見出し画像

愛媛県松山市|ビッグデータを活用した縁結びのレコメンド機能でお見合い実施率が2倍へ上昇

愛媛県松山市は四国の北西部に位置し、愛媛県の県庁所在地です。
瀬戸内海に面しており、日本最古といわれる道後温泉や全国的にも貴重な松山城など、多くの観光スポットがある町です。


少子化対策として結婚を支援する

少子高齢化は全国どこの地域でも課題になっています。愛媛県でも同様で、少子化の主たる要因である未婚化・晩婚化が進んでいました。

2005年の国勢調査のデータによると、男女の未婚率は以下のとおりで、毎年未婚率が上がっている状況でした。

【男性】
 ・25〜29歳:65.1%
 ・30〜34歳:42.2%
 ・35〜39歳:28.5%
【女性】
 ・25〜29歳:55.0%
 ・30〜34歳:30.2%
 ・35〜39歳:18.7%

未婚化・晩婚化に対応するため、独身男女の出会う機会を提供する自治体協力のもと、結婚支援事業が立ち上がりました。愛媛県が一般社団法人愛媛県法人会連合会に委託して実施した組織が「えひめ結婚支援センター」です。

えひめ結婚支援センターは、出会いの場を提供するためにICTを使った独自システムを2011年に開発し運用していました。そのシステムを更に活用した、というのが今回の事例です。


5年間蓄積したビックデータを活用してリコメンド

2011年から使い始めたシステムに蓄積された5年分のデータを使い、お見合い行動履歴を元にしたリコメンド機能「ビッグデータからのおすすめ」を構築しました。

※リコメンドというのは、ネットショッピングなどでも良く見かける「この商品を買った人は、別のこういう商品も買っていますよ」というオススメ情報を自動で出すことです。自分の購買履歴を元にオススメ情報が表示される機能です。

これまでに行ってきたお見合いイベントとお見合い事業を合わせて、登録者約13,000人分のプロフィール情報、約150万件の行動履歴情報、約4,000件のお見合い実績情報を活用しました。そして、登録者に対して「あなたが求める条件に合った、この方はどうですか」「あなたの求めていた条件とは少し違うかもしれないけれどもこういった方もどうですか」というレコメンド情報を表示させたのです。

この機能を『愛結び』と呼び、今まで以上にシステムが活用されるようになりました。

スクリーンショット 2020-10-16 17.44.37


お見合い実施率が2倍(13%→29%)へ上昇

「愛結び」におけるお見合い実施率では、通常よりも高い数値を得ることができました。通常は13%であるのに対し、「愛結び」では29%に達しました。

これまでは、お見合いの申し込みを躊躇していた女性利用者も多くいたのですが、ビッグデータからのおすすめ(リコメンド機能)が表示されることで、申し込みボタンを押しやすい状況になったという点が大きいようです
昔ながらのお見合い仲人的な効果です。

公的な結婚支援においてビッグデータの解析を活用する事例は全国初の試みであり、なおかつ成果も出ていたため、マスコミからの取材が多数寄せられました。取材の効果も相まって、新規登録者は前年度対比136%の伸びを示し、登録者数自体の増加にも繋がりました。

【実際に成婚したカップルの声】
登録する前はシステムで探すお見合いなんて…と、思っていたのですが、今では本当に登録してよかったと思います。本当にぴったりの自分にあった人に出会える事ができました。結婚しようと思ったのは出会って半年も経たたないうちでしたが、今までにない心の安らぎを感じたのでプロポーズし
ました。二人とも、素敵な出逢いをくれたセンターには、とても感謝しています。ありがとうございました。
※一般財団法人 全国地域情報化推進協会(https://www.applic.or.jp/)より


ポイント

今回はビックデータを活用した事例ということもあり、ポイントはやはり「アルゴリズム(データ分析のロジック)」です。

単純に自分が望む条件に合った方を検索して表示するだけであれば、ここまでお見合い実施率は上がっていないと思いますし、ビックデータを活用したとは言えないレベルです。

単純に条件を一致する相手を表示するのではなく、「条件に合っていないけど、もしかしたらあなたに合っているかもしれない」という情報を表示することができた、というのが今回のポイントです。

例えば、女性が男性に対して求める条件を「20代、年収600万円以上」と登録したとしましょう。このとき「31歳、年収700万円」「29歳、年収550万円」という二人の男性がいた場合、条件一致だけ見たら該当しないため、マッチングがされません。
しかし、必ずしもこの二人の男性が外れるかどいうと、現実はそうでもありません。条件を少し満たしていないだけですので、実は共通の趣味があって意気投合する、性格が似ていてお互いに惹かれ合う、といったことが十分あり得るからです。

このように「もしかしたら・・・」というオススメ情報を表示するのは、ビックデータを活用してこそ実現できた機能です。たくさんの過去データを分析した結果から導き出すことができる情報だからです。

ビックデータの活用においては「アルゴリズム(ロジック)」が重要ですし、どういう情報を得て、どういう結果を実現したいのか?という視点も非常に重要です。しっかりとその視点を持って取り組まれていた事例だったので、お見合い実施率2倍という結果も出せたのではないかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?