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起業1年目の振り返り / 株式会社nanoni 張聖

2022年も残すところ10時間を切りました。
GoogleのYear in Searchによると、今年「can i change」というフレーズが過去で最も検索された1年だったそうです。
そんな私も、起業家1年目として「can i change」に向き合った1年だったなと、自分のことを褒めてあげたい気分。

2021年秋 人に会い続けた、起業準備段階

仕事の多忙を言い訳に、最後の投稿は、2021年3月。当時はまだ起業準備中でした。

現在フェミテックの領域で起業準備中です。20代の頃に子宮頸がんの検査に引っかかって怖い想いをした経験から、もっと知識をつけられるような、安心感のある、子宮の病気を予防できるようなサービスの開発を目指しています(まだこの辺ぼんやりしてる)。

非エンジニアのアラサーがフェミテック掲示板を作ってみた話。

あれから1年。というか2021年3月だとほぼ2年経つのだけど、企業向けのフェムテックの福利厚生サービスとして、2022年2月に「carefull(ケアフル)」をリリースしました。

当時、子宮頸がんの啓発がしたかった私は、約半年間、友人やお仕事で出会った方々、時には夜の街で、兎に角色んな環境で働く女性たちにインタビューをして回りました。そこで分かったことは、悩みの大小はあれ、ほぼ全員がリプロダクティブヘルス(日本語でいうと性と生殖の健康課題)に何かしらの不安を感じた経験があるということでした。症状を罹患してからでないとケアへの意識が向かない、そんな状況への違和感は、最初は自分ひとりの問題意識でしたが、次第に社会の課題ではないか、そんな想いを持つようになりました。

病気にかかるまで個人が予防に意識を向けることが難しいのなら、意識が低い人でも必ず話を聞く場でヘルスリテラシーの啓発を出来ないか。

高校、大学、会社の研修、、、学校教育を変えることは難しいかもしれないけど、会社の新人研修に組み込まれるような世界観なら作れるかもしれない、それにGoogleで新規営業をしていた経験が活かせるかも!そう考えた私(と友人)は、不確かな自信で、BtoB向けのサービス開発に着手しました。

2022年春 ニーズが具体化していった、企業へのヒアリング

BtoBと決めてから最初に行ったこと。それは、企業の経営者や人事の方へのヒアリングでした。といっても営業出身の私に、人事の知り合いはほとんどいなく、前職や前々職時代にお世話になった経営者の方々にお願いをして紹介をしてもらいました。そうしてヒアリングを繰り返しているうちに、企業としても仕事をより長く続けてもらうために、女性特有の悩みをサポートしたい想いがあることが見えました。不妊治療による離職や更年期による昇進の辞退は男性には滅多に起こらない女性特有のキャリアの課題です。

会社には様々な社員がいるので、ある健康課題に特化したもの、というよりも年齢やライフイベントによって変わっていく女性特有の課題を包括的にカバーできるサービス

次から次へと出てくるフェムテックのサービスを追いきれないので、それらを集約したプラットフォーム

福利厚生に潤沢な予算がないので、ライトに導入できるもの

こんなニーズをいただきながら、サービスが具体化していきました。

①「自分を守る武器」としての健康知識を得るためのセミナー

②企業の福利厚生を充実させるための割引特典

③当事者同士が同じ悩みで繋がり、助け合うための匿名掲示板

2021年11月 実証実験から、正式導入=サービス化へ

秋頃には、PoCからスタートしていたアイスタイルさんが1社目の導入企業として正式に決まり、21年の11月には日経新聞に、12月にはアイスタイルさんからもプレスリリースを発表していただきました。ちなみにこの時の記事を見返したら、当時デザイナーがいなかったので、サービストップはフリー素材が使われていました。そして説明文を見る限り、「サービス」というよりも「プロジェクト」的な位置付けでやっていました(PoCからサービス化に至ったので、取材時はまだプロジェクトと呼んでいた)。

carefullの初期UI 2021年11月発表時

2022年2月 サービス展開前のUI改善

図からも分かるように、正直初期のUIはかなり見窄らしいものでした。これは、私も、エンジニアも、課題を自覚していて、「流石にプラットフォームが社内で展開されて社員さんの目に触れるときまでには、もう少しデザインを改善した方がいいね」ということが話し合われていました。
そこで、大学時代にRoom to Readの活動で共に汗を流し、ニューヨークからたまたま一時帰国中だった先輩に声をかけ、UI改善がなされます。プロの力を借りることで、初期に比べるとだいぶ洗練されました。

carefullのUI 2022年2月

2022年6月 経済産業省 令和4年度 フェムテック実証事業の応募、そして採択!

2022年4月になると、経済産業省 令和4年度 フェムテック等サポートサービス実証事業の公募が発表されました。フェムテックのプラットフォーマーとして、市場の拡大=自社の成長に連動するので、企業のフェムテック活用を促進しようとする経産省さんの試みにはなんとしても一緒に市場を盛り上げる側として採択されたかった。
実は1年前の実証事業は応募したものの不採択という結果に終わった苦い思い出もあったので、今回こそは、という想いも強かったです。
前年の反省を活かし、今回はnanoniを採択することによって経産省が得られるメリットを軸に、全員で案出しをしました。

チームメンバーに流したメッセージ

議論の結果、フェムテックの市場調査事業を計画として提出し、6月に今年度の実証事業者として採択をいただくことができました。経産省側が得られるメリットを第一に考えて応募した事業だったものの、サービスをローンチしたばかりで実績も乏しいスタートアップにとって、本プロジェクトへの採択は企業からの信頼感を得る上でも本当にありがたい出来事でした。国の予算を預かる責任と期待を超える成果を報告せねば、という重圧で採択発表の翌日から全力で本事業に向き合います。

事業計画は上記サイトの資料ダウンロードから見ることが出来ますが、
6月にToDoを思いつく限りスケジュールに落とし、
7月にアンケート依頼先企業のリスト作り、
8月に1000社の企業への架電開始、そこからミーティング希望企業との面談
こんなに働いたのは新卒以来!とも思える激務っぷりで、久々にアドレナリンを放出しながら働く日々。
おかげ様で9月には少し余裕ができて、展示会出展やDMといった新規施策にもチャレンジすることができました。

2022年10月 初の展示会出展

この1年はほとんどのことに「初」がついてしまうけど、その中でも展示会に出たことは、我ながらに運命を分けるような良い決断だったな、と自負しています。
というのも、この展示会はその後いい流れができるきっかけになるのですが、そもそも数百万というまとまったお金を投資してのマーケティング施策は、資金に余裕がない、ましてや投資しても何件が案件化に繋がるかも分からない中で、冷静に考えたら尻込みしてしまいそうな内容だったからです。
うる覚えすぎて、何の参考にもならないけど、昔ある経営者に「どうしてxxxのイベントに出ることにしたんですか」と聞いた際、「(日本では)初めてだったから」と言っていました。
「きっと”初めて”のイベントって主催者側も力を入れるし、情報を得て参加する側も感度が高いんだ!」単純な思考回路を持つ私は、そんな感想を持った記憶があります。

ビッグサイトで、フェムテックをテーマとした初の展示会が開催される

「きっといい出会いがある」、そんな直感から、出展を申し込みました。

carefull 展示会ブース@フェムテック東京2022

思わず立ち寄りたくなるブース作りや手に取りたくなるチラシなど、当たり前だけど、展示会出展に向けたタスクは膨大。展示会準備の頃から参画してくれたメンバーにプロジェクトをリードしてもらい、目の前の必要な作業をひとつずつ片付けていきました。
イベント当日は、医師もエンジニアも関係なくメンバーフル出動!
朝から夕方までの立ち仕事はイベント初日から膝が悲鳴をあげ、体感体重は2kg減なくらいハードだったけど、おかげ様で本当に多くの方々にブースに立ち寄っていただくことが出来ました。
ちなみに、ここでcarefullのUIがもう1回進化します。

carefullのUI 2022年10月発表

2022年11月 経産省実証事業の中間報告

7月から本格稼働していた経産省のフェムテック実証事業は、11月に利用動向調査の中間報告を発表しました。

9月末時点で約300社から回答があり
・「健康経営銘柄」「なでしこ銘柄」といった国から認定を受けた企業であっても、6割以上の企業が「女性の健康課題」を経営上の課題として捉えていない
・一方で、「女性の健康課題」が経営上の課題として認識されている企業の内、7割以上の企業が何らかの対策を実施している(ただし、それを必ずしも「フェムテック」という言葉としては捉えていない)
といったインサイトを得ることが出来ています。
(詳細はぜひ、中間レポートをご覧ください!)

2022年12月 クラウドサービスの料金プランを変更

厳密にいうと、10月の展示会時からアナウンスしていましたが、企業に使ってもらいやすい料金プランを目指して、サービスの料金形態を「1従業員あたり」から「1企業あたり」に変更しました。
また、大変ありがたいことに、Japan Beauty and Fashion Tech Awards 2022で特別賞に選出いただきました。

この投稿を書き始めた時は、「2022年も残すところ10時間を切りました。」と言っていたけど、ふるさと納税で届いたりんごを食べながら書いていたら
2022年も残すところ5時間を切りました!!

2022年はメンバーにもクライアントにも恵まれ、周囲にサポートをいただきながら、
・初めてのサービス開発
・初めての組織づくり
・初めてのクライアント獲得
・初めてのメディア取材
・初めての国の実証事業採択
・初めての展示会出展
・初めてのAWARD受賞
と初めて尽くしな1年。初めてだからこそ、何事も「やれば出来る」と自分を信じる必要があったし、「can i change」- 時には求められる環境に適合できるように自分を進化させないといけない時もあった。
うまくいかないことを反省し改善する、ひたすらそれをぐるぐるやっていたらあっという間に365日が経ったような気がします。

2023年は、変化を楽しむ余裕が出来たらいいな。
それでは皆様良いお年を。

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