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詩です。
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2024年4月の記事一覧

小鳥➖詩

 

 いつから
 僕は籠の中にいたのだろう
 
 抗菌室にも似たそこは
 あなたはここでしか生きられないと
 教えるひとだけが居る
 
 籠の中には
 海も空もなくて
 この電車が
 どこへ行こうと構わなかった
 
 こうなっても僕は
 まだあの時の夢をみる
 
 僕が鳥だった頃に
 
 僕が何も知らなかった頃に
 何かを知るために飛び出したとき
 
 あるいは
 ただ一瞬正気に戻ったとき
 

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羊水➖詩

 羊水の
 懐かしいにおいを思い出している時間
 空はもう
 寝なければならない色をしている
 
 暖かな陽だまりのにおい
 まだ僕たちがなにも知らなかったころ
 
 君は何を求めているの
 あの頃は
 あの頃も
 
 本当はなんにもいらなかった
 暖かな匂いの中で漂っていたい
 
 もし僕が
 人間の姿をしていたのなら
 あなたは僕を温もりで包んだだろうか
 
 ゆらめくような午前四時の
 きら

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