秋の夜長に楽しみたいお勧め映画3選
ドラマ・映画好きなキャリアコンサルタント xyzです。
ついこの前、7月になって下半期に突入(早っ!)と思っていたのに、気がつけば、え、もう9月……早すぎませんか?
先月7日は立秋、暦の上ではすでに秋。
ということで今回は、キャリアコンサルタントxyzの独断による【秋の夜長に楽しみたいお勧め映画3選】をご紹介します。
①誰かがあなたを愛してる
1987年公開の香港映画です。
監督は、後に『宋家の三姉妹』を撮ったメイベル・チャン氏。
この『誰かがあなたを愛してる』は、監督のニューヨーク留学経験を基に作られたと言われてます。
実はわたし、一時期香港映画(ノワール物除く)に超ハマっていた時期がございまして。勢い余って広東語を勉強していたこともあります。
(ちなみに一番好きな香港映画は『大丈夫日記』です!この『誰かがあなたを愛してる』にも主演し後にハリウッド作品にも起用されるチョウ・ユンファさん出演のラブコメ←というかドタバタ喜劇です。)
『誰かがあなたを愛してる』の映画の概要はこちら。
なぜこれを秋の映画に選んだかといえば、ずばりタイトル!
原題が『秋天的童話』(英題: An Autumn's Tale)だからです!
ここで、毎度の愚痴になりますが、邦題……。どうしてそうなる?
この、なんていうか微妙にメロドラマ調の、しかも微妙にネタバレ含むような匂わせタイトルにするのー💢
劇中のとあるシーンのセリフ(ネタバレ回避)からこのタイトルを考えついたのだと思いますが……うーむ。
もういっそ、そのまま直訳で『秋物語』とかでも良くないですか?
映画の内容を短めに表すと【ニューヨークを舞台に三人の香港人の愛の行方を描く】…ってこれではあまり面白そうな感じしませんね。でも、映画は本当に面白いです!
ニューヨークの大学で演劇を学ぶために香港からやって来たジェニファー。実はボーイフレンドのヴィンセント(香港人です!)を追いかけてニューヨークまで来たのだけれど、彼はすでにアメリカ人の彼女ができていて……。
失意のジェニファーを慰め励ますのは、遠縁の(それもかなーり遠い←親戚多い中華系あるある)サンパン(イングリッシュネームはサミュエル・パン、仲間からのあだ名はシュウタウ←船頭さんのような意味)。
チャイナタウンで顔のきく、ちょっと、いやかなりヤンチャだけど気のいい、仲間思いの一途な男。
他に頼る人のいないジェニファーは、サンパンのアパートの二階を間借りして、ニューヨークでの生活を始めます。初めは反発し合う二人ですが、次第にお互いのことが気になって来て……という王道ラブストーリー。
この映画を初めて観た時、心に浮かんだのがO・ヘンリーの短編小説『賢者の贈り物』(原題: The Gift of the Magi)でした。
(短編集もいいですが、ツヴェルガーの絵の好きなわたしは、この絵本もお気に入りです。わたしの大切な宝物の一冊です)
不器用な二人の、相手を想う気持ちがすれ違ってしまうのが、観ている方としては歯がゆくて切なくなるのです(涙)
まぁ、スマホなどない時代の物語ですからね……(そういうこと?)
愛する相手のためならば、自分の大切なものを差し出せる、損得勘定なく、ただ相手の喜ぶ顔が見たくて……そんな二人の利他の精神というか純愛が本当に可愛らしくて、いじらしくてpq
ジェニファーへの贈り物をGETして嬉しくてニマニマしているサンパン、思わずスキップしてしまうところがかわいい!
そのスキップが徐々にストライドが大きくなっていって、いつの間にか走り出して……ジェニファーに早く会いたい思いが溢れて、NYの街を全力疾走するサンパン!
その、彼の走る姿の美しいことといったら!!このシーンだけでも皆さんに是非観ていただきたい!!!
ニューヨークの秋の風景も素敵。
憧れて来たニューヨークにも留学当初は全く馴染めなかったジェニファーが、次第に積極的に行動するようになり充実しした生活を送る様子と、頑張るジェニファーの姿に触発されて、サンパンも心機一転まともに生き直してみようと決意し、昔からの「夢」を実現しようとする様子と。
ストーリーはラブラインだけではなくて、二人の成長物語 in NYという要素もしっかりと描かれています。
キャリコン視点で言うと、ジェニファーとサンパンの出会いが、お互いにとって人生の【転機】となり、夢や目標に向かってそれぞれの道を歩んでいきます。
二人の道がまたいつかクロスするといいなぁ……という期待と余韻の残る、ほろ苦いラストシーンにキュンキュンします。
わたしにとって思い出深い、そして時々急に観返したくなる、大大大好きな作品です!
②真珠の耳飾りの少女
この映画をなぜ選んだのかといえば、秋といえば「芸術の秋」ですから^^
原題は『Girl with a Pearl Earring』、邦題もそのまま直訳(ほっ)。
オランダの画家、ヨハネス・フェルメールの作品【真珠の耳飾りの少女】(別名『青いターバンの少女』)から着想を得て執筆された小説をモチーフに制作された映画。
映画の概要はこちらからどうぞ。
フェルメールは、世界でもとりわけ日本で、特に女性の間で大変人気のある画家だそうですよ。
フェルメール家の女中、グリート役はスカーレット・ヨハンソン。そして寡作な画家、フェルメール役はコリン・ファース!
スカヨハが、絵に寄せて来る来る!
貧しい家から女中奉公に出されたグリートは、若く無学ではあるけれど、実は天賦の美術の才能と豊かな感性の持ち主。(本人そんなことには無自覚)
過去のある出来事から夫のアトリエに入ることにトラウマのあるフェルメールの妻。
夫人がアトリエの掃除を新入りのグリートに命じたところ、グリートからあることを聞かれ訝しみます。
なんでそんなこといちいち聞いて来るのよ、さっさと拭いて、と言わんばかり(セリフは〝You don't need to ask me about such matters.”)の夫人に対して、グリートはおずおずと(でもちゃんと言う)
この二人のやり取りを聞いていた、夫人の母(この方がまた、やり手!婿を売り出そうと必死)も、そしてフェルメールも、すぐにグリートの隠れた才能に気がつきます。
(逆にsuch mattersなんて言ってしまうあたり、夫人は全く美術への造詣も、感性も、関心すらもないことが露呈する……このシーン、夫人とグリートの対比の描写がとても秀逸です!)
この少女には素晴らしい美への感性と才能がある!
そのことを見抜いたフェルメールは、女中仕事をさせないよう、昼間はアトリエの掃除を命じて、絵のモデルをさせたり、まるで弟子に対するかのように、絵画技法やその他諸々の知識を丁寧に手ほどきします。
フェルメールの教えを、まるで乾いたスポンジが水を吸うようにぐんぐん覚えていくグリート。
絵画制作を介して互いに信頼関係を深める二人。フェルメールは絵画でも重要な工程、絵の具の色作りと調合をグリートにさせてみるようにまでなります。
やがて、お互いが次第に静かに深く惹かれ合うようになりますが、互いに一線を超えぬよう、自分の気持ちを抑えています。この叶わぬ思いを、二人はそれぞれのやり方で秘めたままにしようとします。プラトニックー!
キャリコン視点で言うならば、これは【防衛規制】の一種ですね。
フェルメールは絵に打ち込むことでグリートへの思いを昇華(【昇華】sublimation)させ、後世に残る素晴らしい作品が生まれました。
一方グリートは、叶わぬ思いを抱える辛さと夫人からの激しい嫉妬と憎悪に耐えかねて、フェルメールの屋敷を出て行き(【逃避】withdrawal)、自分を愛し、結婚したがっている(けれど自分は愛していない)若者(【置き換え】displacement)の元へ行きます。
出ていくグリートを見ることもできず、顔を背けるフェルメール。そんな彼をじっと見つめるグリート。決別のまなざし……。
抑制の効いた、でも非常に官能的でミステリアスなラブストーリー。色使いも光の陰影も美しく、シーンの数々はまるで絵画を切り取ったかのような静謐さと鮮烈さが再現されています。美!
作品を生み出すまでの芸術家の苦悩と孤独、彼を支える女たちの物語、という観点からも非常に興味深い作品です。
③恋人たちの予感
80年代から90年代にかけて活躍したラブコメの女王、メグ・ライアンの出世作。相手役はスタンダップコメディアンのビリー・クリスタル!
映画の概要はこちら。
原題は『When Harry Met Sally…』
この映画の邦題はいい!
「予感」という言葉のチョイス!原題にある三点リーダー「…」の持つニュアンスがちゃんと汲み取られているようで素晴らしいです。
『スタンド・バイ・ミー』の監督、ロブ・ライナー氏が撮ったラブコメ。脚本家ノーラ・エフロンと監督とのやり取り(赤裸々トーク!)がこの映画誕生のきっかけだそうで^^
ノーラ・エフロンは、後に『めぐり逢えたら』(原題〝Sleepless in Seatle”)でメガホンを取ります。
なぜこの映画を選んだかというと、ニューヨークの四季、とりわけ美しいニューヨークの晩秋の風景が印象的だから。
テーマは【男女間で友情は成立するか】
二人の出会いは、大学卒業後シカゴからNYに向かうまでのドライブ。
お互い第一印象は最悪で、連絡先も交換せず別れます。スマホもLINEもない時代です……たとえあったとしても交換しないかな(笑)
こだわりの強いサリーを表すレストランでの注文シーンを。
これを一気に捲し立てるのですよ……注文が細かすぎる!もうええわ!!といいたくなりますよね(笑)
ウェイトレスさんもポカーン。
しかし!
実はまだ続きがあって(ハイ?)
「何も無しで」と言ったサリーに向かって
その返しもどうかとは思いますが(笑)それに対するサリーの返事が
ひー。
ものすごいこだわり!
ですが、一食一食を大事にしている、決して妥協せず、自分にとって一番美味しい食べ方で食べたいという情熱を感じます。
そんな彼女ですから、将来の伴侶選びだって彼女なりのこだわりがたくさんたくさんたくさんあることでしょう。
まず、ご飯食べに行く時、この呪文のような長ーい注文に耐えられる気の長い人じゃないと、彼女の相手は無理!
さて、何年か過ぎて、二人は二度も再会をはたし「何でも話せる異性の友達」という間柄に!お互いの恋人についても相談し合う仲になります。
ハリーとサリーは、二人とも言語化の鬼!そしてよく喋る!
本当にあらゆることをとことん話し合い意見交換をし……そう、対話を厭わず、楽しめる二人なのです。
二人は電話しながら映画『カサブランカ』を観ていてあれこれ喋るシーンがあるのですが、そこでハリーがイングリッド・バーグマン演じるイルザと君とでは全然違う、と言い出します。
なんか失礼な言い方に聞こえるわ……引っかかる。ハリー、まずいぞ?
あれこれ面倒なことを言ったり要求してこない、要は都合のいい女?
low maintenanceの反対は、そのままhigh maintenance!
口うるさい
面倒臭い
金がかかりそう
ご機嫌取らないといけない
まとめると【付き合うのが大変そうな女】かな。ハイ、サリーのことですね!
さて、サリーとハリーが最初に出会ってから11年、出会いと別れを繰り返しながら、二人の関係はどのように変化していくのでしょうか?
サリーとハリーの11年の軌跡を追うストーリーの途中で、老齢のカップルのインタビューがカットインします。
ラブシート(二人掛けのソファ)に腰掛け、二人の馴れ初め、運命的な出会いを話してくれるのですが、キャリコン視点で聞いてみると、当時のジェンダー観、結婚観などの価値観が垣間見えるようで、その変遷そして今……と考えていくと非常に興味深いです。
そして、サリーとハリーも……ん?ラブシートに座ってます?ということは?(ネタバレ回避……できてない?)
二人の会話のラリーも楽しいし、ニューヨークの四季も堪能できて、しかもメグ・ライアンがかわいい!!
彼女のマシンガントークや鼻に皺を寄せて笑う様子とかふわっふわの無造作ブロンドヘアとか本当にチャーミングでキュートで!
(あの頃のメグはゴールディー・ホーンの後釜狙えそうな勢いがありました……)
この映画も大好きすぎて、ペーパーバック(脚本)もサウンドトラックも買って今でも大切に持っているくらいお気に入りです!
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
【秋の夜長に楽しみたいお勧め映画3選】いかがでしたか?
あなたのお気に入り映画、おすすめ映画も教えてくださると嬉しいです^^
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!