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2022/3-4新譜感想 Jack White, Spiritualized, Fontaines D.C., Bloc Party ,RHCP, 他

2022年3月~4月リリースの新譜感想です。
これを書いている最中にリリースされたThe Smileやケンドリック・ラマーの新譜が凄まじい出来で、こういう記事って鮮度も大事だよなと後ろめたさも感じつつ、投稿します。

■Jack White「Fear Of The Dawn」

ジャック・ホワイトの7年ぶりのソロ作。
彼の作品はラカンターズで止まっていたので、グラミーを受賞した前作「Lazaretto」(2015)も聴いてから最新作に入ったんですが、温故知新なサウンドから一転、だいぶモダンで力強いアルバムになってます。ちょっと派手でスケールが大きく、かつてのMuseを彷彿しますね。物凄く好みかと言われると違うんですが、素直にカッコいい仕上がりです。
Fuji Rock'22ではヘッドライナーとして来日予定、これはグリーンステージの爆音で聴いたらたまらないでしょう。トリだけに許される演出で、会場を真っ青に染めてくれそうです。

■Spiritualized「Everything Was Beautiful」

スピリチュアライズドの新作。
多幸感溢れる音像に、温かみのある豊かなベースラインが効果的。気持ちを前向きに正してくれます。
メロディが優れているのでさらっと聴ける一方で、聴き減りしない深みも持ち合わせた良盤という印象です。似たような曲が並ぶ点は否めませんが、7曲とコンパクトなので最後まで聴く上での妨げにはなりません。

恥ずかしながらスピリチュアライズドをきちんと聴いたのは本作が初めてで、というのも私が洋楽に入ったのは2000年代後半なので、彼らの活動ペースがちょっと落ちた後だったんですね。名盤ディグりで「宇宙遊泳」を履修した程度でした。ここで新譜を体験できて良かったです。

■Fontainees D.C. 「Skinty Fia」

こちらもフジロックでのパフォーマンスに期待がかかるフォンテインズD.Cの3rd。
冒頭#1の、白波のように押し寄せるギターのディレイサウンドやダンスミュージックの影響をうかがえるリズムパターンを始め、様々な影響を感じつつも、全てがダークで硬派な質感に向いているのが良いです。
曲にブレが無く、アルバムとして完成度が高い。個人的にはEndingが気に入っています。
鳴ってもいないメロディが遠くから聞こえてくるようなサウンドスケープ。インタビューでケヴィン・シールズの影響を挙げていましたが納得です。

メッセージやサウンドに一貫した美学があって、こういうバンドが英チャート1位まで上がったなんて、なんて素敵なことでしょう。

■Bloc Party「Alpha Games」

久しぶりのブロック・パーティ新作です。
原点回帰という声が多い本作ですが、サウンドの感触的には4thアルバムの「Four」のほうが近いかなと思います。つまり初期のポスト・パンクリヴァイバル的なバンドサウンドに戻りつつも、アグレッシブさはキャリア相応の落ち着きの範囲内といいますか。あれは先代ドラマーのマット・トンの特徴的なドラミングが大きかったですね。
過去作と比較してしまうと、別格の1st、2ndには及ばず、前作(5th)の「Hymns」よりは上という自己評価です。
ともあれ一時は解散もあり得た状態を踏まえると、こうして活動を継続し新作が聴けたことは素直に喜びたい。
それにしてもラッセル・リサックは相変わらず創意工夫のあるギターサウンドで魅力的です。昔から彼のギター大好きで、テレキャスでディレイを軸にユニークなサウンド作らせたら唯一無二の位置にいると思います。髪型も全然変化がないですね。腕は太くなりましたが…。

■Red Hot Chili Peppers「Unlimited Love」

これは厳し目です。レッチリは長らくリック・ルービン体制下でアルバムを制作していましたが、そこから脱却し新境地を目指したのが前作「The Gateway」でした。この作品はデンジャー・マウスやナイジェル・ゴッドリッチを招聘した意欲作でしたが、今回の新作はプロデユーサーも旧体制に戻っています。
内容も復帰したジョン・フルシアンテは良い音鳴らしてますが、それも想像の範囲内というか、楽曲も物凄く保守的で面白みに欠けます。リード曲の「Black Summer」は良い曲ですが、ジョン在籍時のかつてのアルバムに混ざっていても違和感の無い、代わり映えのなさに驚きました。
レッチリ、難しい局面に入ってしまったんじゃないでしょうか。

■Nilüfer Yanya「PAINLESS」

ニルファー・ヤンヤの2nd。セールスと個人的な印象のギャップという意味では、今回挙げている作品では本作がお勧めです。
「Midnight Sun」は代表曲になるんじゃないでしょうか。乾いたドラムとつま弾くギターのアルペジオを彩りに、静かに抑揚するメロディがクール。耳に残ります。後半にファズギターが重なってくる展開もインディーロック的熱さがあってGood。
ライブはお世辞にも安定感があるとは言い難いんですが、ストラトを弾き語る立ち姿が良きです。


■King Gizzard and the Lizard Wizard「Omnium Gatherum」

活動10年目にして20枚目に到達。
そして今回は2枚組ですよ。やってくれます。
本作については、以下記事を更新しました。


上記以外で印象に残ったのは
Psychedelic Porn Crumpets、Kurt Vile、The Lazy Eyes、チャーリーXCXの新作。
このあたりは今後聴き込んでもっとハマる可能性ありです。
そして期待の若手として
Wet Leg、The  Linda Lindasも良い1stアルバムでした。特に後者は今聴くには(自分には)ちょっと青すぎるので、成長と共にどう変化していくのかが楽しみですね。

以上です。

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