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長野県信濃町|ITを使った雪下野菜の生育(IoTセンサーとクラウドでデータ化)

農家の労働力不足を補いながら、農業での年間収入を増やすために、長野県信濃町ではIoTセンサーとクラウドを使って、雪下野菜の生育を実現しました。

その取り組みについて、ご紹介します!

65歳以上の高齢化率が高い「長野県信濃町」

日本全国、すべての地域が直面している課題の一つが「少子高齢化」です。

日本全体でどれくらい少子高齢化が進んでいるかというと、以下の数値が公開されています。65歳以上の割合が年々増加している状況です。

・19歳以下:17%
・20〜64歳:55%
・65歳以上:29%
※出典:財務省 日本の少子高齢化はどのように進んでいるのか

50年後には65歳以上の人口が40%近くになる、と言われています。

少子高齢化は地域によって進行の度合いが違っていまして、例えば北海道は全国平均よりも高い割合で少子高齢化が進んでおり、日本で一番高い数値となっています。

長野県信濃町も65歳以上の高齢化率が高く、長野県毎月人口異動調査によると、「41.8%」(平成30年4月時点)でした。

高齢化における農業の課題

高齢化による課題は様々ですが、農業においては「後継ぎ(担い手)が不足して廃業してしまう」「労働力が不足することで生産量・収穫量が減ってしまい収入が減少する」といった課題があります。

それに加えて、信濃町は"特別豪雪地帯"となっており、積雪量が非常に多いため冬の期間中は農業ができないという課題も抱えています。

従来の農業者は収入を確保するため、冬の期間中はスキー場や宿泊施設などの観光サービス業に従事していました。

しかし、、、スキー場から人が減っていたり(若者のスキー・スノボー離れで20〜30年前に比べるとスキー・スノボーの実施率が15%を超える都道府県はほとんどない)、という影響で観光客が減っています。

観光サービス業で収入を補填することが難しくなってきます。

そこで、労働力不足を補いながら、収穫量を増やして農業における収入を増やすために、ICT活用へ取り組みました。

IoTデバイスを使って雪中で野菜を育てる

長野県信濃町では、昔から、冬の間の野菜不足を補うため、秋に収穫した野菜を雪中で保存し食してきました。

雪の中は、温度0〜5度、湿度90%程度の環境が保たれるので、乾燥を防ぎ長期保存が可能で、かつ野菜の甘みも増す(低温糖化)のですね。

雪下や雪中で生育された野菜「雪下野菜」を収穫すれば、農業の年間収入を上げることができる、ということで、IoTセンサーを使って雪下野菜の生育へ取り組みました。

雪下野菜の生育環境を計測しデータを蓄積します。蓄積したデータを分析することで、野菜が一番美味しくなるタイミングを予測出来るようになりますので、最も良いタイミングで収穫できるようにする、というのが狙いです。

〈畑に設置されたセンサー〉

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※画像:信濃町IoT実装プロジェクト /雪下野菜の環境センシング

IoTで収集したデータをクラウド上で蓄積・分析する

蓄積されたデータは、ほぼリアルタイムにグラフ化されます。

〈雪下野菜の環境センシングデータ〉

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※画像:信濃町IoT実装プロジェクト/雪下野菜の環境センシング

畑に設置されたIoTセンサーが収集したデータは、クラウド上にあるAWS(Amazonが運営するクラウドサービスのデータ基盤)へ保存されます。

AWSに保存されたデータを使って、DataDeckというクラウドサービスを使い、データをグラフ化します。

グラフ化したデータを農家の方が、自分のPCやスマホで見られるようになる、という仕組みです。

ここまでしっかりと仕組み化され、データもクラウド上に保存されているので、今後の展開もしやすい状態になっています。

例えば、AIを活用して、クラウド上にあるデータを分析することで収穫量の予測などもできるようになると思います。

今後の展開も考えて、クラウドを活用する=データを使いやすい状態にしておく、ということは重要ですね。

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