小鳥➖詩

 

 いつから
 僕は籠の中にいたのだろう
 
 抗菌室にも似たそこは
 あなたはここでしか生きられないと
 教えるひとだけが居る
 
 籠の中には
 海も空もなくて
 この電車が
 どこへ行こうと構わなかった
 
 こうなっても僕は
 まだあの時の夢をみる
 
 僕が鳥だった頃に
 
 僕が何も知らなかった頃に
 何かを知るために飛び出したとき
 
 あるいは
 ただ一瞬正気に戻ったとき
 
 今日は幼児になった母親の夢をみた
 

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