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Cafe bibliotic Hello!

生い茂る木々、

洋風のカフェミュージックと壁一面の本棚が、束の間、ここが京都の真ん中であることを忘れさせてくれる、いいじゃないか、忘れたいときだってある、注文は、アイスコーヒーと、レモン&ピスタチオのタルト、いいねえ、最高の映えだ、テンションも上がってきたところで、持ってきた本をひらく、禁書中だが、今日は休日だ、

川添愛「世にもあいまいなことばの秘密」ちくまプリマー新書

ことばの曖昧さは、伝達の齟齬や、仲違いといった結果に繋がりかねないシリアスな問題であるが、しかし、それがことばの曖昧さに由来するのだという事実には、どことなくユーモアが漂っている、この本は、そのユーモアをうまく捕まえていると思う、こういう笑える本は、息抜きになってちょうどいい、印象に残ったのは聖職者アタナシオスのエピソード、嘘についてのカントの議論にも通じる知的ユーモアがある、全体の調子としては、前に読んだ「言語の本質」のスリリングでディープな議論とはある意味で真逆の、おかしくて浅い内容だということもできそうだ、しかし、何事も深いことだけが重要だとは限らない、浅さこそが重要な局面というのはたしかにある、この本のテーマであることばの曖昧さはまさにその最たるものであるし、だから深さと浅さについては、コーヒーの深煎りと浅煎りくらいに、考えればいいのではないか。

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