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【雑感】2022/2/23 浦和vs神戸(J1-第9節)

明本退場以降の30分が永遠のように長く感じたせいで、そこまでがどんな試合展開だったのかを忘れそうになるくらいでした。「10 heroic lions one stupid boy」という言葉が思い起こされますが、たった1つのプレーで試合のすべてが変わってしまったのはあまりにも残念ですし、勝ち点2を捨ててしまった試合になってしまいました。

明本については昨年10月の神戸とのアウェーゲームではファウルを取ってもらえず、その判定に納得がいかずにピッチに手を叩きつけている間に相手にボールを運ばれて失点のきっかけになるなんて言うこともありました。(あの試合も木村主審でしたね)

メモしていないのできちんとした時間は覚えていませんが、小林との小競り合いになる数分前に左ハーフレーンで前向きにボールを持った時に相手からチャージを受けたのにファウルを取ってもらえずに苛立っている様子がありました。

そういうのが積み重なってプツンと切れてしまったのかなと想像しますが、ダメなものはダメです。


この話題はそれくらいにしておいて、11人vs11人の間の中身に話を移そうと思いますが、浦和は攻守両面で明確な狙いを感じるアクションを起こしていました。

まずは、浦和の非保持から見ていこうと思います。神戸が4-◇-2の並びで、サンペールがアンカーに入っているところに対して、明本or江坂が必ずサンペールの近くについてボールは入れさせない、槙野、小林については前向きに持たれるのは許容しつつ横方向からプレッシングを行い、待ち受ける中盤も中を閉じることで、パスのだし先を外になるように仕向けます。

そして、外に張っている酒井、初瀬にボールが入ったら馬渡、大畑は縦方向を切るように寄せて中方向にボールを入れさせて回収する、といった形が何度も見られました。分かりやすく上手くいったかなと思う32'25~のシーンを図にしてみました。

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これはFFS杯の川崎戦の雑感でも書いたように昨季からの積み上げではあるのですが、特に馬渡が初瀬へ寄せる角度が良いなと思ったので改めて出しておこう思ったのと、ボールの保有権が切り替わった直後だったということもあって、これが上手くいかずに早めに中央経由で逆サイドへ展開されてしまってCKを取られてしまうことになりました。

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結果論ですが、松崎は江坂が代わりに自分の場所を埋めてくれたので、江坂の代わりにサンペールを消すという動きが取れると良かったかなと思います。そしてここで与えたCKからの流れで神戸にPKを与えてしまったので。


また、前半は時間が経つにつれてサンペールが江坂、明本に監視されることを嫌って最初から槙野、小林と同じラインまで下りてボールを受けることが増えたり、山口が下りたり、酒井のスタート位置が低くなったり、神戸の選手たちが少しずつビルドアップのバランスを変え始めました。

そして41'26は郷家が関根と柴戸の間、武藤が大畑のすぐそばにポジションをとったことで外にいる酒井の縦をふさぐことが出来ずに侵入されるなど、外レーンで上手く相手の矢印をコントロールできなくなってくると少しずつ守備ブロックが後ろに下がり始めて、ハーフレーンをえぐられてマイナスクロスというのが連続しました。

ハーフレーンをえぐられてマイナスクロスというのは京都戦で失点した形でしたが、40分以降に何度も左から侵入された場面では敦樹がきちんとDFの前に入っていたので事なきを得ました。もちろん、京都戦とはクロスを入れらるまでの過程が全然違うので同列に話すことはできませんが、きちんと自分たちの意図的なポジションを取れた状態からであれば、簡単には穴が開かないよというのは見えたのではないでしょうか。


続いて保持ですが、神戸の4-◇-2については開幕節の名古屋戦でも見えていた課題がこの試合でも継続していたように見えました。このシステムだとどうしても外レーンにいるのがSBだけなので、簡単に前に出ると裏を突かれる、かといって手前を自由にするとそこから侵入されるというジレンマがあります。

松崎の同点ゴールまでの過程は江坂が酒井の脇でボールを受けたことで、神戸のSBの位置が空き、そこへ関根が流れ込んでボージャンのタックルを交わしてアシストしたシーンや、15'50に関根が下りて酒井を引き出してその背後へ江坂が流れ込んだシーン、さらに17'23に大畑が浮き球で酒井の背後にボールを入れて江坂を走らせてからクロスを入れてCKを獲得したシーンなど、SBを引き出してその裏へというのが多くみられました。

昨年であれば右は菊池がここへ素早くスライドするのですが、槙野は移籍したばかりですし、スライドの速さよりは一旦ステイして1v1に持ち込む方が得意だし好きだというのがあって、酒井の背後でボールを良い状態で持てる場面を作れたとも言えそうです。松崎の同点ゴールのところを図にしておきます。

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これがジャブとして効いていたのかどうかはわかりませんが、この試合で一番きれいに崩せたであろう29'40~のシーンは酒井の背後へ槙野を含め神戸の最終ライン全体がスライドしたのに、大畑からのパスはこの矢印の逆を付けたことが大きかったです。

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この場面は「そもそも神戸はSHがいないから大畑はフリーになりやすいよね」というのと、「それまで何度も酒井が前に出たら浦和はその背後を狙ってたよね」という前提があって、さらにこの試合は右利きの馬渡ではなくて左利きの大畑がこの位置でボールを持ったので、ボールの持ち方的にそのまま酒井の裏のスペースにボールを出せるという状態でした。

フリが大いに効いた状態だったので、これだけスパンと相手の矢印の逆を取って逆サイドの選手がどフリーな状態を作り出すことが出来ました。なので、ここでバシッとゴールを決めて3-1にしてしまって一気に勝負をつけることが出来れば良かったんですけどね。。


ところで、戸田さんの名古屋vs神戸の解説youtubeって観ました?

動画の最後の方に「ボールを前に運ぶためには後ろに引かないといけない」というようなことを言っていました。これは名古屋の1点目が神戸のビルドアップに対してプレッシングをはめてボールを奪ってからのゴールだったことから、そういう話になったと思います。

この試合のショルツ、岩波はこの戸田さんの言葉をきちんと表現できていた場面を紹介してこの記事を終わろうと思います。ま、この試合に限ったことではなく、昨年から、岩波については大槻さんが監督のころからトライしていることなんですけどね。

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柴戸から西川にバックパスが入るところで岩波はすぐさま西川と同じ高さまで下がっています。そして西川がトラップした頃には西川と自分に対してプレッシングに来るであろう武藤を同一視野に入れられる体の向きを作っています。

そして、西川からパスを受けたときには武藤とはまだ5m以上距離が開いている状態で、しっかり顔を上げて酒井に対して出ていく初瀬の方をちらっと見てからその背後へ向かってロングボールを蹴りこんでいます。

前節の京都戦でも相手のSB奥のスペースへロングボールを蹴る場面はありましたが、この場面は相手が矢印を出してから、その逆を突く、いわゆる「後出しじゃんけん」のような形でのロングボールでした。

なので、このロングボールを明本と小林が競り合った後のこぼれ球に対して神戸の選手は誰もサポートに戻ることが出来ておらず、小林は強引にファウルでしか明本を止めることが出来ませんでした。その後どうなったかは、もうみなさんご存知ですね。そうなんですよ。これ、すごく良い流れでチャンスを作れそうな場面だったんですよね。


5連戦のうち2戦終わってまだ勝ち点は1。優勝争いをするための平均勝ち点2のペースでいえば、5試合終了時に10ポイントになるので、G大阪、川崎、湘南は3連勝が必要ということになります。

この試合、大畑が昨年鳥栖で見せていたようにきちんと個人戦術が備わっているということを感じさせてくれましたね。おそらくハーフタイムでの交代は試合前から前節の酒井の負傷と合わせて両者のプレータイム調節という意味合いが大きかったのではないかと思います。

まさかのベンチ入りとなった岩尾もパスの精度やちょっとした出足のところを見るとコンディションは良くないのかなと思うプレーぶりでした。明本の退場後にあっさりと防戦一方になることを受け入れざるを得なかったということは小泉も控えには入っていたけど、チームに推進力をもたらせるようなコンディションではないという判断だったのでしょう。

チームに一番推進力をもたらせる明本が次のG大阪戦は不在です。そして、相手の背後を誰が狙うのかという課題が突き付けられたのが昨年のG大阪とのホームゲームで明本が不在になった後でした。

当然、相手は監督が変わったので、どういうアクションを起こしてくるのかは変わってきます。ただ、どんな相手であろうと強いアクションを起こす場面は必要になるので、そこがどうなるのかは注目したいポイントですかね。


今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。


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