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ブルーもしくはブルー 著:山本文緒

 解説も含め270ページ読了。夫に愛人が居ること以外は何不自由無い生活を送る蒼子だが、ふと昔の恋人が居る博多に降り立つ。そこでは自分と瓜二つの名前も顔も一緒の蒼子がその恋人の隣を歩いていた。

 佐々木蒼子と河見蒼子、二人は内緒でお互いの生活を交換する事を提案する。ドッペルゲンガーに会い、さらに仲を深め、交換してみる。佐々木蒼子は河見との生活を選んでいたとしたらと言う淡い後悔を交換して実験してみるのだ。

 河見蒼子の方は佐々木蒼子がなぜ自分の人生に納得いって無いのだろうと不思議に思うくらい豊かな生活を送っていた。クレジットカードでなんでも買えちゃう大きな都心のマンション暮らしに恋人からの誘い、それは面倒だから避けて置いてねと言う佐々木蒼子の言いつけを破り、牧原という男と寝てしまう。そして妊娠してしまってから二人のパワーバランスは崩れて来た。

 河見との暮らしを満喫するはずだった佐々木蒼子だが河見のDV癖に飽き飽きして早々に東京に戻るも、河見蒼子の方がどいてくれないのだ。牧原と結婚すると言い出す。お互いに憎しみを募らせ、結局は牧原との子供は流産してしまうと言うお話し。

 そして河見の方でも佐々木の方でも離婚の話が持ち上がったが今でも離婚には至っていないと言うラストだった。

 女性が構造的に男性に依存してしまう事を二人の主人公を用意してお互いの異性を用意してもバッドエンディングで描いている。この作品はドラマ化されたらしいがドラマの方は無理矢理ハッピーエンドにしてあるそうだ。それで問題無いように社会は受け止めたが、山本文緒さんが作品にした真意はそうじゃないのかもしれない。真意はあとがきが無いのでわからないが文緒さんは社会を抉る女性を抉る、そして男性を抉る作品を作っていたのかもしれない。

 1996年の作品らしいが時代を越えて読まれているのは、文緒さんにとって喜ばしい事なのではないだろうか。どっちの人生を選んでいても、茨の道なのは今の自分にとって救いなのかもしれない。

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