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静岡県浜松市|デジタルスマートシティに向けたデータプラットフォーム「FIWARE」活用

静岡県浜松市が、スマートシティの実現に向けて、IoTを使って収集したデータを活用・連携する基盤を導入し、実際にデータを活用するプロジェクトを開始しました、という事例をご紹介します!

IoTセンサーを使うと、例えば農場に設置すれば気温や湿度のデータを収集できますし、町中に設置すれば歩行者の数や性別・年代というデータを収集することができます。

しかし、IoTでデータを取得できるからと言って、そのデータを簡単に活用できるとは限りません。なぜなら、多種多様なデータであるため、項目やフォーマットなどがバラバラで統一されていないからです。

そこでIoTで取得したデータを使いやすくする仕組みを浜松市では導入していましたので、それについてお話しようと思います。

浜松市が推進する「デジタルスマートシティ」とは?

まず、スマートシティとは、都市部が抱える課題をICTを活用して解決し全体最適化を図ることです。もう少し具体的に言うと、IoTなどの先端技術を活用して生活インフラをより効率的に運営していくというもので、自動車の交通量をデータ化して渋滞を回避させる、電車の故障を事前に検知して継続的に稼働できるようにする、スマホを持って買い物をするだけでポイントがたまる、などです。

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※出典:スマートシティ(Smart City) とは

では、「デジタルスマートシティ」とは何かというと、スマートシティとかなり近い意味で使われていますが、違う点としてはデータやデジタル技術を活用することを優先して、持続可能な都市づくりに取り組むことです。

つまり、少し乱暴に言うと、「全体最適化も重要だけど、データやデジタル技術で解決できる課題が多いから、とりあえずデータやデジタル技術を使って課題解決をどんどん進めよう」というものです。

静岡県浜松市では、デジタルスマートシティーに向けて、デジタルファーストに取り組むことを市町自らが宣言しています。

人口減少・少子高齢化社会の到来やインフラの老朽化をはじめとした社会課題が深刻化するなか、AI・ICT等先端技術やデータ活用などデジタルの力を最大限に活かし、都市づくりや市民サービスの提供、自治体運営に“デジタルファースト”で取り組み、持続可能な都市づくりを推進することを宣言します。

令和元年10月31日
浜松市長 鈴木康友

具体的な施策としては、大きく3つに取り組んでいます。

(1)都市の最適化
官民で分野を横断してデータ連携することで、住みやすい都市づくりを行うものです。医療・福祉・健康分野では、データを活用することで健康寿命を伸ばすことを目標にしています。また、農業分野ではAIやIoTなどの最先端の技術を活用することで生産量を増やす取り組みを行っています。

(2)市民サービスの向上
行政手続きをオンライン化したり、教育分野でICTを活用してオンライン教育やタブレットなどを活用した授業を行ったり、電子決済(キャッシュレス決済)を推進したり、市民の方々が直接恩恵を受けられるようにサービス向上に向けて取り組んでいます。

(3)自治体の生産性向上
AIやRPAなどを活用して、アナログ業務の多い自治体業務を自動化して効率化することで、働き方改革を推進する取り組みも行っています。

このように、とにかくデータやデジタル技術をどんどん活用して、より住みやすい町づくりを行っているのが浜松市です。

IoTデータは活用しにくいという課題

デジタルスマートシティに取り組んで、住みやすい町づくりをしているなんて、凄すぎる!と感じられた方が多いと思います。

しかし、これらの取り組みは容易な道のりではなく・・・様々な課題・障壁があります。その一つが「IoTで収集したデータは活用しにくい」という課題です。

データを活用するための大まかな手順としては
1.IoTセンサーなどを使ってデータを収集する
2.収集したデータを活用できる形に整える
3.整えたデータを使って、分析や解析をする
4.分析結果を使って新しい取り組みへ活かす
です。

活用しにくいというのは、手順2のことですね。

何となくイメージしやすいように少し抽象化して説明します。データ提供側というのはIoTでデータを収集する側、データ受領側というのはデータを分析する側を指しています。

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このように多種多様なデータはフォーマットが違うし、レイアウトや項目が違うし、といった具合でバラバラです。一方、データを受け取る側の受け口は基本的に決まっているので、そのまま使うことができません。

そこでどうするかと言うと、データ受領側が受け取れる形に整える作業を踏むということです。

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これは、今回のIoTデータに限らず、企業内のシステム同士でデータ連携する際にも同様の課題が起きています。

その結果、データが活用しにくい→使えない→IoTを使ってデータ活用することは困難だ、という結論になってしまう可能性があります。せっかつ収集したデータを活用できないのは非常に勿体ないです。

ということで登場したのが「FIWARE(ファイウェア)」という仕組みです。

FIWARE(ファイウェア)とは?

FIWAREとは、交通・防災・医療・金融・観光など、分野を横断してデータを活用しやすくするデータ管理基盤のことです。

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※出典:FIWAREとは何か? 基礎からわかるスマートシティ標準のIoTプラットフォーム

こちらもざっくりと説明すると、多種多様なデータを一元的に管理できて、なおかつバラバラの形であるデータを整えて、一つの形としてデータ提供することでデータを活用しやすくする、という仕組みです。

この仕組みは欧州を中心にグローバルでも展開されているものです。日本では少しずつですが、導入が進んでいます。

浜松市では、NECが提供する「FIWARE」という仕組みを活用して、浜松市が収集したデータを幅広く活用できるようにしています。

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※出典:Hamamatsu ORI-Project

エンジニアの方向けにお伝えすると、FIWAREではオープンAPIが開放されています。そのため、外からAPIを呼び出すことで簡単にデータを使えるということなのです。

浜松市ではデータ連携基盤を活用した実証実験のプロジェクトをスタートしたばかりなので、今後実証実験の結果が出て始めてきたら、またご紹介させて頂こうと思います!

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