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自己紹介(JX通信社/WiseVine藤井です)

藤井大輔(JX通信社/WiseVine)です。プロフィールに固定していた記事がすでに古い内容になっているので、改めて自己紹介を投稿します。転職が多い人生だとこういうことがしばしば…。

在京ラジオ局でウェブマスターとしてキャリアをスタートしました。

2006年当時、広告領域でICTに熱心な企業を探していて、広告代理店はなかなかその分野の企画職に特化した採用がなく、テレビ局はちょっと大きすぎて何ができるかわからない、ということで、在京ラジオ局に入社しました。

結果、いわゆるTwitterの「中の人」第一世代になったり、iPhone日本上陸にあわせて色々取り組ませていただいたり、いろいろとチャレンジさせていただきました。ワールドクラスにわかりやすい社名だったので、事業規模に反してAppleやらレディ・ガガのマネージャーやら、色んな人と直接やり取りができたのも良かったと思います。度胸がつきました。

3.11を経てIT企業へ。

しかし非常に狭いラジオ業界。ICTの知見、とくにtoC領域の課金コンテンツの知見がほぼ「着うた」時代で止まっていることに(自分自身というよりも業界全体の)危機感を感じ、IT企業にいちど転職してみよう!と、退職届を出したところで東日本大震災を経験しました。ラジオとはいえマスコミとして、何ができるのか、暗中模索で必死に駆け抜けている間に有給消化のチャンスを逃し、そのまま退職日を迎えました。「災害時の情報は人の生死に関わる」「日本の地方には大きな課題がある」ということを漠然と感じつつ、ひとまずメディア人として今持っている知見でできることは全部やった、という感じの退職でした。

IT業界の洗礼を受ける。

平均年齢がぐっと下がったIT業界で、オンラインゲーム会社(その会社はのちに日本最大のコミュニケーションアプリの会社になりますが)と、大手SNS会社(その会社はのちに世界No.1のスマホゲーム会社になりますが)を経験しました。いずれの会社も想定外の理由で退職することになりますが、どちらの会社も、億単位の広告予算を使って大規模なオフライン/オンラインプロモーションを組ませて頂いたり(広告を売っていた人間として、買う側の気持ちがとてもわかる経験だった)、国際広告賞にノミネートするような大規模なオンラインプロモーションを作らせていただいたり、O2Oのプラットフォームっぽいものを突貫で作らせていただいたりと、実にいろいろな経験をさせていただきました。なぜか元々いたラジオ局との協業案件も、怪我した上司から偶然引き継いだりもしました。何の因果だ。

ラジオ局に戻り、災害について再び考える。

縁あって、最初に入社したラジオ局に再度入社して、しばらくしてからあたらしいデジタル放送の立ち上げに関わることになりました。元々、このデジタル放送の立ち上げに必要な知識が今の自分にはないな…と思っての退職だったので、志願しての兼務です。配属後、「3ヶ月後に放送開始だけど、まだシステムは動いていない」と宣言されたときは背筋が凍りましたけど。

この放送サービスでは、いままでのように編成されたコンテンツを放送するだけでなく、電波を帯域で分割して、複数のデジタルコンテンツをIPと同じプロトコルのまま(つまりUDPパケットとして)、放送波で配信することができるという点が大きな特徴でした。放送の強靭性と、インターネットプロトコルの汎用性の両方を生かしたサービスが自由に作れる。

放送システムの構築から事業モデルの設計、送受信に必要な機器の設計製造までありとあらゆることに首をつっこみ、気がついたら自分が責任者になったりしながら、この帯域の一部を使った、自治体向けの防災行政無線の補完システムがカットオーバーするに至りました。これを使えば、「自治体職員が自ら、強力な放送波を使って市民の受信機を強制起動して、音声と文字で避難指示を的確かつ詳細に伝えることができる」というサービスです。総務省消防庁のお墨付きもいただきました。

そもそも企画畑の人間である私ですが、自分で作った手前、一番詳しい自分がまずは売るしかありません。日本中を飛び回り、自治体の防災担当者に会い、2011年3月11日に自分たちマスコミができなかったこと、このサービスがあればできることを説明して回りました。

結果的にこのサービスは、複雑な事情で販売を現在停止しているのですが、縮小する日本で、地方の維持のために低廉で柔軟なサービスを開発して貢献すること、そういったサービスを勇敢に取り入れようとしてくださる先進的な自治体を支援することが、日本全体を維持し、災害に強くしていくために必要だ、という思いに至りました。サービスの停止が決まったところで、私は次のキャリアに進むことになります。

GovTechという言葉と、株式会社WiseVineとの出会い。

ラジオ局でのキャリアの後半、ビザスク経由で知り合ったのが、WiseVineの代表、吉本さんでした。「自治体向けに営業している人に見てもらいたい新サービスがある」というので見せてもらったのが、日本中の自治体の「事務事業シート」(業務の内部評価みたいなもの)をひたすら収集分類したデータベースと、200万ページ近い全公共団体の予算資料のPDFデータをAIで解析したデータベースでした。狂ってる(いい意味で)。

地方、特に交通の便の悪い地域の自治体は、ごく限られた大企業以外はとてもじゃないけど直接往訪して民間企業は営業できないし、職員のみなさんも志は高くても、忙しすぎてイベントや展示会で情報収集することもままならない。結果、「しらないうちに入札がはじまっていて」「そのときには既存の仕組みを導入する前提で物事が進んでいて、提案が手遅れ」ということを何度となく経験していた私としては、夢のようなサービスでした。そんなものが世田谷の廃校跡につくられたコワーキングスペースの一角(当時のオフィス)で作られているとは。

これが2020年にWiseVineを含む各社から「官民連携プラットフォーム」という名前で乱立し始めるサービスをつくるための、日本にまだ存在しないオープンデータ基盤を力技で作った最初の一手であり、そのような取り組みを「GovTech/CivicTech」と海外では呼び、COVID-19でにわかに(やっと)脚光を浴びつつある、民の力で官の業務を改善する、オープンイノベーションの狼煙があがる現場だったのだ、という大局観を得たのは、もう少し後になってからのことですが、とりあえず私はラジオ局の退職手続きもままならないうちから、(いちおう会社の公式の許可を得て)、WiseVineの仕事を手伝いはじめることになります。結果、その後COOとなります。

JX通信社で「メディア」「AI」「地方」「自治体」「防災」がつながる。

WiseVineでの仕事は大変充実していたのですが、過去の記事にも書いたとおり、創業第1段階を終え、ここからはプラットフォームをスケールさせていく段階だな、と感じるに至り、主にカオス状態の0→1が得意な私は、1→10担当へバトンタッチすることを決め、非常勤に移行しました(いずれにせよ自治体への営業が得意な人間はほとんどベンチャー業界にいないし、放送とWebメディアで身につけたマーケティングも外注するとたいへん高コストなので、そこは引き続きお手伝いしています)。

さてどこに行こう、と思ったところでお声がけをいただいたのが、JX通信社でした。私はラジオ局出身なのでうっかりしらなかったのですが、この数年でJX通信社のAIソーシャルセンサ「FASTALERT」はほとんどのテレビ局/新聞社を席巻するに至っており、SNSから全国の事件・事故・災害の情報をキャッチして、いちはやく限られた人数で報道取材を行うためには、欠かせないツールとなっていました。この「FASTALERT」を自治体の防災にも役立てたい、ということで、私にお声がかかったのでした。しかも社長がわたしのいたラジオ局でレギュラー出演者やってる。何の因果なんでしょうか。

あれ?と振り返ると、いまやっている仕事は、「メディアの知見を生かして」「AIを駆使して低コストで」「限りある資源で縮小しつつある地方の」「自治体の志ある職員を支援するべく」「防災情報を提供し、人命を守る」という、3.11以降のわたしの立ててきたフラグを、全回収するものなのでした。人生って、そういうふうにできていますね。

というわけで、長くなりましたが、自己紹介でした。仕事のことばかりで自己紹介が終わるのはどうなんだろうと思いつつも、大学時代のテーマだった海外マンガ研究や、メディアと知的財産権に関することについては、機会があればまた書いてみようと思います。

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