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【第1回】"ワガコトプレス”の魅力とは?

人生100年時代。長く続く人生の中では、職業を変える機会が多くの人に訪れるでしょう。業界内での転職だけではなく、異業種への転職や独立・起業も珍しくはありません。著者の私は1989年生まれの31歳ですが、周りの友人たちを見回しても、新卒で入った会社に勤めている人の方が少数派なくらいです。不確実性が増した社会と言われますが、進路に悩み迷いながらも自己理解を含め、自分にとっても社会にとってもふさわしい人生を探し求めることができるのは、良い時代になったものだと私は肯定的に捉えています。

選択肢が多く価値観が多様化している時代ですから、与えられるのを待つのではなく、自己理解を深めて自分がこれだと思うものを世に提示していかなければなりません。仕事に留まる話ではないですが、学ぶことで世界と自分を知り、自らの顔や思想をアウトプットすることを積み重ね、自分の道を自分で切り拓いていく必要があります。チャンスは運と巡り合わせによるものではありますが、幸運が舞い込んでくる確率を上げる方法はあります。

方法の一つとして、私は個人で作るメディア=「ワガコトプレス」を運用することをお勧めします。このマガジンでは、数回に分けて「ワガコトプレス」を作る意義や作り方の具体的なノウハウを紹介していきます。
記事を通して、みなさんが自分の人生の指針を立て、前へ進むお手伝いができたら幸いです。

(1)「ワガコトプレス」とは?〜「趣味」で終わらない、未来への投資としてのメディア運用〜

個人で小さなメディアをつくるという行為は、この社会の至る所で昔から行われてきました。
特定の趣味を持つ人がその偏愛を注ぎ込んで作る「同人誌」、地域やカルチャーをテーマにした「ミニコミ」、デザイン性にこだわった小冊子として「リトルプレス」や「ZINE(ジン)」という名称を使う人たちもいます。
WEB媒体であれば、ブログもありますし、Instagramを長文で書いて読ませるメディアとして運用している人もいます。すこし知識があれば、WordPressを使ったWEBサイトをメディアとして作ることもできます。
「ワガコトプレス」は著者が作った造語、新しい概念ですが、形態は紙でもWEBでも問いません。なんならポッドキャスト配信のような音声メディアでもYouTube動画配信でも良いかもしれません。
他のメディア概念との違いはその目的意識にあります。簡単に言えば、自分が当事者として関心のあるテーマを、「取材」を通して「研究」し、関係者との「ネットワークをつくる」ことにあります。そして、その分野の詳しい人(ハブに位置する立場)になることで、自分の次なる「仕事」(自らの内発性がある自分の仕事)の構築へとつなげていく目的をもって運営します。
自分の関心「ワガコト」を出発点にして、旗を立てる事で似た関心を持つ人とつながる発信物だから「ワガコトプレス」。

詳しく「ワガコトプレス」の価値を分解してみると下記のようなことになります。

①「研究」
まずは、自分の勉強です。ふわっと「関心があるんだけど・・・」という状態から、取材を重ねることでその分野のことがわかるようになってくる。自分の意見を持てるようになる。それが基礎の基礎と言えます。
すでに認知度の高いテーマであれば、本やWEB記事もあるでしょうから文献研究ができますが、新しい分野だと当事者に取材に行くしかありません。そんな時に「こういう関心意識を持ってメディアを運営している」という立て付けがあると取材もスムーズにいきやすいですし、記事にまとめる言語化の作業で情報を整理し、持論を立てることができるようになります。

②「発信の波及効果」
新しいテーマを、分野として概念づけて世に発信すると、それを読んでくれた方からフィードバックを受けることができます。新しいテーマは一人で唱えるだけではなく、共感して同じ概念を用いて言論をしてくれる人がいて初めて概念としての市民権を得るものです。
記事を読んでくれた人から「取材してほしい」と連絡をもらうこともありますし、イベント登壇の話が舞い込んでくることもあります。

③「人脈と仲間づくり」
私が勧めるのはインタビュー取材。1時間ほど時間をとって深くお話を聞くと相手のひととなりもわかります。もともと、自分と同じテーマをもっているひとに取材をするので、バイブスが合う(ことが多い)。その場の取材で終わらず、「ワガコトプレス」にその後も寄稿してくれたり、イベントを共同企画するなど、仲間としての関係を築けます。
また、仲間というほどに仲良くならなくても、「あの話ならあの人に相談してみよう」と思い浮かぶ人の引き出しが増えるのは価値だと思います。逆に声をかけてもらえることもあります。

④「取材を受けてくれた人への価値提供」
私の場合ですが、インタビュー取材にご協力いただいた方の多くは、メディア露出の少ない一般人です。「一般人」っていうのはなんぞや?って思いますが、メディアに出ることを仕事にしている「芸能人」ではない人、と定義してみましょうか。
「一般人」の多くはインタビューを受ける経験は少ないものです。お店をやっている人などはタウン誌や散歩系情報誌から取材も受けることもありますが、その人の背景を深く表現できるわけではなく、素材として扱われて終わりというのが多い。
「ワガコトプレス」では、なにをやっているのか、なぜやっているのか、その経緯を丁寧に聞きます。そして、取材者は取材記事という形で、取材者の視点で非取材者の像を読者に伝わる形で表現します。被取材者が自分でブログ記事を書くのとは全く違う質の表現になります。インタビューを受ける行為が被取材者にとっては言語化の機会であり、できた記事はパブリックリレーションズのツールになります。
実際、「自分のやってきたことを整理できた」「自己紹介に役立った」などのお声をいただくことも少なくありません。

(2)「ワガコトプレス」の作り方は?

それでは、どのように「ワガコトプレス」を作れば良いのでしょうか?
これまでのメディア運営で得た経験と具体的なノウハウを、このマガジンや別途設ける講座を通して、これから「ワガコトメディア」を始める人、始めようと思っている人に伝えていければと思います。

フローとしては、以下の5段階に大別できます。

1. テーマを決めよう(なぜそれを?他にやっている人はいない?)
2. 発信方法と頻度を決めよう
3. 取材しよう(準備編/当日編/ポスプロ編)
4. 執筆しよう(文章を作るポイント)
5. 公開しよう(発信のコツ)

それぞれに細かいノウハウがありますので、次回から詳しくご紹介していきます。

TIPS その①
”ブログがダメな理由”〜ちょっとした投資で自分を追い込む〜

スマートフォンやモバイルPCの普及で不特定多数に対しての情報発信は容易になりました。「ワガコトメディア」をつくるにも、「note.などのブログサービスつかえばよくない?」って思われる方もいるでしょう。ですが、それはあまりお勧めしません。
理由は「三日坊主」になるから。
「ワガコトメディア」は義務のある仕事ではありません。お金を払ってくれるクライアントがいるわけではありませんし、期待してくれる読者は最初は存在しません。自分が一人で始めるものでしたら、原稿の催促をしてくれる人もいません。
これは、日記を書くのと同じようなもので、最初こそ勢いを持ってキーボードに向かうものの、段々と更新頻度が落ちて休眠状態になってしまう・・・という経験を私自身もしてきました。
そこで必要なのは、「ちょっと投資をして自分を追い込む」こと。サーバーとドメインを契約すれば、ライトプランでも、年間1万円ちょっとの維持費がかかります。大した額ではないですが、出費をしているのだから使わなければもったいないという意識が働きます。すると続くようになる。
もうひとつの理由としては、見栄え。発信内容が変わらなくてもブログとWEBサイトでは、独自ドメインを持っていることでの「やっている感」が違います。名刺にウェブサイトのURL入ってるとドヤ顔できますよね(笑)
それから、WordPressサイトの使い方に習熟していれば、企業のオウンドメディアなどでライターとして仕事を引き受けた時にも、入稿やちょっとした手直しなどチャチャっとできるので信頼を得られます。


著者プロフィール

オオタケ ユウスケ
(メディアプロデューサー・地域の編集者)

早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコース修了(ジャーナリズム修士)。広告代理店勤務を経て、2016年より映画祭運営やショートフィルムの配給事業を行う株式会社ビジュアルボイスに勤務。2018年にショートフィルム専門のオンライン映画館「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE」立ち上げに伴い編集長に就任。配信作品の選定を行う他、映画体験にフォーカスしたインタビュー記事を多数制作してきた。
また、副業で大手企業の広報誌や会報誌の制作にライターとして携わる他、個人のプロジェクトとして埼玉県西部地域のプレーヤーを紹介するWEBメディア「西埼玉暮らしの学校」を運営。2021年はNPO法人埼玉ハンノウ大学のプロジェクトディレクターとして、飯能市の自然資源を生かしたイベント開発に取り組んでいる。

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