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群馬県片品村|オフラインの行動をデータ化しビックデータ活用

おはようございます!
今日は群馬県片品村(かたしなむら)でビックデータを活用して、来訪者の属性や行動を分析してマーケティング戦略を検討したという事例をご紹介します。

僕は仕事でマーケティング戦略を立案するということがたまにあるのですが、正直言って、非常に難しいです…。基本的には「どうやったら集客できるか」という課題に対して、打開策を立てていくのですが、顧客の行動を正確に予測することが困難だからです。

そこで、顧客の属性(性別、年齢など)や行動の「データ」を活用して、正確に顧客の行動を捉えた上で、マーケティング戦略を立てることで、より効果の高い施策を打つことができるようになります。

データ=事実で、嘘をつかないのでデータが非常に重要ということです。

こういったデータを元にしたマーケティング戦略の検討はオンラインに限ったことだと思われるかもしれませんが、最近はオフラインでもデータを取得するやり方が増えているので、オフラインでも活用できます。

ということで今日は、群馬県片品村がオフラインで顧客の属性・行動データを取得して、尾瀬国立公園やスキー場などへの観光客の集客へ役立てた、ビックデータ活用のお話しです。

なぜ"ビックデータ"が重要なのか?ビックデータ活用の意義

「ビックデータが重要だ!」

という言葉は聞いたことがある方が多いのではないかと思います。しかし、何となく重要そうであることは分かるが、ビックデータがなぜ今重要なのか、事業へどのように役立てるのか、についてピンと来ない方もいるかもしれませんので、解説します。

まず、ビックデータとはその名の通り、巨大で複雑なデータ群のことを指します。

ビックデータとは、様々な形をした、様々な性格を持った、様々な種類のデータのことを指します。実はビッグデータは、データの量(Volume)、データの種類(Variety)、データの発生頻度・更新頻度(Velocity)の3つのVからなり、いずれも重要な要素です。
https://data.wingarc.com/what-is-big-data-11866

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※出典:「ビッグデータ」ブームに日本企業は乗るべきか

2010年頃から「ビックデータ」という言葉が普及し始めて、今では大企業を中心にビックデータを活用している企業が増えています。

特にここ数年にかけてビックデータが広く普及してきているように感じます。理由は大きく3つ考えられます。

1.技術が発達し、大量のデータを高速処理できるようになった
2.AIを使うことで大量のデータを自動的に解析できるようになった
3.IoTなどを活用することでオフラインのデータも取得できるようになった

ビックデータが普及したのは1番目の理由が大きいと思います。ただ、IT系の企業以外で、オフラインの事業を行っている会社や自治体などにおいては、3番目の理由によってビックデータの活用が進んでいるのではないかと思います。

例えば、、これまでは、30代女性であればおそらく土日に来店して◯◯商品を購入するのではないか、といったように仮説を立てて施策を検討していきました。

しかし、事実となるデータがあれば、効果の高い施策を打つこともできます。30代女性の63%は平日夜18時から19時の会社帰りに◯◯商品を購入し、土日の13時から15時にxx商品を購入している、といったようなデータです。

このデータ(事実)があれば、平日の夜は◯◯商品を店の目立つ位置に並べておき、土日はxx商品を店頭に出し、さらにxx商品の割引キャンペーンを土日の午後限定で行う、といった施策を導き出すことができます。

このように、データ(事実)を活用できると集客に活かすことができるので、とても重要だということが分かります。


ここからは群馬県片品村で実際に行ったビックデータの活用事例について、具体的にお話していきます。

群馬県片品村で行った来訪者の属性・行動の可視化

群馬県片品村は自然の多い村で、国から指定された尾瀬国立公園や、スキー場、キャンプ場、温泉地など、観光スポットがたくさんあります。

しかし、少子高齢化やエンターテイメントの多様化に伴って、各施設へ来訪する観光客の数は年々減少していました。これは片品村に限らず、どの観光施設でも起こっている問題だと思います。

どうやったら観光客が増えるのか?という問いに対して、より効果の高い施策を打てるように、KDDIなどの民間企業と連携して、位置情報ビックデータを収集し、来訪者の属性・行動を可視化する取り組みを行いました。

仕組みとしては、スマホと基地局で通信されたデータを元に、来訪者の属性と位置情報を蓄積し、そこに国勢調査などのデータを加えることで、データ分析できるというものです。

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※出典: 群馬県片品村 ビッグデータを活用して、尾瀬来訪者の属性や行動を可視化

具体的に分析した項目は以下の12項目です。

(1)来訪者属性
(2)来訪者居住地
(3)入山口
(4)来訪者の周遊状況
(5)尾瀬エリア来訪ヒートマップ
(6)尾瀬エリア滞在/滞留時間
(7)尾瀬エリア来訪/非来訪比較
(8)時間帯別来訪者
(9)来訪者旅程
(10)来訪者宿泊場所
(11)来訪者立ち寄り箇所
(12)天候による来訪状況

分析結果(一部)を紹介します

実際に片品村で分析された結果(一部)は以下のとおりです。

・来訪者の性別は男性が57%とやや多く、年代は40代以上が全体の77%を占める。
・居住地域は、関東、中部、東北の順に多く、都道府県では埼玉県、東京都、群馬県の順に多い。
・来訪者宿泊先は、群馬県、福島県、新潟県の順に多い。
・来訪者の旅程は、宿泊が5割を占めるものの、片品村域内の宿泊は2割に留まる。

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※出典: 群馬県片品村 ビッグデータを活用して、尾瀬来訪者の属性や行動を可視化

実際にどういう人が来訪しているのか、日帰りなのか宿泊しているのか、宿泊の場合はどこに泊まっているのか、といった事実を把握することができます。

この事実(データ)があれば、例えば、地域外に宿泊している観光客が多いことから、地域内にある宿泊施設を積極的にアピールして泊まってもらうための施策を打つ、といったことが考えられます。


このように、データに基づく事実を把握できることで、より効果の高い施策を検討することができるようになります。

片品村の事例のように、オフラインで位置情報を取得することも容易にできるようになってきているので、特にオフラインの事業を行っている企業や観光客の集客を考えている自治体などで、ビックデータの活用を検討してみると良いかもしれません。

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