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自己都合な解釈をするときに起こるあの現象「批判的思考」+24

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+21,+22,+23

前回は、常識の定義と常識を決めるまでのプロセスの説明をしました。今回は、「認知的不協和」についてです。

こんなときあなたはどう考える?

たとえば「クレヨンしんちゃん」のしんちゃんが、昼寝をしている母みさえのために庭の洗濯物を畳もうとしました。しかし洗濯物を洗濯干しから取ろうとしたところ、まちがって地面に落としてしまいます。外は雨が降っていて地面はぐちゃぐちゃ。洗濯物も汚れてしまいました。

このときしんちゃんは、どのような心境になるでしょうか。

自分は良い行いをしようとしたのに、結果として悪い結果になっているのです。このような現象が「認知的不協和」を引き起こします。

もう少し具体的に説明すると、このときしんちゃんは、「自分はみさえの役に立ちたい」という気持ちがあったのに、「みさえに迷惑をかけた」というもう1つの気持ちも発生しているのがわかります。

言い換えると、相容れない2つの認識が心のなかにある状態です。この状態こそ、認知的不協和なのです。

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これまで原因帰属について説明し、人には「自己奉仕バイアス」があると説明しました。自己奉仕バイアスとは、自分に都合の良い解釈をしてしまう現象。このときのしんちゃんには、この不快で相反する認識を矯正する思考が始まっているのです。

要するに、自己を正当化し始めます。

しんちゃんが考える2つの都合

庭の洗濯物を汚してしまったしんちゃんは、この緊張状態を解こうと原因を考え始めるでしょう。認知的不協和を解消できる方法を探すのです。そのときに考えるのが、選択プロセスの合理化と未選択プロセスの非合理化。

1つ目は、「みさえのために洗濯物を取り込んだんだから、怒られないだろう」と選択肢のメリットを強調し始めます。言い換えると、自分の自尊心を守れるような原因帰属を行うのです。善い行いをしたんだから、このミスは仕方ないよね!と決定づけるイメージ。

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2つ目は、「雨が降っているのに洗濯物を干すみさえが悪いんだ!」と未選択肢のデメリットを強調が起こります。実際には洗濯物を自分で畳まずにみさえに声をかけることもできたでしょう。しかしそちらの選択肢は無視して、みさえの怠惰に目を向けるのです。

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まとめると、自分が選んだ選択のポジティブな面は強調し、ネガティブな面は無視。逆に自分が未選択の選択のネガティブな面は強調し、ポジティブな面は無視します。これでしんちゃんの緊張状態はグッと和らぐでしょう。

以前説明したように、人は自分のアイディンティティが侵されるような原因帰属を嫌います。自分の都合の良い解釈をする傾向は誰にでもあり、そしてその現象は、認知的不協和が起きているときに強く偏りがちになるのです。

つまり、自分の判断がまちがっていなかったと安心したくなります。

まとめ

認知的不協和が起こるとスキーマが極端に自己都合な働き方をします。自分の都合の良い情報だけを抜き取り、都合の悪い情報は歪めてしまうのです。この現象は誰にでもあるからこそ、日頃からの意識が重要です。クリティカルシンカーになる道はとても長そうです。

【考えてみよう】
DV常習犯の男性と付き合っている女性がいる。しかしこの女性は、周りから別れを勧められてもその男性から離れようとしない。「わたしがいないと彼はダメなの(・o・)」とすら言っているようだ。この女性が別れない理由を認知的不協和を使って説明してみよう。

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どうして自己都合な解釈は起こってしまうのか「批判的思考」+24


読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。