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思考力・整理力・表現力・伝達力を相乗的に学べた、とても貴重な場。

社会人にデザインの知見を、という想いで講師と学生が共になって日々の学びを深めているXデザイン学校。実際に学ばれてきた方々の声を届けていく、クラスルームインタビュー。第一回目はマスターコースを通われた後、現在アドバンスコースに参加されている石沢舞さんです。

石沢舞さん
ゲーム会社にてアーケード機の開発に携わったのち、フリーランスのデザイナーとして事業者向けSaaS型サービスのUXデザインに従事されています。

ー現在、どんなお仕事をされていますか?

現在はフリーランスで働いており、メインではWebブラウザから給与計算を行うサービスのUIデザインを担当しています。フリーランスですがある程度きまった時間の中で、同じチームのメンバーと一緒に仕事をしています。

ーどのようなご経歴で、今のスタイルになったのでしょうか?

大学ではアートを専攻しインスタレーションなどを作っていました。並行して、もともと好きだったゲームを制作する機会があり、それをきっかけに株式会社セガに就職し6年ほどゲーム機のUIや企画を担当しました。

その後、勉強時間や目標を管理するアプリを開発するスタートアップに転職してiOS/Androidアプリのデザインを担当。その後フリーランスとして現在はフリーランスとして主に株式会社マネーフォワードでデザインをしています。UIデザインの他、ユーザインタビューの実施や分析、ワークショップのファシリテーションなども行っています。

ーそんな石沢さんがなぜXデザイン学校で学ぼうと思われたのですか?

もともとXデザイン学校を知ったきっかけは、既に参加していたマネーフォワードのデザイナーから話を聞いたことでした。そこからしばらく経ち子育てや仕事に目処が立った2年前からやっと初参加できました。

UXという言葉が流行したり、期待はずれと風当たりが厳しくなったりと時代の流れもあると思いますが、流行に関わらずそれが何なのかしっかり体系的に学び直したいという想いで参加しました。

話は聞いていたものの、申し込む前には何回か実際に発表会や説明会に参加してカリキュラムや内容を把握しました。これから参加される方は、実際に参加してからの自分の参考にもなるので発表会や説明会への参加はオススメです。

またXデザイン学校は大学院などへの進学に比べてコスト的に負担が少なく、働きながら土日で学べるので仕事と両立しやすいのも魅力に感じました。

簡単にできた、“学んですぐ業務でやってみよう”


ーXデザイン学校に参加されて、どんな学びがありましたか?

名前は知っているけど使ったことはないツールやフレームの実践にチャレンジできたことがとてもよかったです。サービスブループリントやビジネスモデルキャンバスなど仕事で実際に使う機会がありませんでした。しかしXデザイン学校で学び、少しでも試したことがあれば、実際の現場で使えそうなチャンスがあればすぐにトライしやすいと感じます。

独学で本で読んで実践だと難しいように感じていました。Xデザイン学校では同じチームの人と相談しながら課題の中でフレームワークを使いながら学びます。わからないこと、曖昧なことは他の人や先生と相談したり質問しあいながら、納得感を持って学びすすめることができました。

それもあって、学んだ次の日に自分の業務に活かすことができた時もありました。その即効性があったことは、Xデザイン学校に参加してとっても良かったと思っています。

新しいフレームワークを学ぶと、それまで自己流でやっていたものも“新しい視点を獲得できる”ように感じました。UXのフレームワークを利用することで自分の仕事を客観視して説得力を持たせたり、これは自分自身の思い込みだけではないという安心感につながっています。

仕事に一番活かされてる、価値分析。


ー仕事でも学んだことが直結しているんですね。

そうなんです、Xデザイン学校で学んだものの中で私は価値分析を一番よく使うようになりました。元々UIデザインをしてきたのでインタビューやプロトタイプ作りはよくやっているのですが、今考えると雰囲気でやっていて取りこぼしていた真意などもあったのではないかと思います。

UXデザインのいいところは、思考がブラックボックスにならず途中経過が可視化されるところだと思います。例えば、“この意見をKA法で分解してみると、こういう価値が導かれて、実はこの意見とこの意見は近い”など可視化できます。また思考の過程が残るので、結論の理由を第三者が追うこともできるのです。人に説明する時も「そう思ったんです」ではなく論理的に伝えることができます。


 何かサービスを作ったり運営している時、私の場合は一人で意見を考えるよりもユーザーの感覚を知りたいと思うのです。インタビューやアンケート、退会理由などの直接のご意見だけでなく、お客さんがこういうことに困ってる…的な営業の方からの話やSNSのつぶやきなど、ヒントは色々なところにあります。

そこから今何がこのサービスに必要なのか考えたり、開発の優先順位などを決める必要がでてきますが、そこで私は自分の意見よりも、ユーザーの代表としてオピニオンを提案たいと思っています。その時に根拠として“こういうご意見があって、こういう風に分析し、背景や文脈を読み取るとこんな価値観があって……”と、価値分析はユーザーのことを代弁するのに有効だと感じます。またフレームワークを用いることで、今まで見落としていた意見の真意に気づいたり、より深い洞察をして新しい価値を発見できる機会も増えたように思います。


私はデザイナーですが、エンジニアやプロジェクトマネージャー、営業の方など様々な職種の方と一緒に働いています。職種は違えど同じ目的に違うアプローチや役割で取り組んでいる仲間です。そんな環境にいるのもあってか、私自身はいろんな人がデザインの力を使えるようになったらいいなと思うんです。ここをこうしたら使いやすくなるんじゃないか、と職種に関わらず考えられればユーザのためになりますし、みんなの持っているデザイン力を底上げできる組織は強いんじゃないかと。

そんな風にデザインの力をいろんな人が使えるようになったらいいと思い、最近は社内向けにちょっとした講座をひらく取り組みをしていました。例えば「ファクトとオピニオンを分離してコミュニケーションをとってみませんか?」というようなプレゼンテーションを実施したり、UXをよくするために…と言っている”ユーザは誰なのか?””エクスペリエンスってどの段階のエクスペリエンスなのか?”など、より解像度高いコミュニケーションができるような教育コンテンツを他のデザイナーと協力して実施していました。今通っているアドバンスコースでは、それらの取組を研究としてまとめようかなと思っているところです。

ーXデザイン学校のどんなところをオススメしたいですか?

今参加しているアドバンスコースでは各自の研究のほか皆で読みたい本を決めて輪読をやっているのですが、同じ本を読んでも違う捉え方や別の観点を聞けたり情報交換できるのがとても面白いです。大人になると身近に自分と似た人が集まりがちだと思いますが、Xデザイン学校には様々な会社、違う世代、全然違う生活基盤の人たちがいて、そんな人々と交流したり意見交換することでメタ認知に繋がったり新しい発見になったりします。ほかの参加者のリサーチクエスチョンも刺激的で面白いです。


マスターコースでは課題に対して先人の知恵であるフレームワークを学び、実践を通して試すことができるのでサービス開発に携わる人に特にオススメです。私自身も先達が考えた仕組みやフレームに則って表現することで、以前より深い思考ができるようになったと感じています。思考力、情報整理力、分析力、伝達力などを磨けたように思います。そのような学びの場は貴重だと思います。

また私にとっては、昨年マスターコースで一緒のチームになった人たちとの活動がとても刺激的だったのも思い出深いです。エンジニアリング的な観点を持つ弁別性の人、仲を取り持ちつつビジネス的な観点を持っている人、私はデザイナーで突飛なことを言ったり未来の姿ってこれでいいんだっけ?とシュミレーションする人、みたいな絶妙な役割分担がとても気持ちよかったです。途中、意見をもむのに最後は不思議と噛み合って期日に間に合う、みたいな。この面々で課題をこなした時間は濃密でした。最終発表まで供に走った3名は結局全員アドバンスコースに進学しました。

私にとって、デザインとは「何かを実現する力」。


ー石沢さんにとって「デザイン」とは、何ですか?

私にとっては、デザインって「何かを実現する力」だと思います。生活を工夫する力とかでもいいんですが、そういう何かを実現するために工夫することかなと思ったりしてますね、今よりちょっと良くなるために。


そんな石沢さんにオススメの本をリコメンドしてもらいました!

この本では人の行動とその背景にある意思決定のしくみに関する様々な実験事例が紹介されています。自分やまわりの人たちを動かしているものが何か、繰り返される不合理な判断や行動のくせを理解することでよりよい決断や生活改善の出発点になる、と語られています。私自身も仕事や人生の決断においてもっと早く知っておきたかったと思う事ばかりでした。
例えば社会規範と市場規範の話では”楽しみでやっていたことが報酬をもらった途端楽しくなくなる”現象がなぜ起こるのか、私たちは実は異なる規範に則った世界に同時に生きているということが語られています。その他様々な判断のくせについて紹介されており、面白くためになる内容です。


朗らかで明晰に、デザインの価値を伝えてくれた石沢さん。世の中をちょっとずつより良くするために、そして価値観の違う人間同士でポジティブに合意形成を行うために、デザインには明確な価値があると教えてくれました。デザインのおもしろさは、やっぱり広くて深いです。