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【映画感想】はりぼて 〜これぞ映像ドキュメンタリーの力!

富山のチューリップテレビが制作したドキュメンタリー映画「はりぼて」を見てきました。


調査報道によって、富山市議会議員の政務活動費の不正が次々に明るみに出て、議員14人が辞職するという、むちゃくちゃな内容なんですが、同じローカルテレビ局の記者が作ったドキュメンタリーということで、どうしても撮影とか編集にばかり目がいってしまいました。

どの時点でドキュメンタリーにすることにしたのか定かではないですが、記者会見や議会などで、通常のニュース取材では絶対撮らないであろうカットが多くて感嘆。
カメラマンがすごいのか、記者(ディレクター)がちゃんと指示を出してるのか。
これだけ「狙ったカット」があったら、さぞ編集は楽しいだろうなぁ…。
音楽、テーマ曲もとてもよかった。
タヌキやカラスのメタファー(隠喩)的な使い方は、好みが分かれるところですが。

この問題を追ったノンフィクション『富山市議はなぜ14人も辞めたのか』(岩波書店刊)は読んでいたけれど、やはり圧倒的に映像が強い。
嘘をついたりごまかしたりする表情や様子は、映像が一番伝わる。ノンフィクションにしかできないこともあるけど、これは逆に映像ドキュメンタリーにしかできないことだなと。で、自分はどっちも好きなので、やっぱり二刀流を目指したい。

描かれている問題は、富山市議会だけのものかというとそうではなく、香川県議会でも政務活動費を巡って裁判になっているし、むしろその手口はより悪質なようにも感じたので、チューリップテレビさんに負けずにしっかり追及取材しないとな…と大いに刺激を受けました。

映画を見た後輩から「キャスターの五百旗頭さん(監督の1人)が山下さんにかぶって見えました」と言われたけれど、自分はあんなに冷静に詰められない(笑)だいたい記者会見ではもっとヒートアップしてます。(最近はそれでも昔より丸くなった)



【以下、ややネタバレに近いので、これから見る人はご注意!】
見る前になるべく先入観を持たないよう気を付けたけれど「ラストがすごい」「ドンデン返し」的な情報はどうしても目に入ってきていて、ある意味そこを一番楽しみにしていたのだけれど、個人的にはちょっと拍子抜けかな…。

業界で話題を呼んだ東海テレビのドキュメンタリー映画『さよならテレビ』の影響も感じるけれど、そこに至るまでの内部の動きや葛藤が描かれてなかったので唐突感が残りました。

多分こういうことなんだろうな…と事情は想像はできるし、無事に公開にこぎつけるにはあれが限界だったのだろうとも思うし、監督2人が入れたかったのは重々分かるのだけれど。

いま改めてチラシを読むと、

「はりぼて」を目の当たりにした記者たちのそばにも「はりぼて」はあった

と書いてるな…。う~ん、そのあたりもっと深く聞いてみたい。(パンフレットは売り切れで入手できず)

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