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道をよく聞かれるヒト。

「あのぉスミマセン。」

被せぎみに答えるわたし。
「どちらお探しですか。」

「近くに大きな本屋さんがあると
思うのですが…」

「3歩先です。」

「スミマセン。」

被せぎみに答えるわたし。
「どちらお探しですか」

「JRを探しているのですが」

「まっすぐ行って…」
だいたいこの辺当たりから
上の空になる。目が遠くなるのだ。

「あぁ…わかりました。ありがとうございました。」

「ちょっと、えぇか?」

被せぎみに答えるわたし。
「どちらお探しですか」

「百貨店を探しとるんやけどな」

「まっすぐ行って歩くエスカレーターを…」

「はぁ?わかりやすく言えや‼️」

「いや、ですから…」
なぜ怒っているのか。

「もうえぇわ❗」
逆に向かい立ち去る中年のおじさん。

「あのぉここに行きたいんですけどぉ」

駅全体を大きく写し出された、
スマホを見せられる。

「ちょっとズームにして良いですか?」
その方のスマホに手を向けるわたし。

避けられるわたし。

「あのスミマセン。近くに大きな
スポーツ店があると思うのですが…」

「近くにいくつかございますが特徴はどのような
スポーツ店ですか?」

「いやぁ…ちょっとそれは…」

答えることのできない彼。

「そこのあなた。」

被せぎみに答えるわたし。
「どちらお探しですか?」

「悪い霊に呪われておる。除霊に50万…」

被せぎみに答えるわたし。
「結構でーす。」

「あの駅に行きたいのですが」

被せぎみに答えるわたし。
「このあたりはどの駅ですか?6ヶ所ございますが」

「…」

「すまんな!ちょっとえぇか?」

被せぎみに答えるわたし。
「どちらお探しですか?」

「ちょっとなカフェ探しとんねや」

「そちらでしたらまっすぐ行って横断歩道を…」

「あぁどっちやて?えぇ?まっすぐ行って
はぁ?」

「ですから…」
三回ループで交番を紹介。
交番も三回ループ。

「スミマセン。このへんにフェイシャルエステの
体験が…」

おそらく800m縮尺の地図を見せられる。
わたし。
「ここから10分ほど…」

「はぁ?もう30分も探してるんですけど!」

知りません。

「あのぉこちらでタピオカ飲めますか?」

彼女たちはGoogleマップという平面図で
生きているのだ。

「地下ですね。」

「あのぉこの辺で子供服を…」

マダムたちの時間軸は5年スパンなのだ。

「5年前に閉業されてますね。」

「あら、この前見た気がするんやけどねぇ」

「5年前です。」

「スミマセン!」

被せぎみに答えるわたし。
日本語で。

「@¥$♪♭百貨店#&*^>?」

百貨店に行きたいようだ。

「まっすぐいってドーンやね!
オーケー?」

地球人同士なんとなく通じるものだ。

マップを見て向かう前に
住所を確認してほしいものだ。

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