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『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』

先週末道すがらにBOOK OFFを発見して、久しぶりに寄ってみた。
その日は一冊だけ目当ての本があって、他の本をいくつか物色しようという気持ちはさほどなかった。
でも、その目当ての本を探す最中にずっと好きな益田ミリさんの本を見つけてそれも一緒に買うことにした。
それと同じ様にこの尾形真理子さんの本もふと見つけて買おうと思った。でも、私は尾形真理子さんやこの本のことを特に知っていた訳ではなく、その時初めて知った。パケ買いに近かった。

目当ての本を探している時に、そのタイトルが目に入った。
『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』、まさにその通りだと思った。初めの数ページを読んでみて、その文体や言葉選びがしっくりときてこれも買ってみることにした。
読んで見て、ああこれが私が今必要な本だったんだなと思えた。
短編のエピソードが一つのセレクトショップを通して繋がっていて、一つ一つの話にそれぞれの女性の悩みや葛藤、思いが詰まっている。

毎回エピソードのタイトルと最後に出てくる締めの一言が、そのストーリーを秀逸にまとめていて、最初と最後にガツンとエッセンスが効いている。
思わず作者のことが気になって調べてみると、博報堂でコピーライターをやられている方らしい。
なるほど、道理で言葉選びやフレーズにエッジが効いているのか!と納得した。

この本を読んで見て、今自分がお洋服を買うことに興味がなくなっている理由が結びついた。
「ああ、私恋をしていないんだ」
私には、試着室で思い出す人がいないことに気づいた。
お洋服はずっと好きだし、今もお出かけでお洒落することは好きだ。でも、ここ最近はショッピングというショッピングをしていない気もするし、お洋服が欲しい!あれを着たい!というワクワク感に欠けていた。
単に物欲がなくなっただけなのかなとか、好きな服が見つからないだけなのかもしれないと思っていたけど、恋をしていないという要因もあったのだ。
この本に出てくる女性たちはみんな誰かに恋をしていて、その人と過ごす時の特別な1着を探している。
一番可愛い自分でいられる服を見つけ出していく。

私も新しい春を見つけ出したくなった。
怯えないで怖がらないで、誰かのために素敵な1着を見つけたいと思えるほどに全力になる。

本と恋愛は似ている。ファーストインプレッションは嘘をつかない。
最初にいいなと思った本は大抵いい本だし、その時自分が求めているもの、必要なものなんだと思う。私は今この本に出会えて、読むことが出来て良かった。



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