少しだけ鳥栖がボールを後ろ方向に出したタイミングで、興梠は中盤にポジションを上げますが、相変わらず橋岡は左側にいるので今度は柴戸が右SBとして振舞います。

この時に柴戸の場所を興梠が埋めるような形になりましたが、
鳥栖は左サイドの大畑、小屋松に加えてボランチの原川、さらには本来逆サイドのはずの樋口まで加勢し、局面では3vs4の状態。
ここで浮いた樋口がシュートを放ち、こぼれ球を拾った林が押し込み、再び鳥栖がリードします。

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コーナーキックをはじき返しから一度の浦和の選手がボールを保持したり、外に蹴り出したりするチャンスを得られず、結果的に橋岡が逆サイドに残ったままプレーが進んでしまい、右サイドには決して守備が得意ではない選手で対応せざるを得なくなってしまいました。

コーナーキックをはじき返した後は一旦浦和の左側に展開されたので、一番近いサイドにいた橋岡が対応するのは自然な流れだったと思います。
また、興梠が気を利かせて右SBの位置に誰もいないときには自分が入り、柴戸が入った時には柴戸が本来いたポジションへ入っています。

勿論、ここでそれぞれが臨時ではあるけれども、流れで入ったポジションを全うできれば良かったとは思いますが、やはり選手個々の特性があるので戻せるタイミングがあれば定位置に戻すことが出来ればよかったのかなと思います。
ただ、それがどのタイミングだったのか、そもそもこの場面では戻すタイミングがなかったのかは私にはわかりません。(誰か教えてください)

こぼれ球を拾ってからボールを保持して攻め切った鳥栖を褒めるべきかなとも思います。

◆飲水タイムでのポジション変更がもたらした同点弾

62分に浦和は右SHを柏木から武藤に交代します。この時はそのまま武藤が右SHに入りましたが、
70分からの飲水タイムで武藤と関根が左右を入れ替わります。

80:45に全体が左上がりのようなポジショニングになり、岩武が相手の中盤ラインを越えた位置で槙野からパスを受けます。
ただ、ここは槙野が鳥栖の右SHの樋口を引き付ける前にボールを離してしまったため、岩武にボールが届いた時には樋口が対応できてしまいます。

しかし、今度は武藤が樋口と森下の中間にポジションを取りながら近づいて密集を作った上で、ここから離れながらボールを引き出して一気に広いスペースへ脱出します。
ここからのシュートは圧巻。斜めの位置から見事な内巻きでした。

飲水タイムでの配置転換と、槙野が相手を引き付けずに数的有利を引き継げなかったツケを見事に清算した武藤。彼の機動性が活きた得点でした。

得点になったので結果的は問題になりませんでしたが、
チームのプレーコンセプトとしては槙野は運んで樋口を引き付けて、岩武との2vs1を作ってからボールを離したい場面でした。

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ちょっと駆け足ですが、試合の大まかな流れでした。

それでは、採点に行こうと思います。
改めて、この定点観測の採点についての説明記事を載せておきます。
この試みに賛同いただける方は是非次節以降のアンケートにもご協力をお願いします!


採点結果

Q1.<保持/非保持 共通>個の能力を最大限に発揮していたか?
→ 3点 (アンケート:2.3点)

レオナルドと組んだ時の興梠は果たして能力を最大限に発揮できているのかというのがここ数試合の悩み事かなと思います。

こちらの記事に彼の言葉が掲載されていますが、最も得意なゴール前の局面ではなく、そこへボールを運んでいく局面でボールに関与することが増えています。

なるべくピッチ中央かつ相手のCBとの駆け引きに集中したいレオナルドと組むことになると、必然的に2トップの相方がその周りを衛星のように動くことになります。
今の興梠はどちらかといえばレオナルドが行っている役割をする方が得意なわけで、
レオナルドの役割を調整するのか、この2人の組み合わせはやめるのか、どちらかをしてあげないと興梠の能力は最大限には発揮されないのかなと思います。

また、柏木についてもSHに入るとどうしても守備での機動力の物足りなさが目立ってしまいます。
興梠の同点ゴールの直前のピンチや、2失点目のサイドで数的不利になってしまった時の振舞いを見ると、攻守を切れ目なく行うために必要な守備での強度が足りていないなと感じてしまいます。

例えば4-2-3-1のトップ下の位置で、なるべく守備での負担を減らすような起用をすれば柏木も活きるのかもしれませんが、
そうなると今の浦和の2トップに課されている前からのプレッシングは捨てなければなりません。

ボールを持った時に見えている場所やそこへ出せる技術はJリーグの中でも屈指だと思いますが、それを組み込む構造は今の浦和にはないのかなと。

今後、どれだけ出場機会が増えるか分かりませんが、柏木が入ることによって生じるメリットとデメリットは対戦相手のキャラクターとの兼ね合いを含めて考えていく必要がありそうです。

Q2.<保持/非保持 共通>前向き、積極的、情熱的なプレーをしていたか?
→ 4点 (アンケート:2.5点)

クラブの公式Twitterでも出ていましたが、試合終盤でのボール奪取にも象徴されるようにこの試合での関根からは情熱を感じますし、
興梠が少し左寄りにプレーしたことで関根が得意な場所でプレーしやすくなったことで、前向きにプレーする機会が増えていました。

ボール保持ではこの試合でも前にボールを刺し込む意識は高かったので、ビルドアップからのボール前進は積極的だったと思いますが、非保持の場面では、鳥栖のポジショニングによってなかなかプレッシングが機能しなかったのでその部分についてはマイナスかなと思います。

Q3.<保持/非保持 共通>攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをしていたか?
→ 2点 (アンケート:1.7点)

攻撃と守備という局面がはっきりした試合だったかなという印象です。
ボールを奪われた時には、すぐに奪い返しに行くというよりは自分たちのバランスを整えることを優先していたとように見えます。
そのため、奪われたボールをすぐに奪い返して攻めなおすというシーンは出てこなかったかなと。

逆にボールを奪った時には前向きに出て行こうとするシーンがありましたが、ここは鳥栖もすぐに奪い返すよりは自分たちのバランスを整えようとする意識が高く、トランジションの直後はお互いにバランスを整えて一休みという展開だったように見えました。

Q4.<保持>運んだり、味方のスピードを活かしたりしていたか?
→ 2
点 (アンケート:1.8点)

「運ぶ」に関しては試合の流れの振り返りで、武藤のゴールの手前のシーンでは本来は運ぶべきだったと言及したように、まだまだ表現しきれていないかなと思います。

ただ、前節に引き続き槙野も運べているシーンが少しずつ出てきているのも事実です。
53:13はゴールキックから始まります。ゴールキックのスタートが中継で映っていませんが、引いた画角になった時には槙野が顔を上げてボールを少しだけ運んでいます。

ただ、せっかく少しだけ運んでいでいましたが、槙野がボールを離すのは早かったですし、岩武も槙野がボールを運ぶのに合わせて自分も同じ距離を保って前に進むことが必要でした。
対応する右SHの樋口からすると自分の視野の中に槙野も岩武もいた状態ですので、岩武は樋口と同じラインか、ラインを越えた位置に立って樋口の視野から外れて、槙野はボールを運んで樋口の意識を自分に向けさせて岩武をフリーにしてあげられると良かったかなと思います。

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Q5.<保持>数的有利を作っていたか?
→ 3点 (アンケート:1.8点)

試合の流れのところで柴戸や青木が下りて相手の2トップに対して数的有利を作る動きはご紹介しました。
ビルドアップの起点については数的有利を作れていたと思います。

しかしQ4の運ぶプレーに関する動きはまだまだのため、起点で作った数的有利をその次の局面へ継続していくところは出来ていなかったかなと思います。

Q6.<保持>短時間でフィニッシュまで行っていたか?
→ 4点 (アンケート:2.0点)

3:25の自陣でボールを奪ってからのカウンターでレオナルドがシュートしたシーンや
24:50の柴戸が縦パス→レオナルドがスルーパス→興梠の決定機など、
シュートまで行けたようなシーンでは、一度後ろから前へ縦パスが入るとそこからスピードアップして一気に攻め切りたいという意識が表現できていたと思います。

単純に個人の能力が鳥栖の選手と比べれば浦和の選手の方が高いというのもあったと思います。
ただ、相手の中盤背後で2トップとSHを待たせているので、そこにさえボールが入れられれば一気に行けるぞという意識が持てているのは良いのかなと思います。

Q7.<保持>ボールを出来るだけスピーディに展開していたか?
→ 3点 (アンケート:1.5点)

ボールはなるべく早く前進させたい。
ただ、前が塞がれて一旦ボールを下げた時に次の主戦場をどこにするのか、ボールを動かしたときに自分たちの使いたい場所をいかに空けるか、
というポジショニングやボール保持者のアクションは体系化までは言っていない感じですね。

何度も書いてしまいますが、24:50の興梠の決定機に至るまでのところでは柴戸が一旦逆サイドに振って、相手のスライド(中央への戻り)が遅れたのを見逃さずに素早く展開出来ているシーンもあるので、
こうした前が詰まったら大きく逆サイドへ振って相手にスライドを強要し、穴が出来れば使うという流れの再現性が高くなると、
ボールを持てる、持たされるようになっても上手くボールを前進させられるようになるかなと思います。

Q8.<非保持>最終ラインを高く、全体をコンパクトにしていたか?
→ 3点 (アンケート:2.0点)

ここ最近のとにかく前から行くという形のプレッシングではなく、ミドルゾーンでブロックを作ってバックパスに対して前に出て行くというやり方でしたので全体の間延びは抑えられていたと思います。
ただ、決して高めにライン設定をしていたわけではないので3点にしました。

Q9.<非保持>ボールの位置、味方の距離を設定して奪っていたか?
→ 2点 (アンケート:1.8点)

鳥栖が幅を取ってくるものの、大きなサイドチェンジはあまり使わなかったことから、ボールを左右に振られてもスライドで対応できる場面が多かったかなと思います。
そういう点では味方同士の距離が変わることは少なく済みましたが、
そこから「奪う」というアクションはなかなか出なかったのかなと。

サイドのように相手の選択肢を奪いやすいボールの位置になっても、なかなか味方同士の距離を詰めてボールをそのエリアの中に閉じ込めて奪いきるようなシーンは出てきませんでした。

Q10.試合全体の満足度は?
→ 3点 (アンケート:1.5点)

鳥栖が前節の横浜FC戦ほどはSHが前からプレッシングに行くということをしませんでしたが、それでも中盤の4人がラインを揃えるというよりはSHが少し前目になって、いつでもプレッシングに行けるよというスタンスでした。

柏木が起用されたので、正直もう少し柏木がこのSHの背後を有効に使えるかなと思ったのですが、
彼はどんどんボールを触りたいタイプの選手だと思いますし、ボールを持たないところでの振る舞い(中間ポジションで待ってボールを引き出す動きなど)はあまり得意ではないので、右サイドでの攻撃が今一つという感じになってしまいました。橋岡が良い状態で攻撃に絡めるシーンはあまりなかったと思います。

チャンスも多く作れていたので、もう1点、2点取れても良かったのかなと。相手のチャンスも同様にありましたが、そこを決めきることが出来るタレントは浦和の方が多いので、勝ち点3が欲しかったなというのが正直な感想です。

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最後に

アンケート結果でプレーの内容に関する項目は前節より改善されているものが多いし、スコアも0-3から2-2になったにも関わらず、試合の満足度が上がらないのは気になりました。

試合をこなしていく中でもっと積み上げが目に見える形で現象として出てくるのではないかという期待を持っている方にとっては、大槻監督の明確な型を作らない方法に対して良い印象を持っていないのかなと想像しています。

ここまで見てきた感じでは、
答えを教えるのではなく、ヒントを与え続けて選手自身に気付かせたいというのが大槻監督のスタンスなのだと思います。

明確な型を作れば、それが何度も実行されることになるので誰の目に見ても明らかな現象として現れると思いますが、
あくまでも与えるのは原則で、それを選手たちが理解し表現できるまでヒントを提供し続けた場合、ピッチ上の変化は緩やかで、現象が出ているかを原則を知らない外部の人間からすれば見つけることは簡単ではありません。

この指導法はそれぞれ一長一短で、
型を明確に作れば即効性はありますが、対応された時に次の型を作らなければならないですし、
原則の理解をベースにすれば、表現するパターンが複数あるので相手に塞がれていないパターンを選択すれば良いだけになりますが、それを理解し表現できるようになるためには時間がかかります。

原則の理解をベースにしている大槻体制では、現象が出ているかを原則を知らない外部の人間からすれば見つけることは簡単ではありませんと書きましたが、私たちには原則の一端が既に開示されていますよね。

それこそが、三年計画を掲げた時に示されたプレーコンセプトであり、この定点観測の採点アンケートの各項目です。

もし、このプレーコンセプトの内容が具体的にイメージしにくいという方は、言葉の解像度を上げるための記事も出していますので是非こちらを読んでみて頂ければと思います。


次は札幌戦です。
公式戦では8/5のルヴァン杯広島戦、リーグでは第7節の横浜FM戦以降勝利がなく、リーグ戦の直近3試合は無得点と、調子が上がっていない状態です。
是非、調子が上がらないうちに叩いて勝ち点3を取りたいですね。

勿論、次節も採点アンケートを行いますので、引き続きご協力をお願いします。
では、また。


※告知
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