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マスクがぼくにくれたもの

このご時世なので、誰もがマスクを装着してる。咳やくしゃみをしている人への視線は厳しいし、マスクを鼻の下まで下げる行為もギリギリアウトの判定だ。

最初に断っておくけど、
これからする話はコロナ禍でマスクをすることのうんちゃら、という頭のいい話じゃない。

完全に私的な話なので、
暇な方だけ読み進めていただければ幸いです。



ぼくは法人営業をしているのだけど、
マスクのマイナス影響をかなり被っている。

営業パーソンが訪問先でマスクをするなんて、今まで考えられなかった。もちろんマナー違反だった。でも今は、マスクをしないことがマナー違反に変わった。企業訪問自体も減ったし、訪問する際も完全着用だ。


ぼくの持ち味は顔芸だ。


とにかく、明るく楽しく面白くをモットーに営業活動を行なってきた次第である。

しかし、マスク営業のせいで顔の下半分が見えない。明るい感も楽しい感も50%カットだ。
仕方ないので頬の筋肉を最大限に吊り上げて、
「笑ってる目」を演出せざるを得ない。

目だけで表情を演出するのは相当厳しい。

マスクのせいで、ぼくは営業パーソンとしての武器のほとんどを失ってしまった。



一方で街を歩く楽しみが増えた。

人は答えが分かってしまうと急に興味を失う。

進学塾が入試問題を広告にしているのを電車で見かけたことがあると思う。あそこにデカデカと答えまで書いてあったらだれも見ないだろう。

街ゆく人々のマスク姿は、ぼくに「問い」を与え続けてくれる。移動中常に、進学塾の広告を見ているような気持ちで、すれ違う人たちのマスクの下を妄想している。

答えのない問題を解くのはとても楽しい。

取引先でもマスクの下を知らないまま商談してるけど、ぼくの中で相手の顔は完全に出来上がっている。

妄想は自由なので、マスクの下が人間である必要はない。時世を逆手に、「口が縦に生えてる星人」がスパイ活動を営んでいるかもしれない。

むしろこんなに変装し放題の時期に、周囲に地球人しかいないと考える方が不自然だ。

『トゥルーマン・ショー』という映画がある。
主人公以外が全て作り物の世界のお話だった。
気づいてないのは主人公だけ。

もしかしたら、
周りのマスクマン達は、誰一人この世界の住人じゃないかもしれない。

そんなことを考えていたら、もう営業どころじゃない。なんなら、取引先の人にもぼくは地球人と思われていない可能性がある。

ぼくが精一杯頬を吊り上げようと、相手は僕の口が縦だと思ってるのだから笑えない。

ならいっそ、僕の顔をアバターに変えてくれればいいのにと思う。そしたら、僕はすぐにブラッド・ピットに顔を変更するつもりだ。

これを読んでいるってことは、投稿を最後まで読んでくれたってことだね。嬉しい!大好き!