XRISM

X線分光撮像衛星XRISMは、JAXAが、NASAや世界中の大学・研究機関と協力して開発を進めている衛星です。2022年度中の打ち上げを目指しています。noteでは、X線で観る宇宙の魅力とプロジェクトに携わるエンジニア・サイエンティストの話題をお伝えしたいと思っています。

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X線分光撮像衛星XRISMは、JAXAが、NASAや世界中の大学・研究機関と協力して開発を進めている衛星です。2022年度中の打ち上げを目指しています。noteでは、X線で観る宇宙の魅力とプロジェクトに携わるエンジニア・サイエンティストの話題をお伝えしたいと思っています。

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      What does XRISM investigate in the universe? This note will show you what puzzles researchers are trying to solve.

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    Introduction - What does XRISM investigate in the universe?

    At first glance, the Universe seems barren, a place cold, dark, and empty. But the Universe as revealed in X-rays – faint thought they are – paints a different picture. Hot plasmas hundreds of thousands of degrees. Jets emanating from black

      • 銀河系の中心に潜むモンスターブラックホール

        モンスターブラックホールいて座A*天の川は、星が無数に集まった我々の住む銀河系(天の川銀河)を横から見たものです。太陽系は銀河系の端に位置していて、いて座の方向に銀河系の中心があります。その銀河中心には太陽の400万倍のもの質量を持つモンスター級の巨大ブラックホール「いて座A*(エースター)」があります。  周囲の星の軌道を測定し、その中心にいて座Aがあることを発見した2つの研究グループの代表Genzel(ゲンツェル)博士とGhez(ゲェズ)博士は2020年ノーベル物理学賞を

        • 若手も活躍、Xtendチーム (後編)

          X線分光撮像衛星XRISMに搭載されるミッション機器の一つ、Xtendの開発チームのメンバーへのインタビュー、後編です。今回は、下記のXtendチームの若手メンバー3人にお話を伺いました。(所属などは、2022年11月23日現在のものです。) 野田 博文 (大阪大学大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻,助教)  小林 翔悟 (東京理科大学 理学部第一部 物理学科 助教) 金丸 善朗 (宮崎大学 農学工学総合研究科 森研究室 博士課程3年) Xtendチームは非常にメンバー

          • 若手も活躍、Xtendチーム (前編)

            X線分光撮像衛星XRISMに搭載されるミッション機器の一つ、Xtendの開発チームのメンバーへのインタビュー、前編です。今回は、下記のXtendチームの若手メンバー3人にお話を伺いました。(所属などは、2022年11月23日現在のものです。) 野田 博文 (大阪大学大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻,助教)  小林 翔悟 (東京理科大学 理学部第一部 物理学科 助教) 金丸 善朗 (宮崎大学 農学工学総合研究科 森研究室 博士課程3年)  Xtendの開発に携わることに

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            明るいX線連星が照らす地球型惑星の種

            宇宙のレシピと地球のレシピ 酸素や鉄、ケイ素といった、私たちの生命と文明を支える重元素は、この宇宙に初めから存在したわけではなく、星の進化や超新星爆発に伴う核融合反応を通して徐々にその数を増やしてきました。その詳細については、これまでの記事(参考記事1)でもお伝えした通りです。多種多様な元素で満ちあふれる現在の宇宙の作られ方、すなわち「宇宙のレシピ」を詳しく解き明かすことは、XRISMが掲げる科学目標の一つでもあります。今回は、この「レシピ」について、もう少し掘り下げてみまし

            ブラックホールは毛が3本?

            ブラックホールの脱毛定理 ブラックホールとは、極めて強い重力により、光でさえも脱出不可能な天体です。もともとブラックホールは、アインシュタインの一般相対性理論から予想された、理論的な存在でした。しかし、近年の様々な観測結果から、この宇宙には多くのブラックホールが存在することが明らかになってきました。さらに、これらのブラックホールは、宇宙において重要な役割を果たしていることもわかってきました。  ブラックホールの脱毛定理とは、通常の物質は様々な性質(ふさふさな毛)を持つ一方、ブ

            宇宙の鉄を照らし出す中性子星

            人類史の発展に大切だった鉄ピュリッツァー賞も受賞したジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」という有名な本があります。この本では、なぜ5大陸で独自の発展を遂げた文明のうち、ユーラシアの人々が最終的な覇権を握ることになったのかの理由を、いくつかの環境要因で説明しようと試みます。本のタイトルには、武器による軍事的な優位を表す「銃」、文明の接触で病原菌が免疫のない集団を弱体化させた「病原菌」、そしてテクノロジーを代表する「鉄」という3つが、キーワードとして使われています。 この

            トラブルが起きても解決策はなかなか見つからない、でも最後は解決できる (インタビューシリーズ 第9回)

            衛星開発には、メーカーが持っている生産技術や品質保証などのノウハウが欠かせません。今回のインタビューでは、そんな頼れるメーカの一つである三菱重工業株式会社(MHI; Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.)にご所属の玄蕃 恵 さんにお話を伺いました。 Xtendは2022年2月に開発完了して無事にJAXAへ納入されました。開発が一段落した、今のお気持ちをお聞かせください。 無事に開発できて、ホッとしているのが正直な気持ちです。XRISMには契約

            Xtendチーム座談会 その3 (インタビューシリーズ第8回)

            Xtendチーム座談会、いよいよ最終回となる3回目です。 冨田 洋さん(JAXA)、 森 浩二さん(宮崎大学)、 中嶋 大さん(関東学院大学)、 吉田 鉄生さん(JAXA)、 4名の方々にお話を伺いました。 皆さんのお話聞くと林田さんを尊敬しているのが伝わってきます。林田さんはどのようなリーダーでしたか? 冨田)林田さんの前までの開発リーダは、どっしり構えている感じ。 一方、林田さんは自分で手を動かすのが好きな人。技術の細かいところまでわかっていて、それがやりやすい面も

            Xtendチーム座談会 その2 (インタビューシリーズ第7回)

            前回に引き続き、X線分光撮像衛星XRISMに搭載されるX線CCDカメラ、Xtendの開発チームの座談会をお届けします。登場するのは、 冨田 洋さん(JAXA)、 森 浩二さん(宮崎大学)、 中嶋 大さん(関東学院大学)、 吉田 鉄生さん(JAXA)、 です。 お互い気心しれたチームという印象ですが、逆にやりにくいことはありますか? 冨田)特にないかな。 森)距離が近いからこそ”なぁなぁ感”が出ることもあるが、そこも改善できているし、気心知れたメンバーでの開発はプラスしか

            Xtendチーム座談会 その1 (インタビューシリーズ第6回)

            これから3回にわたって、X線分光撮像衛星XRISMに搭載されるX線CCDカメラ、Xtendの開発メンバーへのインタビューをお届けします。登場するのは、 冨田 洋さん(JAXA)、 森 浩二さん(宮崎大学)、 中嶋 大さん(関東学院大学)、 吉田 鉄生さん(JAXA)、 です。 Xtendは2022年2月に開発完了し、無事に衛星システムへ引き渡されました。今のお気持ちは? 冨田) 一区切りついた、一つの仕事をやり終えた、という気持ちです。もちろん打上げに向けて次の仕事がまだ

            我々人類が暮らす環境を知る–太陽系

            我々が暮らす太陽系は8つの惑星、100を超える月のような衛星、そして10万を超える惑星や隕石などの無数の小天体からなりたっています。この太陽系がどのように形成され、どのように進化してゆくか、そして我々の地球のような生命を持つ惑星は他にもあるのか、という疑問は人類が持っている重要であり根源的な問いと言えるでしょう。 太陽系にエネルギー・物質の両面で最大の影響を及ぼしているのは、もちろん太陽です。 太陽の大まかな構造を図2で示します。人間の目が捉えているのは「光球」と呼ばれる

            静かで激しい宇宙の実験室 ー白色矮星ー

            人類未踏の極限状態の物理を愉しむ実験室人類の知的好奇心を満たすべく、宇宙の謎を解くためには、見えないものを見る技術が必要です。XRISM衛星の特徴は、なんと言っても高い分光能力(色を見分ける力)。X線も、救急車のサイレンのようにドップラー効果を受けて、運動で色が変わります。その差を1/1000まで見分けるXRISMの能力は、音波に換算するなら、ゆっくり歩くときの音程のズレを聞き分けるような驚異的な能力です。 こうした分光能力を駆使し、科学者は宇宙の謎解きを愉しみます。この記

            宇宙のレシピを手に入れよう −銀河から銀河団まで

            我々の身の回りの元素は主に星の爆発によって合成されます (note#02-01)。これまでに宇宙で合成されてきた元素の何割かは、新たに作られる星に取り込まれていきます。 では、残りの元素はどこにいったのでしょうか?  実は、生まれた場所から遙か遠くまで飛び出してしまうのです。 恒星は、銀河というガスと塵、恒星の集団の中で生まれ、死にます。恒星が死を迎える過程で、合成した元素を周りの空間にまき散らします。銀河の中では、恒星の誕生と死が繰り返されているのです。私たちが住む地

            誰でも科学衛星を運用できる仕組み作り(インタビューシリーズ第5回)

            今回は、科学運用担当の渡辺伸さんにインタビューしました。もともと宇宙好きの渡辺さん。大学に入り、専門分野を決めるときに、X線天文学の道へと踏み出したそうです。XRISMでは、衛星運用準備を担当し、衛星打ち上げ後、「誰でもXRISMを運用できる」体制づくりで活躍中です。 ―XRISMに携わることになった経緯を教えてください。 XRISMプロジェクトを立ち上げる時に、現プロジェクトマネージャの前島さんに誘われたのがきっかけです。XRISMはASTRO-Hの代替機として立ち上が

            XRISMで探る超大質量ブラックホールと銀河の共進化

            イントロダクション 銀河とは、1000億個以上もの恒星からなる、宇宙の基本要素です。近傍宇宙において、ほぼ全ての銀河の中心に太陽の10万~100億倍もの質量をもつ超大質量ブラックホール(SuperMassive Black Hole, SMBH)が存在し、その質量が銀河バルジ(銀河中心部の膨らんだ構造)にある星の総質量とよい相関を持つことがわかっています(下記の図1)。 この観測事実は、銀河とブラックホールがお互いに密接に影響を与えて共に進化してきたこと(共進化)を強く示唆