見出し画像

「4つの柱」 Inner MBA 体験記 #34

Inner MBAもいよいよ最終月となり、レースで言えば最終コーナーを曲がって直線に入るところだ。必然的にこれまでのまとめ的なセッションが増えてくる。

今回の講師はGoogleのウェルビーイングプログラム統括のRuchika Sikri。彼女によれば、マインドフルネスを活用するには4つのピラー(柱)があるという。今週はそれをダイジェストしたい。

スクリーンショット 2021-05-05 19.59.13

1. Knowledge: チャネルを作ること

様々な本や無料の動画が流通する今日、知識へのアクセスという意味ではこの上ない時代になっている。面白いのは、トップクラスの専門家による洗練された知識になるほど、無料でアクセスしやすくなっているということだ。

手軽にインプットもアウトプットもできる時代において、知識を得るにも与えるにも健全なチャネルを作ることが大事になる。ここでいう健全さとは、インクルーシブさである。

Ruchikaのエピソードとして、とある研修の中で「マインドフル・ウォーキング」を参加者と行う場面があった。歩きながら行う瞑想だ。しかし、そのやり方を話そうとした瞬間、ひとりの車椅子の参加者が目に入った。そこで彼女は「マインドフル・ムービング」をやろう、と瞬時に言葉を切り替えた。

知識を得る、または与える時のチャネルがインクルーシブなものであるか?そこに敏感にしておく*必要がある。

*私はなんとなく、ラジオの周波数を合わせるイメージを持った。

2.Practice: フォーマルとインフォーマル

「知識は身体に入るまではタダの噂だ」と以前のセッションでも言われていたが、Ruchikaは「知識はレシピ、実践は料理」という例えを用いた。

マインドフルネスの実践には2種類ある。

1.フォーマルマインドフルネス: 一人で行うマインドフルネス。つまり呼吸をベースにした瞑想のこと。マインドフルウォーキングやマインドフルイーティングもここに含まれる。
2: インフォーマルマインドフルネス: 他者と行う相互のマインドフルネス。Inner MBAで何度も登場した「傾聴*、会話、感謝、共感、親切、尊敬、多様な視点」がここに含まれる。いずれも意識して実践することが重要。

*最近の私の実践は「オンライン会議で関係のないタブを全て消しておくこと」だ。

3.Community: 7つのP

職場に新しいコミュニティを作り、広げることについて。コミュニティの形成は他者とのつながりを作る代表的な例だ。そして、コミュニティの創始者となることは自身の学習においても大きな意味がある。それは「学びは読むことで、理解は書くことで、熟練は教えることで得られる(Read to Learn, Write to Understand, Master to Teach)」からだ。

The 7 P's of Community という原則が共有された。コミュニティ成功のための7原則だ。以下簡単にメモしておく。

Purpose=目的を定義すること
People=適切な人を参加させること
Participation=何をどうやってするかが明確なこと
Policy=運営のためのルールを持つこと
Promotion=小さく始め、成長させること
Performance=成果を計測可能にしておくこと

4.Service: 大義に生きる

サービス、直訳すれば奉仕すること。Inner MBA的には、コミュニティに対して奉仕すること。

ここでは心理学者のマーティン・セリグマンの「3つの異なる人生と幸せ」が紹介された。

なお、同じ内容が前回記事の『サーチインサイドユアセルフ』*にも書かれているので、上記のTEDの内容とミックスして書き留める。

*Ruchika自身も著者チャディ氏がGoogle社員だった頃に師事している。

1.快楽の人生 - ロックスターのような高揚感をもたらす幸せ。維持するのが難しい。ひと口目のアイスは美味しいが6口目はそこまでではないように。
2.情熱の人生- フローとも呼ばれる。情熱を持ち、強烈に集中し、最高の仕事ができ、時間が瞬く間に過ぎていく。
3.意味の人生 -崇高な目標を持ち、自分にとって意味のあることやモノの一部となり、貢献し、奉仕すること。

...人間の幸福度に最も寄与するのは3つ目の「意味の人生」である(そして他の2つが伴っていると最大化する)。よってマインドフルネス的にも「奉仕すること」は理に叶っているのだ。

ちなみに個人的には「意味」「奉仕」は日本語的に馴染みづらいと思ったので「大義のある人生」と解釈してみた。大きなコミュニティ、例えば政治家になって国を変えるのも大義だし、最小のコミュニティ、つまり家族を幸せにするのももちろん大義だ。

---

以上、今回はマインドフルネス活用のための4つの柱についてだった。4つの柱は独立しているものでなく、相互に作用している。知識が実践に繋がり、実践により共同体が生まれ、共同体への奉仕がまた新たな知識の源泉となる。

次回、Inner MBA体験記 #35に続く!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?