【つの版】ランダム人名ジェネレーター・イラン・インド・テュルク編【D6】
ドーモ、三宅つのです。ここが何なのかは下記をご覧下さい。なんとなく月一ぐらいの更新になっています。
アジア:ユダヤ&アラブ編
▼序
前回は西南アジア・北アフリカに主に分布するユダヤ・アラブ系の人名をやりましたが、今回はその北や東に分布するイラン(ペルシア)、インド、テュルク(トルコや中央アジア)をしていきます。西はバルカン半島から東はウイグル、北はシベリアから南はインドネシアに至る、極めて広大な領域をいっぺんにやろうというのです。別々にやっていると永遠に終わりませんしとにかくざっくりやります。詳しくは別になんかやろうと思います。
イランとはアーリヤ人の地を意味します。中央ユーラシアの遊牧民アーリヤ人が南下した際、アフガニスタンで二手に分かれ、一方はインド、他方はイランへ進出しました。残った連中は騎馬遊牧民スキタイ(ソグド、サカ)になりました。彼らが人類文明に与えた影響は筆舌に尽くし難いものです。
テュルク(丁霊、鉄勒、突厥)はその影響を受けて騎馬遊牧民となり、ソグド人の商業網を繋げ、世界各地に帝国を築きます。ゾロアスター教、仏教、マニ教やネストリウス派キリスト教、そしてイスラームも、彼らの影響により世界宗教となって行きました。中央ユーラシアは巨大な文明圏なのです。
決め方:表が複数ある場合は、1D6を振って選択します。1なら最初の、6なら6番目の表です。奇数や偶数で決まる場合もあります。その表でD6を2回振り、数値が縦横で合わさったところの名になります。どっちが縦で横かは恣意的に決めていいですし、3D6をいっぺんに振っても、決まるまで何度でも振り直しても、D6を振らずに適当にチョイスしても問題ありません。
▼イランの人名
▼個人名
イスラーム化したイラン人(やクルド人、パシュトゥーン人など)は、ムスリムとしてアラブ系の名を持ちます。現代イランはシーア派のうち十二イマーム派が国教のため、AliやHusseinといったシーア派系の人名が多いです。それ以前にはペルシア語の人名が用いられており、ギリシア系文献に出て来るDareiosやKyrosはそのギリシア語形です。ヘブライ語ではDareyaweshやKoreshです。古代ペルシア語で発音するとダーラヤーワウシュやクルシュになりますが馴染みがありませんね。『アヴェスター』はさらに古く東イラン(ホラーサーン)で編纂されたため古代ペルシア語とも異なります。時代が降ると発音も変化し、10世紀に民族叙事詩『シャー・ナーメ(王書)』が編纂された頃にはアラビア語の影響を受けた新ペルシア語になりました。現代日本では『アルスラーン戦記』で馴染み深いでしょう。アルスラーンはテュルク系の名ですが。イスラーム化後もこうした名は用いられています。
例:ダイスマンは神秘的なチャワンの中に三つのダイスを投げた。すると見よ、4-2-5と出た。彼は下の表の下の表を見て、そこに記された縦2、横5の名前を見た。それはBehnam(ベフナーム)である。
男性、イラン 1D6を振って1-2なら上の表、3-4なら下の表、5-6ならアラブ名
1 2 3 4 5 6
1 Arvand Azad Bahman Bahram Khorshid Khosrow
2 Kobad Darab Darwish Esfandyar Humayun Hushang
3 Farhad Fereydun Ferdows Peroz Parviz Vistasb
4 Zabr Zal Jamasb Jamshid Yazdegird Lohrasb
5 Manuchehr Mehrdad Nariman Narseh Omid Ormuzd
6 Rostam Roxan Sohrab Sorush Tahmuras Tahmasb
1 2 3 4 5 6
1 Abtin Adhur Afshar Alamgir Aram Arash
2 Arsak Ardavan Balash Bamdad Behnam Behruz
3 Giv Kambiz Kamran Kaveh Kavus Keyumars
4 Kurus Hirad Faramarz Farangis Farid Farzad
5 Vidarna Zand Zartost Nowzar Rakhsh Sam
6 Sanjar Shahyar Siamak Spitam Tigran Tirdad
女性、イラン 1D6を振って1-4ならこの表、5-6ならアラブ名
1 2 3 4 5 6
1 Anahit Amytis Banu Bita Gita Golnaz
2 Damla Donya Hasti Homa Huri Hutaosa
3 Farnaz Foruzan Parvin Peyvand Vashti Vis
4 Zarrin Ziba Yasmin Ladan Laleh Lila
5 Mahnaz Mehrnaz Nahid Nasrin Nazy Neda
6 Roxana Rudabeh Shahrnaz Shirin Tahmineh Tala
▼父称や家名
1930年代に創姓法が制定される以前、イラン人(ペルシア人)は父称(ナサブ)・個人名(イスム)・家名(ニスバ)で名乗ってきました。ナサブの語尾は「-の息子(子孫)」を意味する-zade(あるいは-purや-nezad)、女性なら「娘」を意味する-dokhtです。ニスバなら「-に属する」を表す-i,-ianなどです。ニスバは先祖名、部族名、出身地名、職業名や綽名など雑多です。ここでは取り上げませんので調べて下さい。ラカブはアラブと同じです。
・-ddin系のラカブ(個人名の前につける)
1 2 3 4 5 6
1 Ala Alam Anwar Badr Burhan Ghyath
2 Kamal Khair Qutb Diya Fakhr Farid
3 Zayn Imad Izz Jalal Jamal Muizz
4 Najm Nasir Nizam Nur Rashid Rukn
5 Sabr Saad Sadr Safi Saif Salah
6 Shams Shihab Shuja Siraj Taj Taqi
例:ダイスマンは先にBehnamという名を得た。もう一度同じ表を振ると、見よ、1-5-4と出た。それはNarsehである。BehnamはNarsehの子であり、Narsehzade BehnamまたはBehnam Narsehzadeと名乗る。試みにもう一回振ると、3-1-5と出た。それはAramである。これを先祖名とすれば、BehnamはBehnam Narsezade Aramiと名乗るであろう。ラカブ表を振ると2-1であり、Kamaluddin Behnam Narsezade Aramiと名乗るであろう。
呼ばれ方はそれぞれです。アーヤトッラー・ルーホッラー・ホメイニーは、イスムがルーホッラー、ニスバがホメイニー(ホメイン出身者)、アーヤットラー(神の徴)はシーア派の上級法学者の称号です。もとのニスバはムーサーヴィー(イマーム・ムーサーの子孫)でした。マフムード・アフマディーネジャード元大統領は父の名をアフマド・サボージアンといい、アフマドの子ということでアフマディーネジャードです。ダルビッシュ有は本名をダルビッシュセファット・ファリード・有(Farid Yu Darvishsefat)といい、父親の名はファルサ・ダルビッシュセファット(Farsad Darvishsefat)です。有とはシーア派の聖者アリーのこと…とは関係ないと本人が言っています。
▼インドの人名
インド人と一口に言っても多種多様です。時代、地域、宗教、カーストによって異なりますし、個人名しか名乗らない場合もあります。ここでは単純化し、個人名と家名のみとしましょう。叙事詩や仏典に出て来るような名前ばかりです。父称を用いる場合が多いですが、古代には母の名で呼ばれていました。マガダ国の王アジャータシャトルの父はビンビサーラですが、母の名ヴァイデーヒーからヴァイデーヒープトラとも呼ばれました。ブッダの十大弟子の一人サーリプッタ(舎利子)は個人名をウパティッサといいますが、母の名サーリーに基づくサーリプッタ(シャーリプトラ)で知られます。
例:ダイスマンは神秘的なチャワンの中に三つのダイスを投げた。すると見よ、5-1-5と出た。それはAsangaである。もう一度振ると4-3-2、Padmaである。女性名で振ると6-6、Surochanaである。先祖名を男性名でもう一度振ると2-6-4、Siddartaである。彼はAsangapadma Surochanaputra Siddartaと名乗るであろう。
男性、インド
1D6を振って奇数なら上の表、偶数なら下の表 2つ組み合わせてもよい
1 2 3 4 5 6
1 Ajita Amrta Ananda Arujna Asanga Asvajit
2 Bhadra Bharata Bhima Chandra Gautama Karna
3 Krisna Deva Deepa Dharma Hari Hiranya
4 Pandu Purna Vasant Vijaya Vikrama Indra
5 Jnana Mahendra Mitra Naga Nanda Narayan
6 Rahula Rama Sankara Sena Singha Surya
1 2 3 4 5 6
1 Anila Anuruddha Ashoka Balarama Bagadatta Brahma
2 Citrasena Chunda Gupta Kairash Kapila Kumara
3 Dananjaya Padma Prshottam Udayana Upali Upendra
4 Vasdeva Ishana Jayasena Yogesh Lakshmana Mahadeva
5 Mahesh Maitreya Meghanada Narendra Rajendra Ravindra
6 Sahadeva Sanjaya Satya Siddarta Sudarsana Surendra
女性、インド
1 2 3 4 5 6
1 Gauri Gautami Kamala Kumari Devi Padma
2 Pritvi Vasanti Vimala Indira Lakshmi Mina
3 Rati Rohini Rukmini Shakti Sujata Tara
4 Amrapali Tirottama Sundari Visakha Yasodhara Arjuni
5 Urvasi Bharati Chandri Kairash Kanti Maitry
6 Mohana Sita Sarasvati Savitri Shanti Surochana
▼テュルクの人名
テュルクとイラン(やソグド)は古くから交流が深く、相互に影響を与えあって来ました。騎馬遊牧民とオアシス都市は共存共栄し、軍事力の傘の下で商業網が広がっていきました。突厥にソグド人が大勢関わっていたのは有名ですし、モンゴル帝国もオスマン帝国もムガル帝国もペルシア語が広く通用しました。そんなわけでイラン系の人名も広く見られます。イラン国内にもテュルク系のアゼルバイジャン人が多数存在します。テュルク系の父称は-ogul(…の子)で、旧オスマン皇室はOsmanogulと名乗っていますが、ロシア風に-vichや-ovだったり、イラン風に-zadeだったりします。
例:ダイスマンは神秘的なチャワンの中に三つのダイスを投げた。すると見よ、4-3-4と出た。それはGizikである。もう一度振ると6-2-1、イランの表である。1D6を足すと2-1-2、Azadである。もう一度振ると3-4-6、Duqaqである。ラカブを振ると2-4、Diyaだ。彼はDiyauddin Azad Gizik Duqaqogulと名乗るかも知れない。
男性、テュルク
1D6を振って1-2なら上の表、3-4なら下の表、5-6ならイラン 2つ組み合わせてもよい
1 2 3 4 5 6
1 Altan Arslan Baghatur Bayan Buri Kotrag
2 Dengiz Ellak Elteber Erlig Ernakh Eskel
3 Pulat Uldin Uldiz Urak Urgen Urman
4 Zaber Illig Irnikh Istami Yildirim Yildiz
5 Maniak Mundzuk Oktar Omurtag Organa Otrok
6 Ruga Sonkur Temur Toqtgha Toghril Tudun
1 2 3 4 5 6
1 Almosh Alp Asparukh Atsiz Aybak Balta
2 Barlas Bars Bash Bat Beg Bugra
3 Buyuk Chaghri Choban Gizik Kara Kilij
4 Kubrat Kujuk Qutulk Qutuz Deniz Duqaq
5 Utigur Yabgu Yavuz Yumruk Sanjar Sebuk
6 Tapar Tarqan Tash Tegin Tekish Tumen
女性、テュルク 1D6を振って奇数ならこの表、偶数ならイランの女性名
1-2 3-4 5-6
1 Alma Ay Chichek
2 Ebru Ece Hatun
3 Pinar Fidan Filiz
4 Idil Ilgin Ipek
5 Olcay Oya Ozge
6 Sevgi Sibel Tugche
ダイスマンがなにかしていますが、このように人名を作成出来ます。なお、モンゴル人の人名はチベット仏教とかも混じってきてややこしいので今回はパスします。
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だいぶ駆け足でしたね。次回はチャイナ、その次は日本の人名をしていきます。以上です。
【続く】
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