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CEOが組織図のいちばん下にいるフィンランドの会社
フィンランドの企業で働くようになって驚いたことのひとつ、それは独特の組織図スタイル。社長や部門長が、スライド隅のまるで目立たない位置に描かれているのだ。
たとえば、僕が働くゲーム会社の全体組織図はこうなっている。
まず大きく開発 / マーケティング / 管理部門 とボックス分けされており、その下に CTO, CMO, CFO, COO などの C-level (上級管理職) が配置されている。そして、最高経営責任者である CEO はそのまた一番下にちょこんと名前が書かれている。
つまり、典型的な組織ツリー図を上下に180° ひっくり返した形となっているわけだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1709930871263-eCco3LKHYD.png)
部門別の組織図でも各リーダー陣はスライドの斜め下に小さく入っていたり、卒業アルバムのように、他メンバーの顔写真の中にランダムに入っていたりする。
いずれの場合でも、視覚的に「上に立つ」という見え方を避けるようになっている。
ITやスタートアップにありがちな「うちはヒエラルキーが少なくて」「フラットな企業風土で」「社長室がなくて社員と同フロアで」と広報する会社も、さすがに組織図までは反映されていないと思う。僕が過去に所属した日系企業でも、米系企業でも、組織図では常にそのトップが一番上に来ていた。 文字通りに。
ところが、いまのフィンランド企業では真逆。
もともとフィンランドには年齢や社会的地位による上下関係を忌避するカルチャーがあると感じている。これまで9ヶ月過ごして一度も同僚から年齢を聞かれたことがないし、フィンランド語の先生も「女性にはもちろん、男性にも年齢を聞くのは失礼なこと」と言っていた。
ちなみにうちの会社では管理職の呼び方も「スーパーバイザー(監督者)」としていて、「マネージャー」や「Head of …」という呼び方はしていない。
このように組織図や肩書きレベルまで、徹底した平等意識が見られるのがフィンランド企業* の特徴なのかもしれない。
*他社の友人たちに聞くと、組織図自体見たことない、という回答も多かった。ただ、これはもともと伝達系統が厳密でないソフトウェア業種特有の可能性もある。
最後に、本で読んだお気に入りの北欧バイキングの逸話を紹介したい。
ある時、北欧のバイキングたちを乗せた海賊船が西ヨーロッパの海岸に着いた。
その地域を支配していたフランク人の将軍は交戦の前に話し合いを求めて、こう名乗り出た。「我こそはフランクの王である。そちらの王を出してほしい」
バイキングたちは顔を見合わせたあと、大笑いして、そのうちのひとりがこう言った。
「俺たちバイキングは、全員が王なんだ」
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