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会員16,000名のグループ概要と、なぜここまで広がっているのかを考察

2019年3月に、当社アイセールスがシリーズAとして約5.4億円の資金調達を実施した際に、他の起業家の役に立ちたいという想いで事業計画書を無料公開したことが本グループの成り立ちです。

それ以降、当社以外にも「億単位で資金調達したスタートアップ企業」複数がグループ内で事業計画書を公開しています。16,000名以上の方がグループに参加し、事業計画書を参照しています。

本グループはFacebookを活用しており、どなたでも無料で参加可能です。参加も資料閲覧もすべて無料です。
リンクはこちら↓↓

この2年間は積極的な運営を行っておりませんでしたが、昨今の資金調達環境を鑑みて、今こそ本グループが挑戦するベンチャー・スタートアップ企業・起業家の役に立てると確信し、運営を再開しました。

共同運営者として、SNS界隈では有名なウィルゲート社、上場企業であるヴィス社が加わりました。

この2年間一切、運営していないにも関わらず、毎日新規の入会者がいらっしゃいました。無名のベンチャーが始めたコミュニティが、なぜ拡大しつづけるのか?考察することで起業やスタートアップ企業の現状が整理されると思いまとめてみました。

資料公開の背景

当時、プロダクトリリースからわずか9ヶ月で約6億円以上の資金調達(デッド除く)は比較的スタートアップ企業としては順調な推移でした。

通常、億単位の資金調達は、数か月~半年は時間を要します。何十社と断られ、諦めずに頑張り、ようやく最後の1社で決まった!などと言う話もよく耳にします。1社に対しても、何度も足を運び、事業説明をして、ようやく着金と非常に難易度が高い業務です。

一方で当社は、前回のシード期の資金調達の時もそうですが、基本的に出資者が即決してくれます。何度か会って、とか、何週間か検討して、とかはありません。提案にいくと8割方決まります。

早ければいい、ということではないですが、刻々と状況の変わるスタートアップにとって、闇雲に時間をかけることは致命的です。

自分が準備してきたことや資料を開示することで、多くの起業家や、若手の挑戦者への役に立てばと思い、当時誰もやっていなかった資料公開を思いつきました。

資料公開をした理由

理由は二つあります。

一つは、心の底から「次に続く起業家たちの役に立ちたい」という純粋な想いでした。ここまで広がるとも思っていませんでしたし、何か狙いがあったわけでも一切ありません。(結果的にはメリットしかなったです。後述します。)

資金調達に成功したと言っても、決して私一人の力で成功したわけではありません。一緒に働く仲間はもちろんのこと、運やタイミング、そして多くの人の支えがあって実現したことです。

何より、全くそんなつもりは無いですが、調達ゴールと揶揄されるのも嫌でしたし、他にも望まぬ噂を立てられるのも嫌でしたが、この資料公開で喜んでもらえる人がいる!という気持ちが勝りました。

二つ目は、「お世話になった方々への恩返し」です。当時の資金調達がトントン拍子にいったのは、先輩経営者の方々の口コミが非常に大きかったです。

シード期に出資して下さった上場創業者の方々はもちろん、普段から可愛がってくださる先輩経営者の方々の援護射撃あってこそでした。

当時の当社は社員10名以下です。売上も黒転しているわけではないですし、B2Cの様に派手では無いです。大きく一気にスケールするわけではないB2Bの・・・しかもSMB(中小企業向け)サービスでした。そんな会社が、わずが9ヶ月での6億円以上の資金調達は周りの支援無くして実現しませんでした。

先輩経営者は、皆さん同じことを言います。「お返しは、先輩の俺たちではなく、お前の次に続くやつにしてくれ」と。

だから、そのお礼というか、何か私にできるお返しをしたいなという想いで行動を起こしました。

資料公開後の反響

Facebookで投稿後、たった数時間でシェア数は1,000を超え、数日で4,000以上のシェアをして頂けました。

せいぜい多くて100人くらいの知り合いが、面白がって「見せてよ」と言ってくる程度だと予想してました。なので最初は、希望者へ個別にデータをメッセージする流れにしていました。

それが、数時間で1,000を超えて、対応できないと思い、急きょ、資料ダウンロード用のFacebookグループを作成。そのグループが、今では16,000名を超えています。

なぜ、ここまで拡大しているのか?

知り合いだけではなく、私の知らない方もシェアしてくれています。その理由は何か?反響として頂いた声や、後付けですが起業家を取り巻くデータを調べて考察してみました。大きく、下記3つにまとまりました。

①現在進行形の起業家による情報解禁
②シリーズAというブラックボックス化したフェーズの情報解禁
③資料の裏側の情報解禁(シナリオ/台本8,000字も公開)

①現在進行形の起業家による情報解禁

起業に関する本やセミナー、ビジネススクールなどは数多く存在しますが、その主導者全てが現在進行形の起業家ではありません。

主催者・本の執筆者は全て、下記のいずれかです。

◆VC(ベンチャーキャピタル)
◆投資家
◆金融機関
◆士業(会計士、税理士、弁護士など)
◆コンサルティング会社(起業支援コンサルタントなど)
◆人材紹介会社、ヘッドハンター
◆成功し終えた経営者

この人たちは、起業家を軸にした場合、起業家を取り巻く利害関係者です。起業家を食い物にしているとまでは言いませんが(実際に、そういう類の人は少なくない)、起業家を商売の儲けの対象にしていることは間違いないわけです。

この関係性を否定しているわけではなく、起業家同士の横の繋がりや、フラットなセカンドオピニオンをくれる相談者が必要になってきます。しかし、躍起になって、投資先を見つけようとしているのが起業家の実情であり、ベンチャー市場です。

冷静に、そんな存在を見つけることは困難です。結果的に、

起業家側と出資者側の情報の非対称性は否めない。

そんな状況になっています。

情報操作とまで言いませんが、今、本やネットに落ちている起業に関するコンテンツの大半が起業家の取り巻き・出資者側からコントロールされているものです。

中小企業白書2017P138から引用

中小企業白書のデータが示すように、起業家の相談相手は、

〇そもそも相談相手がいなかった
〇家族・親戚・友人・知人

相談相手がいないのは寂しすぎます。

家族や親戚が経営者一族なら良いですが通常は違うでしょう。無理するな、リスクを負うなと保守的なアドバイスや慰めが関の山です。

この様な、起業家のコミュニティが身近ではない日本に、現在進行形の起業家 / ベンチャー企業である私 / 当社から情報解禁があり、起業家や起業志望者にとって有益だと判断されたのだと考察します。

②シリーズAというブラックボックス化したフェーズの情報解禁

現役起業家の情報解禁が稀だと話しましたが、今回の当社の事業フェーズ:シード後~シリーズA以降は稀どころか皆無でした。

起業前や起業直後はビジネスコンテストやピッチ動画がYouTubeなどでも見れます。しかし、資金調達前で実現可能性(実現意志)の低い事業モデルも多くあり参考度合いは低いです。

IPO後は、情報開示が義務付けられ、事業モデルや中期経営計画書の公開が各状況企業のIRページにして閲覧できます。

しかし、起業直後の試行錯誤のフェーズとは異なり、事業モデルも固まっており、そもそも規模も違うため比較対象として適切ではありません。

また四半期毎の開示となり、現実的な数値での計画となり、ビジョナリーなベンチャー企業の事業計画書とは中身が違うことなど、相違点が多いです。

例えるなら、野球を始めたばかり / 始めたいと思っている少年が、いきなりプロ野球選手と同じ練習メニューをしても体を壊すだけです。入門者には入門者の、少年野球には少年野球の、中学には中学の、高校にには高校野球の教え方やトレーニングがあります。

IPO後の経営者をゲストに招いたセミナーや勉強会なども開催されることはありますが、ハッキリいって本当のことを話しているとは言い難いです。

IRの関係上、突っ込んだことは言えませんし、オフレコ話など120%NGです。多くの失敗経験も糧となり、美談化されています。その話を鵜呑みにして起業すると大損害となります。

起業を目指す人、起業したての人が、本当に参考にすべきは、自分達と同じフェーズ、もしくは1歩程度先に言っている事業フェーズ。つまり、シード期~シリーズA期あたりのベンチャー企業です。

このフェーズの起業家の、ベンチャー企業の情報は、身近に知り合いがいない限り知り得ません。身近にいても、お前の会社の事業計画書見せてよ!と言える関係性になるには限りなく厳しいです。

つまり、一番、情報を必要と渇望している起業家が、情報を得る手段が、この国にはありませんでした。そこに、情報を持っている出資者側が、甘い言葉で近づけば、起業家は藁にすがるしかありません。

その結果、

◆低いバリュエーションで取り返しのつかない持株比率になる
◆株式の種類など知識なく言われるがままに契約してしまう
◆投資契約の見方が分からず、契約後、投資家の人が変わったように圧力が増す
◆一時的な株価の増減に一喜一憂し次回ラウンドでつまづく

資金調達は、不可逆ですので、本当に取り返しがつきません。

当社が、起業したててでもなく、IPO後でもなく、

シード期、シリーズA期を終えたばかりのタイムリーなベンチャー企業だったことも、今回の反響の大きな要因だと考察します。

③資料の裏側の情報解禁(シナリオ/台本8,000字も公開)

当時の事業計画書は全43ページです。その各ページ毎に何を話すのか、台本もセットで公開しました。約8,000字。メモ書きや概要ではありません。一言一句、ここで笑いを取るとか書かれた台本です。

調査をしたわけではないですが、100名の起業家がいたら、ここまで台本を書いているのは、1名いるかいないか程度かと。私は幸い、昔からの癖で、何か資料を作るときは、台本から作り始めます。

パワポで作った43ページの資料を見たら何となく概要は分かっても、どこを強調し、どいう繋ぎでページ移動しているのか?その行間までは見て取れません。

しかし、プレゼンの良しあし、人の感情が動くかどうかは、資料の綺麗さでも、極論事業の内容でもなく、誰が、どんな風に話すか、で決まります。

何兆円や国家レベルの話ではなく、、、繰り返しますが、シード期、シリーズA期の数千~数億円程度なら、この誰が、どんな風に話すか、で決まることは往々にしてあります。

今回の事業計画資料の公開がパワポだけでなく、台本(シナリオ)が一緒になっていることで、この、どう話しているか?がより詳細に知れるという点も拡散を後押ししたと考察します。

公開して得たメリット

冒頭で述べたように、何か特別な狙いがあったわけではなく、シンプルに「後に続く起業家のために」という想いで公開しましたが、振り返ると大きなメリットが4つありました。

①PR効果・認知が広がった
②リードが増えた
③サービスの問合せが増えた
④求人応募が増えた

①PR効果・認知が広がった

これは想像以上に絶大でした。16,000名ともなると、直接の知り合いでない人が大半となります。しかも、資料をダウンロードした方のほとんどが経営者です。下世話な話をしますが、広告換算すると数百~数千万円ほどの効果だと言えます。

一歩引いた見方をすれば、事業計画書といっても、会社紹介資料です。商談時に営業マンから会社パンフレットを渡されて喜ぶ人はいません。それが、目線を変える / 見せ方を変えるだけで、私も見たい!という方が次々と広がっていく様を目の当たりにしました。

私はマーケターではないですが、経営者として目指す世界観があります。自分の想いも大切ですが、相手が顕在的&潜在的に求めているものは何か?そこに刺されば、自分の想像を超える反響がある、ということを学べました。

②リードが増えた

資金調達後に、多くの会社がプレスリリースを出します。認知度拡大が目的だと思いますが、本当に得たい成果は、売上に繋がるリード、採用に繋がるリードではないでしょうか。SNS上で、おめでとう!とコメントをもらってもリードには繋がりません。

資料を無料で公開しましたが、閲覧のためにはダウンロードフォームの入力後に見れる流れにました。オプトインによる個人情報を入力していただくわけで、立派なリードが創出されます。

もちろん、このリードは、営業目的で集めているわけではないですが、その後のメルマガ等のフォローには活用させていただきました。今すぐ顧客となることは少ないですが、中には、ちょうどサービスが欲しかったという方も一定いました。それが、次のメリットに繋がります。

③サービスの問合せが増えた

母数が広がれば、その中に一定数ニーズとタイミングが合致する方もいます。自然な流れでサービスの問合せとなりますが、資料公開したことで、量だけではなく、質も上がりました。

なぜか?事業計画書と台本8,000字を読んだ上で問い合わせいただくので、サービス内容はもちろん、その背景や、今後のビジョンにも共感した見込顧客の方との関係構築が増えました。

資料公開がキッカケで億単位の売上もあがりました。

④求人が増えた

こちらも、サービス問合せ増と同じで、単なる応募ではなく、ビジョンへの共感した求職者からのご連絡を頂く数が圧倒的に増えました。そして、単なる応募もめちゃめちゃ増えました。採用活動も母数が大切なので、非常に有難い利点でした。

実際、資料公開したことで優秀な人材を何名も採用できました。

公開することのデメリット

一言。無いです。

しいてあるとすれば、少々、陰口を叩かれたことくらいです。目立ちたがりとか。営業リストを作っているとか。

ただ、直接言ってくる人もいませんし、やっかみだと思ってスルーしてました。これによる業績の影響は皆無ですし、社員へのダメージもゼロでした。よって気にすることはなく、デメリットは無いです。

そもそも、新しいことを成そうとするベンチャー企業が柱の陰に隠れていては社会を変えられません。今後も、そんな声は増えるので、誰かを騙したり、悪い事していないと神様に胸を張っていえる状態であれば、気にもしません。

営業リストに関していえば、ダウンロードした人は分かってくれると思いますが、刈り取りの営業活動は一切していません。もちろん、求められれば提案します。別途、当社のサービスの資料請求をした方にはインサイドセールスから電話はします。しかし、閲覧者リスト化し、テレアポをガンガンするなどしてません。

全てのベンチャー企業が公開すべきとは言いませんが、大半の資金調達済のベンチャー、スタートアップ企業は、事業計画書を公開した方が得られるメリットが非常に大きいです。

よくいただいた質問

「資料公開して競合に見られて大丈夫?」

大型の資金調達をする会社というのは、上場を目指しています。IPO後は、事業計画書も開示するので、その練習だと思えば、今から行った方がいいと考えました。

競合についても、特許関連や詳細な数値はマスキングさせていただいたので、何を見られても全く問題情報でした。むしろ、市場が活性化することは自社にも利点があると思っています。

そして、競合もいるという適度な緊張感が事業を伸ばしていく際にも有効だと思っていました。

「株主に怒られない?」

賛成しかなったです。前提、事業計画書の公開であり、資本政策表は公開していません。そこまで無許可で公開するとなると、ちょっと待った!がかかると思いますが、その点は大丈夫でした。

株主からしたら、投資した会社の知名度があがり、サービスの問合せが増え、良い人材の採用が後押しされるなら、反対する理由は一つもありません。

資金調達したスタートアップ・ベンチャー企業の社長へ

ぜひ、調達した資料を公開してください。

調達後にリリースを出すのは、認知度拡大が目的だと思いますが、本当に得たい成果は、売上であり、人材採用だと思います。SNS上での、おめでとう!とコメントも嬉しいは嬉しいですが、本当に欲しいのは、リードじゃないでしょうか。

せっかくリリースを出すのであれば、PRtimes等のリリースに加え、「億単位で資金調達したスタートアップ企業の事業計画が生で見れるグループ」も活用することをご検討ください。

資料をダウンロードする際に、閲覧の目的を、【事業提携先として興味がある】【サービスに興味がある】【採用応募に興味がある】などから把握でき、オプトインによる個人情報を入力していただくことでリード創出となります。

事実、本記事に書いたように、当社は、本グループで資料公開を行い、複数名の人材採用、売上も億単位の成果となりました。刈取り型の営業をしたわけではなく、あくまでインバウンドによる成果となります。

本グループは、広告メディアではないため、資料公開に際して、またリード獲得単価に応じて費用が発生するものではありません。公開からリード供給に至るまで全て無料です。さらに、資料ダウンロード用のランディングページ、フォーム作成も全て運営側で行いますので、手間もかかりません。

懸念事項として、競合に見られては困る、投資家向け資料には機密情報があり開示できない、と仰る方がいます。よくいただいた質問にも書きましたが、本グループは、事業計画書の共有であり、株価や比率が記載された資本政策表は非公開で大丈夫です。特許等の権利関係で公開できないものもマスキングしていただいて問題ありません。

億単位で資金調達したスタートアップ企業が本グループで資料公開を行うことで被るリスクは限りなくゼロで、得られるメリットしかないと実体験からも考えています。

ベンチャー、スタートアップ業界の活性化のためにご協力をお願いいたします。その暁には、お伝えしたように、漠然とした認知度拡大ではなく、リード創出というカタチでのメリットを享受いただけます。

億単位で資金調達したスタートアップ企業の社長には、運営側からお声かけさせていただきますので、その際に、ご不明点等何なりと仰ってください。

とはいえ、お声がけが漏れてしまうこともあると思います。億単位で資金調達を実施し、資料公開してもいいよ、という方がいらっしゃれば、私までご連絡いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

田中亮大
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