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丁寧な仕事が丁寧なモノを生む。この道約20年の畳職人が扱う仕上げに不可欠な「相棒」とは

働く人にとって、日々扱う道具は「相棒」と言っても過言ではありません。
相棒とどのように出会い、どんな思い出を刻んできたのか。
長らく使ってきた道具に焦点を当てると、その人の個性やこだわりが滲み出てきます。

今回の「相棒」は、(有)増田商店の大田誠二さんが使い続ける高速自動制御両用機を取り上げます。
一般の人にとって馴染みの薄い機械ですが、日本の住まいに欠かせない畳を綺麗に仕上げるには職人の腕やこだわりとともに機械を丁寧に扱いこなす心構えが大切なことを窺い知れます。

《プロフィール》大田誠二(おおた・せいじ)
 豊国学園高校卒業後、2001年に(有)増田商店に入社。住宅現場での畳の敷き込みや引き上げなどの作業で経験を積んだ後、20年以上に渡って畳職人として腕を磨いてきた。休日には日帰りドライブで訪れた温泉地で日頃の疲れを癒すことが楽しみの1つ。福岡県出身、1977年生まれ。



畳づくりの仕上げに欠かせない「相棒」の存在

高速自動制御両用機のタッチパネルを扱う大田さんの手

ー「相棒」と出会ったきっかけは。
大田
「今から10年ほど前になるかと思います。この会社で畳づくりを始めて以来使い続けていたものが別にありましたが、入社前から長らく使われていたので老朽化によって使えなくなってしまいました。新たなものが必要となり、買い替えで会社に新たに導入されたことが使い始めたきっかけです」

ーどんな時に相棒は活躍していますか?
大田
「畳づくりにおける最終段階で欠かせない存在です。畳を作る際、畳床の部分にい草を織り込んだ畳表を被せた後、両端のへり(縁)の部分を作る工程があります。このへりの部分を縫い合わせる時に高速自動制御両用機を活用して仕上げています」


機械の故障を通じて実感した丁寧に扱う大切さ

大田さんが扱うトクラテック製の高速自動制御両用機「GS-8」

ーそんな相棒にはどんな「個性」がありますか?
大田
「タッチパネルで操作できるので、ボタン操作だった以前のものよりもかなり楽になりました。携帯電話で言えば、ガラケーからスマホに変わったような感覚です。ミシンと同じように上糸と下糸のどちらかが無くなると止まってしまいますが、仕上げが難しい厚みが薄い畳にも対応できるようになったので作業できる畳の種類が広がりました」

ー印象に残っている思い出を教えてください。
大田
「作業をしている時に機械が止まって使えなくなったことが思い出深いです。その時は納期が近い案件を抱えていたこともあり、元通りに使えるようになるまでの1~2週間は手縫いで対応せざるを得ない状況となってしまいました。何とか乗り切りましたが、当時かなり苦労したことを覚えています」

ーその時の出来事を通じて実感したり、意識したりしたことはありますか?
大田
「この仕事はやはり機械があって多くの畳が作れることを実感しました。それまで人並みに使っていたつもりでしたが、割と乱暴に扱っていた部分があったのかもしれません。その出来事以来、油を差したり、色んな部分を整備したりする形で日頃から気遣って大事に扱うようになったと思います」


自身の達成感と使い手の安心感を求めて続ける畳づくり

原田千幸取締役は「丁寧で自分の仕事にこだわりを持っている」と大田さんを評価する

ーもし相棒が現れなかったら、どんな社会人生活になっていましたか?
大田
「この仕事を始めて間もない頃、ある現場に納めた畳がすき間なくぴったりハマった時に何とも言えない達成感がありました。恐らくその時の気持ちが忘れられなくて続けているのだと思います。年間で約3000枚の畳を作っていますが、相棒を使いこなしながら畳を作るうちにこだわりも強くなって今でも面白いと感じながら続けています」

ーこれから相棒とどのように付き合っていきますか?
大田
「常に綺麗に優しく扱うことを心がけていきたいです。例えば、忙しくて綺麗にせずにほったらかした状態で作った畳は、仕上がりが悪いと感じることがあります。畳は長く使い続けるものなのでお客さんが安心感を持ってもらえる仕上がりにしたいですし、自分が心を込めて作った畳の上でワイワイと和やかに過ごす姿を想像しながらこれからも作り続けたいです」


《今回紹介した大田さんが働く会社はコチラ》
【会社名】有限会社増田商店
【本社】福岡県北九州市小倉北区片野1-5-13
【創業】1923年
【従業員数】11名
【事業内容】畳・ふすまの製造、工事など


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