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入社5年目で訪れた苦戦続きの事業への異動。立て直しの過程で得た事業を回す秘訣とは

世の中の99.9%は「普通の人」。スポーツやビジネスなどで活躍する著名人は、あなたにとって憧れであっても手が届かない遠い存在でもあります。

一方で身近にいそうな人のエピソードを通じて学べることもあるのではないでしょうか。あなたにとって、今後のヒントになるかもしれません。

今回は東海バネ工業(株)の吉原友貴さんに焦点を当てました。入社5年目に訪れた未経験の部署への異動し、事業の立て直しを通じて得た気づきとは?

《プロフィール》吉原友貴(よしはら・ともき)
 明治大学商学部卒業後、2013年に東海バネ工業(株)に入社。製造現場で熱処理加工や生産技術などの経験を積み、現在はクライアントサポート
グループのリーダーとして営業面の業績管理や戦略策定などを担う。休日に足を運ぶサウナや温泉が最近の楽しみ。1989年生まれ、愛知県出身。

【東海バネ工業株式会社のホームページはこちら】https://www.tokaibane.com/

「どうしたらいい?」との相談から始まった異動

学生時代には自ら起業してビジネスを手がけていた時期もある吉原さん

大学時代に社会人向けセミナーの学生スタッフとして携わっていた吉原さん。セミナーに偶然登壇した当時の社長の話を聞いた際に従業員を大切にする姿勢に感銘を受け、「すぐに入れさせてください」と直接アプローチして東海バネ工業(株)に入社します。

会社が拠点とする関西にもモノづくりの世界にも縁がなく飛び込みましたが、製造現場で経験を重ねてきた5年目にドリルやエンドミルなど切削工具の再研磨を手がける「ツールリメイク」の部署に異動することになります。

吉原
「異動の直前にあったドイツの展示会に行く飛行機の中で現在の社長から『ツールリメイク事業をどうしたらいいか?』と聞かれ、あれこれ言ったことがきっかけになったかと思います…」

他部署から見た考えを何気なく話したところ、思いがけず自身が担当することに。「どうしたらいいか?」と相談された裏側には、当時のツールリメイク事業を取り巻くある事情がありました。

吉原
「40年ほど展開している事業なのですが、赤字続きと聞いていて... それまでバネを作ったり、図面を書いたりと業務の役割が明確でしたが、やらなければならないことの抽象度も一気に高まりました」

事業の立て直しを図る業務は当時20代後半だった吉原さんにとって初めての経験。業務内容が一変し、どこから手をつければいいかわからない状況が「抽象度が高まった」と感じた要因にありました。


「当たり前」を理解してもらう難しさ

「モノづくりの世界に居て売り上げに関する数字を見る経験がなくて無知だった」と振り返る

会社からの「早期の黒字化を」とのミッションに対し、具体的な改善策は自分たちで探さなければなりません。白紙の状態から課題を浮き彫りにするため、まずは「なぜ赤字なのか」と業績面から原因を探る作業を進めます。

吉原
「『売り上げが低いのか』『固定費が高いのか』など分解して探ると、1つの課題だけを解消すればいいわけでないしんどさを感じました」

当時は社員3人のチームで物理的にできることも限られていました。営業体制を効率化するため学生時代の経験を生かして専用ウェブサイトを作ったり、工具の再研磨を手がける協力会社を増やしたりしますが、別の課題ものしかかります。

吉原
「全国各地にいる事業パートナーの人たちの環境や年齢の違いを理解できず、うまくいかないことも多々あって。口でお願いするのは簡単ですが、自分ができる当たり前のことを理解してもらう難しさも実感しました」

全国に10数人居るパートナーには、得意なことや業務としてやりたいことの違いがあります。例えば、業務効率化を目的にタブレット端末を導入しても使いこなし方に差が生じることもありました。報酬を手厚くして新たなパートナーを採用した際には、長続きせず辞めてしまうケースも続くなど安定的に組織を動かす難しさも痛感します。


事業を回すために必要な「仕組み」の大切さ

「“東海バネにしかできない仕事“に集中できるように、日々効率化に全力を注いでいます」と笑う

試行錯誤が続いた事業の立て直しですが、効率化や組織づくりを進めるうちに吉原さんの中である思いが生じてから変化していきます。

吉原
うまくいかなかったのは人の能力でなく、『仕組み』のせいだと気づかされました。マニュアル1つにしても、結局は仕組みを作れていない自分の責任と思うようになってから変化していけたと思います」

個人の能力に依存するより、1人1人が動きやすい体制を作り出すことに意義を見い出した吉原さん。「階段を1段ずつ上るように」と約2年がかりでマニュアル整備やツールの導入をはじめとした環境づくりや採算面、人材に関する課題を少しずつ解消させて最終的に事業を黒字化させることになります。

一方で最近になって同じグループに長く在籍しているベテランメンバーから意外な反応を聞くことになります。

吉原
「『正直、立て直しをやっている時は何も変わらないだろうと思っていたけど、数字として結果が出た時に変えられるんだと思った』と言ってもらえて。それが非常にうれしい限りですね」

社内でも半信半疑な見方があった事業の立て直しを経て、現在はメイン事業における営業戦略の策定などでリーダーを担う吉原さん。当時の経験を踏まえ、今後の自身の働き方についてどんな思いを抱いているのでしょうか。

吉原
「みんながやりたくないと思っていることを『やりたい』と思ってもらえるようにしていきたいと思っています。ボタン1つで気軽にできるような仕組みを作り、もっとたくさんのことをできるようにしたいですね」

事業やプロジェクトを進める際、能力が高い人たちだけが集まってもうまくいくとは限りません。「誰かを不幸にしないこと」をモットーに掲げる吉原さん。さまざまな立場で異なる環境に居る人でも理解して実践できる組織や事業展開を理想像に描いています。


今回のおさらい

吉原さんのエピソードからは、組織を動かす際に立場や環境の違いを超えて考えることの大切さがポイントとして挙がります。自分では簡単にこなせることも、相手や周りにとってはそのように感じないことは意外に多くあります。事業がうまくいかず余裕がない時ほど、課題となっている部分や伝えたいことをシンプルにわかりやすくすることが大切なことだと言えそうです。


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