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愛知県大府市|運用保守を見据えたRPA導入で年間147時間削減

愛知県大府市役所でRPAを導入し、情報システム担当部門が適切に運用保守する体制を構築し、RPAの運用に成功しているという事例をご紹介します!昨日に引き続きRPAの導入事例です。

RPAはプログラミングなしでも構築・導入できる、自動化ソフトウェアです。導入しやすいからこそ、野良ロボット(誰もが好き勝手にRPAを作ってしまい管理しきれないRPAが乱立すること)が増えて、ブラックボックス化してしまい、最終的にはRPAは手に負えない良くないツールだ、という結論になってしまうかもしれません。

しかし、情報システム部門でRPAのノウハウを蓄積しながら、適切にRPAを管理することで着実にRPAの導入効果を出しながら運用することができます。

ということで、今回は情報システム部門がRPAを運用保守する体制構築に力を入れた事例についてお話します。

RPA導入により業務時間を81.7%短縮、年間147時間削減

愛知県大府市では、ソフトバンク社が提供する「SynchRoid(シンクロイド)」というRPAを導入しました。

このRPAは「サーバ型」と言って、サーバ上でロボットを稼働させるタイプのものです。各PC上で稼働するのではなく、サーバ上で稼働させることで、RPAをサーバ内で一元管理することができ、管理しやすいというメリットがあります。

サーバ型の「SynchRoid(シンクロイド)」を導入し、「特別徴収異動届出書入力(※)」業務を自動化したことで、業務時間を81.7%短縮、年間147時間の削減に成功しました。

※特別徴収を行う事業者から提出される、退職・転職などの異動届出書を手作業でExcelへ転記し、さらに複数の税務システムへ転記するという入力業務。

転記作業などの単純作業はRPAが効果を最も効果を発揮するところですね。

情報システム部門がRPAを構築し運用保守を行う

大府市では、庁内のリクエストに対して柔軟に対応できるよう、情報システム部門でRPAを開発できる体制を構築しました。

具体的には、ソフトバンク社の協力を得ながら、自分たちでロボットの作成経験を多く積むことで、運用に関する経験やノウハウを蓄積していきました。

実際に、下記の児童手当受給者の保険証資格を照会する業務を自動化するRPAは大府市の職員が構築しました。この業務は手作業で行うと約670時間もかかってしまいますが、RPAを実行すれば全て自動で完了できますので、人手の作業が一切不要となります。

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※出典:システム部門へのノウハウ蓄積で「負担化しないRPA活用」を目指す(自治体通信ONLINE)

RPAはプログラミングが不要なので、誰でも開発できそうに見えるのですが(RPA製品を販売する営業トークでは必ずそう言われます)、やはりITスキルを持っている方でないと自由に扱えないのが実態です。

もちろん、時間をかけて研修を受けたり手を動かして勉強すれば、ITスキルのない方でもRPAを作れるようになるのですが、「勉強したらできるようになる」というのは当たり前で、RPAに限らず何でもそうですよね。

ITスキルを持った方がRPAを構築し、運用保守するとなると、情報システム部門が担当することが適しています。RPAは作って終わりではなく、日々の運用でエラーが出たら解消しなければいけなかったり、運用保守や管理が必要となってきます。その役割りを担うことまで見据えて、情報システム部門にノウハウを蓄積し体制構築したのは素晴らしい取り組みだと思います。

RPAは本当に内製すべきなのか?

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※出典:システム部門へのノウハウ蓄積で「負担化しないRPA活用」を目指す(自治体通信ONLINE)

RPAのセミナーなどで参加すると、ほぼ必ず「RPAは内製化をしたほうがいいですよ」と言われます。RPAの運用保守を外注するのではなく、自社で対応するということです。

理由としては、外注費用が毎月それなりにかかってしまうため、せっかくRPAで効率化したのにコストが追加発生しては意味がない、ということと、エラーや追加・変更が発生した時に、すぐに対応できるからです。

一般論としては上述のとおりなのですが、個人的には今いち腑に落ちていないところがあります。

愛知県大府市役所のように、情報システム部門があり、メンバーも数名所属しているような組織であれば、情報システム部門が運用保守するのが良いと思っています。

しかし、情報システム部門がなかったり、情報システム部門が存在しても1〜2名しかいない組織では、情報システム部門でRPAを運用することが難しいです。既存システムの運用保守や新システムの導入など、他の業務で忙しいためです。

そうなると、ユーザ部門がRPAを運用保守することになってしまいます。

するとどうなるかと言うと、、そもそも、単純作業を自動化して別の付加価値の高い仕事に時間を割くということがRPAの導入目的であったハズなのに、自動化して空いた時間を使ってRPAの運用保守を行うことになり、本末転倒になってしまうのです。

そのため、情報システム部門がいない(または部門が存在しても少数)という場合は、RPAの構築や運用保守を外注したほうがよいと個人的には考えています。

ただし、気を付けるべきポイントはコストです。外注したほうがよいとは言え、コスト負荷がかかってしまっては、RPAの効果が薄れてしまいます。

RPAだけをスコープにすると割高になってしまいますが、他のシステムの運用保守やシステムコンサルティングと合わせてRPAの運用保守を任せることで、適切なIT投資コストにすることができます

RPAを効率よく外注する方法

具体例を挙げます。RPAの運用保守を外注する時、A社とB社ではどちらがよいでしょうか?

・A社の提案
月20万円でRPAの運用保守

・B社の提案
月40万円でRPAの運用保守、業務改善コンサル、情報セキュリティ対策支援、◯◯システムの運用保守

前述のとおり、RPAの運用保守だけで月20万円というのはコスト負荷が高すぎると言えます。

しかし、B社の提案ではRPAの運用保守以外にも多くの業務が含まれています。月40万円ということは情報システム部門に社員を1人雇うよりも安いくらいの費用感ですので、IT投資としては適切ではないかと思います。

このように、RPAだけを外注することはあまりオススメしませんが、他の業務とセットで外注することで、情報システム全体で考えると妥当なコストにすることができます。(社内稟議においてもB社の提案の方が話を通しやすいというメリットもあります)

ということで、RPAは非エンジニアでも簡単にできます!という言葉を鵜呑みにせず、運用保守フェーズの体制も考慮した上で導入を検討することをオススメします。

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