【短小説】誰にも言えない秘密

「誰にも言えない秘密」

日本海の荒波が育てた逞しい広背筋から生まれた力が拳へと伝わり彼女のボディに突き刺さった。

土台無理だったんじゃ、穏やかな湖で生まれた淡水人魚の彼女にいくらボクシングを叩き込んでも海水人魚に勝てるわけねぇわ。

満身創痍の彼女をそっと湖に戻す…斜めに泳いどる…もうダメかもしれん。

「じゃあの」
わしはそう呟いて広島へ帰った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?