「どこまで設計するか」 ジェルバゾーニ・BRICKのディティールから学ぶこと
ジェルバゾーニのBRICKというスツール。
著名なモデルが自宅で使用していることもあって数年前から人気のあるスツールなんですが、以前内装の設計をした伊豆高原のカフェ「白き」でも使用しています。
当初は自分で設計・製作した木製のテーブルを配置する予定だったけど、お店の雰囲気に合いそうだったので、BRICKを置かせてもらうことに。
存在感もあり、お店の顔になっています。
このジェルバゾーニのBRICK 。
ほんとによくできているプロダクトで、一見、木をカットしただけの何の変哲もない切り株ようなものに見えるものなんだけど、しっかりデザインされている。
手の加え方が絶妙なんです。
よく見ると切り株の上部と下部の角が面取りされている。
※【面取り】というのは切断部の角などが尖っていて危ないので斜めにカットすること。
この面取りがすごく大事で、これがあるかないかで全然見え方が変わってくる。特に下部は大きな面取りを施すことで影を生み出し、より木の立体感ができている。こういった少し手を加えてあげるだけで、野暮ったくなりがちな切り株が、プロダクトに昇華され品を纏って完成される。
よく考えられたデザインだと思います。
そんなジェルバゾーニのBRICKと同じ空間にあるのがこの丸太のベンチ。
この丸太のベンチはオリジナルで製作したものなのだけど、BRICKから感じた「どこまで手を加えるか」を意識してつくりました。
コンクリートで製作した台座に合わせて切り欠いた丸太。設計の痕跡を残すことで自然物としての野暮ったさを取り除き、プロダクトに昇華させることで、ミニマムな空間にも馴染むデザインとしました。
空間の設計でも同じで、どこまで手を加えるかという領域設定はすごく大事なこと。
ジェルバゾーニのBRICKを見てそんなことを考えたのでした。
カレーとお菓子
「白き」
〒413-0231 静岡県伊東市富戸1317−2904
水・木・金・土 / 10時-16時
https://www.instagram.com/shiroki328/
ジェルバゾーニのBRICKは代田にある「08book」さんで買うことができます。他にもセレクトされているプロダクトが素敵なお店です。
田邊渉 / WATARU TANABE
1987年広島県生まれ。2010年に京都精華大学デザイン学部建築学科を卒業後、2011年よりKMS(上海)に勤務。主に工場などのコンバージョン、商業建築、オフィスビルの設計を手がける。帰国後、2015年よりGENERAL DESIGN CO.,LTD.に勤務。住宅、ホテル、店舗の設計に携わり2019年よりWATARUTANABESTUDIOとして独立。