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真実はいつも1つ!でもアレは1つじゃないから気をつけよう「批判的思考」+10

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2,+3,+4,+5,+6,+7,+8,+9

前回までで原因推測の落とし穴を一通り説明しました。ここからは、因果関係を決定するための方法について解説していきます。

真実はいつも1つでも原因はいつも複数

名探偵コナンくんの名台詞に、「真実はいつも1つ!」があります。たしかに真実はいつも1つなんですが、その真実を生み出した原因は複数あるのが常です。

そして因果関係を決定する要因は複雑なので、これさえやればOK!な原因推測法存在しません。環境やタイミング、性格によって、使える手段はケースバイケースなのです。

クリティカルシンキングは推理探偵と似ていて、色んな角度から真実を追い求めなければいけません。その場に合わせてつかえる手段を選びつつ、1つの真実を探さなければいけないのです。

こんなときに一致法がつかえる

原因推測は複雑でむずかしいんですけど、広範囲で当てになる手段もいくつか存在します。フレームワークと言い換えてもいいですね。その1つが「一致法」です。

出来事Aの起こる原因が、Xだと仮説を立てられたとしましょう。であれば出来事Aと類似している出来事Bでも、Xが生じているかを調べます。もしXが存在しているとき、出来事AやBに同じ結果が起きていれば、高確率で原因はXだとわかります。

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具体例を出しましょう。

「クレヨンしんちゃん」の主人公のしんちゃんとカスカベ防衛隊のマサオくんが、熱を出して体調を崩してしまったとします。2人の母親は、この同時に発生した体調不良の原因を探すことにしました。

このときに使えるのが一致法です。しんちゃんとマサオくんは、朝ごはんも夜ご飯も別々に食べていますし、住んでいる場所も違います。しかし体調を崩した当日、2人は近くの公園で遊んでおり、そこで水遊びをしていました。2人とも帰宅したときには、びしょ濡れの状態だったのです。

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この共通点を見つけた2人の母親たちは、体調不良の原因を「水遊び」だと結論づけました。

一致法の欠点

一致法は、実用性がありすぐに使える便利なフレームワークです。しかし先程の例の一致法には、見落としている点があります。

しんちゃんとマサオくんが風邪を引いた理由を水遊びと決定づけた母親たちですが、実際はそもそもしんちゃんが風邪を引いており、その風邪がマサオくんが感染った可能性もあるのです。

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つまりわかりやすい共通点を見つけたとしても、それが唯一の共通点だとは言い切れないのです。もしかしたら見落としていた要因こそが、真の原因だったかもしれません。

一致法は共変関係を当てにしている

複数の出来事に共通の原因があれば、それを一致法で原因と決定するのはカンタンです。しかしいままで話してきたように、「共変関係=因果関係」とは言い切れません。第3変数や同時発生の原因が隠れている可能性があるからです。

もししんちゃんが水遊びによる体調不良ではなく、重度な感染症に罹っていたとしたら、みさえにもその感染症が感染るかもしれませんよね。野原一家全員に感染して、ゼロ歳児のひまわりにも悪影響を与えるのです。

このように真の原因を見落とすことで最悪の結果になりえる1例もあります。一致法は便利な原因推測法ですが、共変関係を当てにしている不確実性もある事実を把握しておきましょう。

まとめ

一致法は便利なんですけど、自分の都合の良い解釈をしやすい欠点もあるので、上手に使っていきたいですね。人間関係の問題でも、安易な一致法を使ってやらかすパターンをよく見かけます。

「目立つ出来事」を原因と考えてしまう人間の思考バグ、どうにかならないですかね。

【考えてみよう】
3ヶ月前から、友人Aと会うとくしゃみが止まらなくなった青年がいたとする。以前まではそんな症状はなく、他の友人に会っても体調に変化はない。青年はくしゃみの原因が、友人Aと会うからだと仮説を立てた。青年にどんなアドバイスができるだろう?

動画解説を今すぐ観る↓↓↓

クリティカルシンキング「因果関係を決定する方法:一致法」+10


読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。