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1週間6ホテルへ宿泊した話

休みと仕事と親類に会う用事が
偶然にも重なり1週間滞在することになった。

一日目
街の中心地にあるホテルは
今時と呼べる街並みとは違和感を覚えるような
古いホテルだった。

エントランスは昔ながらで無駄に広い。
日本庭園を模したような
窓ガラスから見える景色は手入れが行き届いておらず
残念な姿だった。

近代化の波はまさに張りぼてのように
導入されていたがWi-Fiはムラが
ひどく使えたものではなかったし
あからさまに張り替えられた壁面
予算が足りなかったのか
懐かしさを感じさせるお風呂の内装。

幸いなことにベッドは新しい有名ブランドの
ものを使用していた。

二日目
お祝い事もあって兄夫婦が
一泊分を超高級住宅地に聳え立つ地域にある
なかなかの高級ホテルに招待してくれたのだ。

相当なものだった。
普段、コンビニの100円コーヒーを
愛飲するわたしにとって
一杯2000円のホットコーヒーを提供している
だけでも驚きだったのだが
ホットミルクが800円なのだ。
住む世界が違うのだと思う。

おそらく趣のある雰囲気から察するに
大変長い歴史を有したホテルだということは
誰の目でもわかる。
もちろん近代化の波も抜け目なく
隅から隅までWi-Fi環境は整っていた。 

エレベーターは順次フル稼働しており
待っている人など皆無だ。

部屋は素晴らしかった。
最上階で街が一望できる絶景だった。
残念ながら天下をとった気分にはなれず
お金のことばかりに意識がいってしまうのは
根っからの庶民ということを痛感した。

三日目・四日目
妻は次の日は仕事があったので
先に帰りわたしはひとり
兄夫婦の家に宿泊した。
両親も遠い実家から来ていたので
何十年かぶりに家族勢揃いをした。

あまり大所帯で宿泊するには
お世辞にも広くはなかったので
畳とブランケットのみ提供され
眠りについた。

五日目
なにやら怪しげな雰囲気のところに
ホテルを取ってしまったようだ。

駅から近く治安の悪さは感じなかったのだが
廃業したであろう旅館の壁に
"金かえせ❗" "地獄に落ちろ!"
スプレーで落書きされた建物があるではないか

遠くから野犬のごとく
叫ぶ声が聞こえ大きく笑う声が聞こえるのだ。

足早にホテルへと向かい
部屋へと入った。
道中のインパクトが凄く、
ホテルの感想は覚えていない。
普通だったのだと思う。

六日目
最先端のホテルだった。
仕事を終え、会社が予約してくれた
ホテルにチェックインに向かう。
なぜかドアの前に大量のガチャポンコーナー。

ドアを入ると無人なのだ。
受付に立っているのはロボットなのだ。
お辞儀をするだけで面白いことはなかった。
エントランスに水槽があった。
ロボットの魚が優雅に泳いでいるのだ。

部屋もすごかった。
自動的にコートのシワを伸ばし
脱臭機能がついたクローゼット。
CMで噂のシャワーヘッド。
ベッドは普通だった。

七日目
一週間ぶりの我が家。
気が張っていたのか
心身ともに溜まった疲労がのしかかる。
心の底から
「あ~~つかれた。」

自身の布団にダイブする。
最高のひとときだ。
結局、我が家が一番なのだと思う
一週間だったのだ。

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