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重度の認知症の母から咄嗟に出たセリフに思わされたこと。

自分の母は10年以上前に交通事故が原因で認知症になった。父は脳梗塞で、常に入院中の身。

つまり母は施設で、父は病院で生活している。

子供の頃は家族全員が車生活とは無縁だったけど、今は定期的に認知症の母を施設→病院に乗せて行ってる。

1ヶ月ほど前、父の状態が想像以上に良かったので、母を施設から父がいる病院へ連れて行った。1年ぶり以上の父と母の再開。

自分は学生時に母に教習代(約30万円)を借りて免許取得したものの、大学卒業後は殆ど海外に居て車には乗らず、結局ペーパードライバーになってしまっていた。

そんな中、本帰国して自動車を購入。半年経って車にも乗り慣れてきて、車で家族を移動させて対面させる、という実用的な使い方がやっと出来るようになった。

母を父に会わすべく、母を車に乗せ運転してる最中「今この瞬間、今までで最も実用的な車の使い方してんじゃね?」なんて心の中で思っていた矢先、母から咄嗟にこんなセリフが。

「ボクちゃん、車の運転上手やね!」

車を運転してる自分の姿なんて母の頭がしっかりしてる時は見せた事が無かったし、いつも病院に連れて行くべく施設で対面直後の母からの一言は「あなた誰?」だった。それぐらい母の認知症は重度なのだ。

なので正直、運転技術はさておき「ボクちゃん、車の運転上手やね!」なんて状況にマッチしたセリフが母の口から出てくるとは想定外で驚いた。

「ありがとう。やっと昔おかん出してもらった教習代が役に立ったよ」と返事した。

車の教習代は、将来返済する約束で母から借りて、未だに返済してないのだけど、貸した当の本人はそんな事とっくに忘れているだろうな。

母が認知症になる前に車を購入して乗り慣れていれば、本人が大好きな激安スーパーなど様々な場所に連れていけたのにな、と思った出来事でした。

親孝行は親の頭がしっかりしている時にすべきだった。

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