「常識」を信じて傷つかないための処方箋「批判的思考」+23
クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+21,+22)
前回は、習慣的な原因帰属のパターン次第では、抑うつ傾向が出てしまう話をしました。まちがった帰属スタイルを使い続けると、いつまで経っても正確な原因帰属はできません。
今回はそんな間違った原因を帰属するときに足を引っ張られる「常識」について考えます。
ここでの常識の定義
ここでの常識の定義は、「普遍的に正しい事実」とします。[常識]は文脈によって意味が変わりやすいので注意してください。「あたりまえ・リテラシー・不変」なども「普遍的に正しい事実」という意味で使うのであれば、ここでの常識の意味とイコールになります。
常識は、内容によって事実と主張がゴチャまぜになっているので気をつけましょう。「それあなたの意見ですよね?」な仮面をかぶった常識はそこら中に転がっています。そんなエセ常識を信じる必要はありません。
大事なのは、常識をちゃんと定義し、疑う姿勢です。
こんな常識は間違っている
たとえば、外国人から「日本人はみんな優しいからケンカをしない」が常識だと思われていたとしましょう。そしてその外国人から、「ニホンジンなのに怒るンデスネ」と言われたら、どう思うでしょうか。
どこかで常識と言われれた事柄は、どれも「普遍的に正しい」と思考停止して思い込む大人は多いものです。しかしこの考え方をしていては、クリティカルシンカーにはなれませんし、まちがった原因帰属をし続けてしまいます。
極端な人だと、聞いた情報に強く支持できる根拠があるだけで「常識」と考えたり、みんなが支持しているから「常識」と捉えたりします。これは帰属パターンを歪ませる典型例で、部分的な話や不安定な出来事を全体的や安定的と捉えるきっかけになってしまいます。
常識を疑う2つの視点
「普遍的に正しい事実」だけを常識と定義して考えていくのには、まちがった常識の捉え方をせず、かつ普及している常識を疑う必要があります。
そこで大事なのが、原因帰属の4つ視点です。「これは常識だよな」と思ったときは、間髪入れずに次の2つの視点から再考してみましょう。
1.誰から見ても正しいか(全体的or安定)
2.これを支持する強い根拠はあるか
たとえば、「食事量を増やせば体重が増え、食事量を減らせば体重が減る」これは全体的に見ても正しいですし、安定的に起こる結果ですよね。かつこの現象を支持するエビデンスは数え切れないほどあるでしょう。
このような現象であれば、常識だと確定します。他人に常識を伝えるときは、上の2つの質問に正確に答えられるときだけにするのが賢明です。もしその常識が自分の集団だけでしか適用されないのであれば、相手を傷つける恐れがあります。
このように自分なりに常識とはなにか?を深ぼる準備をしておけば、まちがった原因帰属は激減するはずです。変な常識を信じて傷つく必要はないのです。
まとめ
自分にとっての常識が他人にとっての非常識なのはわかりますけど、「じゃあどうやって判別するの?」を教えてくれる大人はいないんですよね。だからこそ、クリティカルに考える必要があるのです。
【考えてみよう】
「日本人は優しいから怒らない」という外国人の主張に対して、この根拠が不当である点を考えてみよう。[日本人][優しいから][怒らない]と要素に分けて考えるとわかりやすい。
読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。