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映画メモ 『ファーゴ』

ファーゴを観た

脚本の名著「SAVE THE CATの法則」で示されたジャンル10選を観てみようと毎日映画を観ている。今回観たのはファーゴ。ジャンルは「なぜやったのか?」。1996年、ジョエル&イーサン・コーエン監督の作品。

ストーリー分析

主人公はどう変化したか

「なぜやったのか?」では主人公の変化は描かれない。事件の一部始終を紐解いていく過程で人間の醜さを映し出す映画だった。

あらすじ

カーディーラーの営業部長である主人公は借金に困っていた。前科者の従業員の知人2人(犯人A・B)に自分の妻を誘拐させることで、資産家の義父から身代金を手に入れようとする。妻を誘拐した2人は車で移動中、警察に止められたことをきっかけにその警察と目撃者を殺してしまう。主人公の金の問題が解決しそうになったが既に妻は誘拐された後。主人公を信頼していない義父は直接に金と娘を交換するよう出かけるが、金の受け取りに来た犯人Aに殺されてしまう。そこで入れ違いになった主人公は義父の遺体を発見し、車のトランクに隠す。自分が思っていたよりも多額の金を手にした犯人Aは身代金の分だけ持ち帰り、残りは埋めてしまう。後で取りに来て独り占めしようとしたのだ。犯人AはBの待つ小屋に戻り金を折半するが、手負いになっていたAはBに殺される。更に主人公の妻もBに殺されてしまっていた。Aの死体処理をしていたBは警察に発見され逮捕。時を同じくして主人公も捕まり、映画は幕を閉じる。

ジャンルのメモ

「なぜやったのか?」では主人公そのものは変化せず、事件の背後にある人間の醜さを描く。観る人は人間の心の闇を見せられ、なぜそうなったのか登場人物たちが提示する情報から真相を知り、衝撃を受ける。

Goodだと感じたこと

構図がいい

最近「filmmaker's eye」という構図の本を読んでいるのもあって、三分割法、ロングショット、180度の原則など構図の工夫に気づくようになった。とにかくめちゃくちゃ考えられて撮られているのだなと感じた。雪景色の中に黒い車だけが配置されているロングショットが印象に残った。

カメラワークはロジャー・ディーキンスの仕事らしい。色々撮ってるみたいなので他のも観てみたい。

ほとんどゲスい

人間の闇を描くジャンルということで、ほとんどの人間がゲスい。そもそも主人公の発想がやばいし、自分の娘の身代金を値切ろうとする義父、金を独占しようとする犯人Aと平気で殺しをやるB。サブプロットで出てきた日系人も嘘ついて人妻の警官に言い寄るやばいやつだった。

最後に

主人公が変化しなくても事件の真相を追いかけることでストーリーは成り立つのだと学んだ。情報の出し方、構図での見せ方で面白さが決まってきそう。
あとこの映画の最初に「この物語は実話です。登場人物の名前だけ変えてます」っていうテロップが出てくるけどこれは嘘らしい。しかも出演陣にもそのように伝えて撮影したというから驚いた。観客にはリアリティを感じさせ、演者にはリアリティを表現させる手法になっていたんだと思う。

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