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ユーザーインタビューにおける「あいづち」の"出し方"と"止め方"

この記事は Goodpatch Design Advent Calendar 2020 13日目の記事です。

Goodpatchでデザインストラテジストをしています、高城です。
戦略設計やコンセプトメイキングを行うために多くのリサーチを行うのですが、本日はユーザーさんへインタビューをする際の"あいづち"について普段考えていることを書いてみたいと思います!

今回は、「ユーザーさんの潜在意識にある課題やニーズを引き出したい」時にするユーザーインタビューを前提に言及していきます。(いわゆる、デプスインタビューです!)

インタビュー時に気がつくとやってしまうこと

インタビューをしていると事前に設計した項目を全部聞くために焦ったり、話を聞きながら大事な部分をメモするのに集中してしまったりしませんか?

私自身、少しでも気を抜くと「あ、しまった。ユーザーさんとの会話に集中できてない」なんてインタビュー中に気がつくことがあります。特にオンラインでインタビューをするようになると、Slackのメンションが飛んできたり、インタビュースクリプトをチラッとみたりして、意識を削がれる瞬間が数多くあるなと感じます。

しかも、心のどこかで「インタビューの動画もあるし、見返せばなんとかなるかも」なんて思っちゃったりしてる自分もいたりして・・・。

でもそのインタビューに向き合えてない瞬間って結構ユーザーさんに見抜かれちゃうんです。

私自身、いろんな場面でインタビューを受ける側になることも多いんですが、インタビューを受ける側ってインタビューをしてくれる方の質問にちゃんと答えようとして、リサーチャーの行動と言動に対してかなり集中力を高く保っているんですよね。

インタビューの"あいづち"で心がけていること

私自身がインタビューをする際に自分の中で決めているあいづちのルールがあります。(他にもインタビューの項目とか時間配分とかいろいろあるんですが、特にどの場面であってもあまり変わらないかなと思うのがあいづちに関するルールです。)

あいづち、漢字で書くと「相槌」ですが、語源は江戸時代の鍛冶屋にあるそうです。師匠が槌(ハンマー)で鋼を叩いた後に、弟子が槌で叩く。この弟子が叩く行為を「相槌」と呼んでいたそうです。以下に師匠に良く叩いてもらうのか、それを引き出すのが相槌であり、これは我々の使う会話のあいづちも同じように感じます。

あいづちに関しては「出し方」と「止め方」を意識しています。

あいづちの"出し方"

あいづちをなんて言葉でいれるかすごく悩みませんか?「はい」って言葉ってあいづちとして難しいなと常日頃思ってます。

例1:
リサーチャー「XXについてはどうですか?」
ユーザーさん「〇〇って〜〜なんですよ。」
リサーチャー「はい」

例2:
リサーチャー「XXについてはどうですか?」
ユーザーさん「〇〇って〜〜なんですよ。」
リサーチャー「はい、はい、はい!」

文章でみると中々強いですし「いやいや、こんな人いないでしょ!」って思われるかもしれませんが、結構あるんです。

例1だと、インタビュー項目がたくさんある時って、リサーチャー側も焦ってくるんで質問を切り上げて次の質問にいくための呼吸として「はい」って言っちゃったりするんですよね。でもユーザーさん側からすると「俺の話、面白くなかったかな・・・?」とか「このインタビューの趣旨に反してたかな?」なんて不安になってしまいます。

例2は盛り上がってるインタビューでたまにお見かけします。リサーチャーからすると、自分もテンション上がってテンポよくあいづちを打っているつもりなんですが、ユーザー側からすると「この人、私の話聞き流してない・・・?」って思われちゃうこともあります。

じゃあどうしようかなー、って思いながら、私は「えぇ。」ってあいづちをベースに「なるほど」とか、「はぁ、はぁ、はぁ。」「うーーん!(発音的にはんーーー。のが近い)」といった言葉を使っています。

特に「えぇ。」って使い勝手がよくて、"え"のイントネーションによって、結構多くの情報を伝えられるんですよね。

後半をちょっと小さく発音すれば「どういうことだろう?」という気持ちを伝えられますし、前半を強く発音すれば「なーるほど!」というニュアンスが伝わります。
また、テンション上がってしまって「ええ、ええ、ええ!」みたいに使っても音が変わらないので聞き流してる感が出づらいんです。

あいづちの"止め方"

ユーザーが回答の途中で黙ってしまうことがあります。リサーチャーからするとこの沈黙ってやつはかなりしんどくてついつい「今の発言っていうのは〜〜という意図ですか?」などと口を開きたくなっちゃいます。

でも、沈黙には2つの種類があると思っていて、その見極めが大事だと思っています。

良い沈黙:
ユーザーが思考を巡らせてくれて、自分の中での答えやそれを表現する言葉を探ってくれている
悪い沈黙:
ユーザーが話している中で自分自身でも何を言いたいのかわからなくなってしまって、一旦立ち止まっている

良い沈黙の時には5秒程度じっくりと待ってみてください。ユーザーさんは自分の気持ちをや思いを感じ取れても、それを言語化することのプロではありません。そのために、適切な言葉を探ってくださったり、自分の中での答えを反芻したりするのに時間がかかります。
待つことによってユーザーさんが深い部分の自分の思いを掘り起こしてくれたり、自分が感じていた気持ちをまとめてくれたりしますので、よりユーザーさんの体感に近い発言をもらえるはずです。

逆に悪い沈黙が生まれた時にはあとは「僕の言葉で置き換えてみると〇〇ということでしょうか?」なんて質問をあいづち代わりにしたりして、ユーザーさんの回答に補助線を引いてあげるといいと思います。
リサーチャーの「〇〇」という置き換えた言葉が敲きとなって、ユーザーも発言しやすなりますし、「ちゃんとあなたの話を興味深く聞いてますよ!」というメッセージにもなります。

会話の途中はもちろんのこと、質問した直後の沈黙にも良い沈黙はありますので、勇気を持って発言を待ってみることも良いユーザーインタビューをするためには重要だと思います。(質問の意図をくみ取れなかったり、複数解釈を考えてしまって回答に困っている場合もありますので、それは悪い沈黙です!)

最後に

同じような内容でユーザーインタビューの数を重ねていくと悪い意味でインタビュー慣れしてしまい、徐々に徐々に自分でも気が付かない部分が雑になってしまいます。また、インタビューの経験を積むと自分の型が良くも悪くもできてきて、型にはめたインタビューをしてしまいがちです。ユーザーさんやシチュエーションは全然違うはずなのに。

そのため、こうやって"インタビューの目的"や"良いインタビューは何か?"について言語化し、発信し、議論することは非常に重要だなと思っております。そのため質問やコメント、異論や反論がありましたらTwitterのDMなどでいただけると嬉しいです。

日々研鑽していきたいので是非ともお仲間になってください。


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