羊水➖詩

 羊水の
 懐かしいにおいを思い出している時間
 空はもう
 寝なければならない色をしている
 
 暖かな陽だまりのにおい
 まだ僕たちがなにも知らなかったころ
 
 君は何を求めているの
 あの頃は
 あの頃も
 
 本当はなんにもいらなかった
 暖かな匂いの中で漂っていたい
 
 もし僕が
 人間の姿をしていたのなら
 あなたは僕を温もりで包んだだろうか
 
 ゆらめくような午前四時の
 きらめくような春の日は
 絶望的なまでに美しくて
 何にでも成れそうだと思い 飛んだ

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