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車いすのスロープの勾配

地域を明るくするリハビリテーション専門職の会 大和の岡原です。
当会は、市民活動団体として地域を明るくすることを目的に活動しています。

今回はリハビリに関する記事です。
私は普段、回復期病棟の病院で理学療法士として働いています。
この記事では、車いすの勾配ついて簡単にまとめてみました。

家屋調査

回復期病棟の病院のおいて理学療法士や作業療法士は家屋調査といって患者様の自宅にお邪魔することがあります。
①入院時家屋調査
②退院時家屋調査
の2回行く時があります。

①入院時家屋調査は患者様は同席せずにリハビリ専門職だけが自宅に行き、段差を計測したりします。
その時に車いすで退院させることが予想される場合は、玄関前の段差だったり玄関の上がり框が障害になることがあります。

そこでよく使われるのがスロープです。
ただどこでもスロープがつけれるとは限りません。
ある程度の勾配が必要になってきます。

【スロープ ガイド】

https://www.r-nishiken.co.jp/wp/wp-content/themes/r-nishiken_2020/assets/media/slope.pdf

スロープの勾配の測り方

勾配の目安について知る前に、まずは勾配をどうやって数字で表すか。

スロープの勾配は分数を使って表します。
たとえば、水平方向(前方)に12cm進むと、高低差が1cm生まれるような勾配は1/12。
1/12の勾配は、角度でいうと4.76度くらいです。

1/8勾配になると、介助者がいる場合は上り下りが可能ですが、自力で上ることは難しくなります。

バリアフリー住宅の基準となる勾配は「1/12」

建築物のバリアフリー設計にあたり基準となる文書として、バリアフリー法の「建築物移動等円滑化誘導基準」というものがあります。
障害者や高齢者等移動が困難な方が円滑に移動できるような建物の基準を定めるものです。
その中で、勾配について屋内は「1/12」、屋外は「1/15」が基準とされ、それ以上の勾配をもつスロープについては手すりを設けること、と定められています。

これは教科書の数字であり実際には1/12の勾配をつけれないケースもあると思います。

ご家庭の玄関に一時的に置くスロープで、私が経験したなかだと1/8程度ならたいていの人は車いすを押して上がれます。
短い距離なら押して上がることはできますが、この傾斜が延々と続く坂道を上ることは困難です。
また車いす利用者が、自らこいで上ることはできません。



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