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「事故から学ぶ」 素人が安易に冬キャンプをしてはいけない3つの理由。

こんにちわバツ2ソロキャンパーです。

突然ですが私は基本的に素人が冬キャンプに行くことに対して否定的です。

今回はそんなおはなし。

北海道苫小牧市のキャンプ場でガスボンベが爆発し5人が怪我

冒頭からなんとも悲しいニュースで申し訳ないですが、2020年12月8日 北海道苫小牧市にあるキャンプ場でこんな事故が起こりました。

死亡事故にはなっていないですが、これ普通に死ねる事故です。

今回はこの事故の原因をもとに

「素人が冬キャンプをすべきではない3つの理由」

をこの投稿をご覧になった方にお伝えしたいなと思っています。

冬キャンプの楽しさを伝えつつ注意点を書く記事は結構あるのですが、危険性メインで伝える記事ってあまりないので、あえて逆張りでネガティブなことを書きます。

事故の原因

まずは事故の原因とその原因を引き起こした理由について考えてみます。

「低温化の状況でガスボンベの着火ができずガスボンベを石油ストーブ(と思われる)の近くで温めた為、ガスボンベが高温になり爆発した」

というのが今回の事故です。

原因はガスボンベを温めたことです。

ではなぜ、ガスボンベを温めるなどという危険な行為を行ったのでしょうか。

市販のガスボンベに利用されているガスは低温になると気化しなくなり、使用できなくなります。

気温が5℃以下であれば、ほぼ使い物にならないと言っていいでしょう。また標高の高い場所等においても気圧や酸素濃度によって着火しづらくなります。

もちろんガスの成分によって対応する気温が変わったりしますが、それでも0℃以下の気温だと着火は不可能なケースが多いです。

詳細は岩谷産業さんのHPが詳しいです。

http://www.i-cg.jp/support/faq/gas/

ガスが気化せず着火できないという場合においてガスボンベを温めるという行為自体は有効な対応です。今回はその温め方に問題があったケースと言えるでしょう。

ちなみに事故当日の真駒内市の気温はこんな感じ。

最高気温 4.1℃ 最低気温-3.9℃ということで日中であってもガスを使用して燃焼は難しい状況だったでしょう。

また、このような環境であれば、おそらく早くガスを温めて暖を取りたかったのではないでしょうか。そのためストーブでガスを温めるという行動をとったとも考えられます。

素人が冬キャンプをするべきではない3つの理由

それでは事故の原因を確認したところで改めて素人が冬キャンプをするべきではない3つの理由を確認してみましょう。
素人の定義については難しいですが
-キャンプを始めたばかり。
-年に数回キャンプをする程度。
-夏のハイシーズンのみキャンプしている。

くらいの認識で読みすすめるといいかもしれません。

1.知らなかったでは済まない「知識不足」

まず、本稿を読んでいらっしゃる方にご質問です。「市販のガスボンベが5℃以下でほぼ使い物にならなくなる」ということをご存知だった方はいらっしゃるでしょうか?
感覚的に寒くなると火力が弱くなるなどの認識はあっても、具体的にどの程度で道具として機能しなくなるのかご存知でしたでしょうか?
今回のケースであればキャンプ地の気温や道具の特性を理解することでガス以外の燃料を使用する。ということができました。
また、ガス缶を温める際も温める手段をしっかり知識として持っておくことです。高温になれば危険というのはガスボンベ本体にも記載があります。
もし温めるのであれば人肌で温めたり、そもそもガスボンベ自体を冷却しない準備が重要です。

ちなみに私は冬期間は灯油やアルコールなどを使用します。ガスボンベはかさばるからあまり好きではないという理由もありますが。

2.アリアハンから旅立った直後にバラモスは倒せない「経験不足」

さて、さらに重要なのが経験不足です。

もちろん頭に知識を入れることも重要なのですが、アウトドアで相手にするのは自然です。想定外の事態は大いに起こりえるのです。

最近ではキャンプのYoutube動画なども多く、楽しそうにキャンプをしている動画、How to的な動画も多数存在します。

ですがそれらを見たところでその人の経験にはなりえないのです。

「キャンプ動画でOOがやってた」は知識として活用できると思いますが、実際にキャンプをする際に同じ環境を再現できるでしょうか。

知識は非常に重要ですが、どの環境でどの知識を使用するかは経験によって培われることが多いです。

その不自由を持っている知識の応用で対応するのが楽しいところだと思いますが。

3.そんな装備で大丈夫か? 「装備不足」


知識や経験が不足しているともちろん装備も不足します。当然です。何をどのように装備すべきかの知識や経験がないのです。

例えばテントをとっても冬の利用に適さないテントなどがあります。私の利用している、炎幕などはパップテント風のテントですがベンチレーション(通気孔)がありません。仮に雪が積もってスカート部分が覆われてしまったりすると下手をすると窒息や一酸化炭素中毒で死にます。そのため、あらかじめ通気できるよう設営する工夫をしたり、違うテントを使用することもあります。

https://www.tent-mark.com/enmaku_dx_ver2/

「知識不足」の項目でも述べましたが環境に合わせた装備をすることが必要です。もしその装備がないのであれば冬にキャンプなどするべきではないです。

タイヤに冬用のスタッドレスタイヤはあるように、キャンプ道具も冬に適した道具があるのです。夏タイヤでアイスバーンは走らないですよね。

まとめ

以上3つが私が思う「素人が冬キャンプをするべきではない理由」です。

今回のケースではそのほかにもテント内で炭を起こしていたりしたようで、リスク管理そのものがお粗末な感じです。ガスボンベの爆発で済んでよかったんじゃないかと思ったりもします。集団自殺の希望者とかだったんでしょうか。

正直なところ、冬キャンプってテレビや動画でみるほど簡単な世界ではないです。キャンプというより下手するとサバイバルです。

動画やテレビは編集されて10分くらいの素敵な時間を切り出していますが、本番では24時間、文字通りアウトドアしているわけです。特に私が住んでいる北海道では当然のように気温は氷点下ですので座ってるだけでゴリゴリ体力を削られます。ドラクエの毒の床みたいな勢いで削られます。

十分な知識と経験と装備を身に着けてからキャンプしないと、本当に死にます。

キャンプってそんなに慌ててやるもんじゃない

じゃあ、冬キャンプってどうやって始めればいいの?と思われる方もいるでしょう。

OKわかった。一度冷静に考えてくれ「ほんとうにやりたいか?」

よく、寒くなると虫もいなくて空気も澄んでいてキャンプには最高とキャンプメディアなどで囃し立てていますけど、それってつまり「虫さんなら死んじゃうレベルで寒い」ってことですからね。過酷なんですよ。それでもやりたいですか?

テレビやメディアに踊らされてませんか?冬キャンプしてる人間が言いますけど、ほんとにしんどいですよ?

もしそれでも本当に冬キャンプやりたいというのであれば止めません。ただやはり知識や経験を積んでからにしましょう。

正直冬キャンプはお金がかかります。衣類にしたってそうですし、防寒用のキャンプ道具、燃料。春や夏と違い暖かくする装備に結構コストがかかります。

なので初めて冬キャンプをするときは冬キャンプに慣れた人と一緒に行きましょう。

そういう変態野郎は装備や知識の宝庫ですし、冬キャンプをしたという経験は非常に重要です。

そこでコストに対しての価値を見出せるのならやればいいのです。実際やってみたら想像以上に寒くて冬キャンプなんてやれない!ってなる可能性だってあるのです。

それと今からキャンプを始めようと思っている人がいるならはっきり言っておきます。

あなたは単純にメディアに踊らされています。冬キャンプでキャンプデビューしないで暖かくなるまで待ちなさい。

そもそもそんなにあわててやるもんじゃないんですよ。キャンプなんて。好きな時に好きな場所にいって好きなことをやるのがキャンプのいいところだと思うんです。

なのでまずは暖かい時期にキャンプを始めて、「冬もやってみたいな」と思ったら徐々に装備をそろえていけばいいんです。

最初なんてテントの設営だって大変なんですから、まずはテントを短時間で設営できるようになるくらいの経験を積んでから冬キャンプをしたほうがいいと思います。きっとその間にいろいろトラブルもあったりで知識や経験もたくさん積めます。

長々と書きましたが冬キャンプってちゃんとできれば本当は楽しいです。雪かきして設営し終えた後のビールなんかは夏のビールにも劣らないうまさです。ただやはり春夏秋にくらべると難易度ははるかに高いです。しっかり準備と経験を積んでからチャレンジしてください。

よいアウトドアライフを!

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