記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

物語のバランスを考える/映画『ラブストーリー』感想

映画『ラブストーリー』を観ました。以下、結末までのネタバレがあります。ご注意ください。







あらすじ
女子大生の主人公は、友人の想い人である先輩へのメールを代筆していた。母の旅行中、母の荷物の中から昔の日記と手紙が見つかる。
ジュナは、子供の頃に田舎で出会った少女、ジュヒのことが忘れられなかった。数年後、友人のテスの許嫁として、ジュヒに再会する。始めはテスの手紙の代筆という形で関わっていたジュナだったが、後に正式に再会した二人は惹かれ合い、テスに隠れて秘密の交際が始まる。良心の呵責に苛まれるなか、ついにテスにふたりの関係を告白。テスは二人を許し協力することになる。しかし、テスは父の怒りを買い、思い悩んだ末に自殺を図る。一命を取り留めたものの、友人を不幸にした責任を感じたジュナは、ジュヒの前から姿を消す。数年後、ジュヒは戦争に出兵していこうとするジュナとつかの間の再会を果たす。ジュナは生きて帰り、ジュヒと再会することができた。すでに結婚したのだと告げられたジュヒは、その後テスと結婚し子供を設ける。その数年後、テスは亡くなり、またジュナも亡くなった。結婚したと言うのは嘘であり、ジュヒとテスが結婚した後に結婚し、息子がいると聞かされる。
一方で主人公は、先輩に惹かれながらも友人に気遣い先輩を避けていた。しかし、先輩の想いに気づき、勇気を出して歩み寄る。交際することになった二人。デートの際に父と母、そして母の初恋について語ると、先輩は涙する。先輩の首には、主人公の母であるジュヒが、ジュナにあげたペンダントがあった。


公式のあらすじに、父とは違う名前の母の初恋の相手の手紙と日記が〜と書いてありますし、思えば序盤で日記を開く際、「〇〇?(今思えばジュナ)」と、主人公が知らない名前を見た反応をしているので、最初から知っていてもいいはずなのですが、私はそれに気が付かず、すっかりジュナとジュヒの子供が主人公なんだと思っていました。やはり、初恋は実らないというのがセオリーでしょうか。
先輩がジュナの息子というのも、個人的にはできすぎではと思いましたが、ロマンチックで運命的なのは確かです。『猟奇的な彼女』に続き、韓国人は運命が好きなんだなーと思いましたが、調べてみると、両者とも同じクァク・ジェヨン監督の作でした。ジュナとジュヒが雨宿りするシーンが、まさに猟奇的な彼女の中で『夕立』の再現として出てきたシーンそのままで、本当にキョヌの言うとおり、韓国人はこのシチュエーションが大好きなんだな!と思ったら、そういうことでした。

テスが立場を失って、どうにかなってしまいそうだという不吉な予感はあって、もしその理由がジュヒへの失恋と、ジュナへの失望だったらなんだか嫌だなと思っていました。思い出せませんが、そういう展開をどこかで見たのでしょうか。もしそうだったなら、人ってそんな理由で死ぬかな?と納得がいかなかったと思います。テスは二人を許して身を引き、協力までしました。しかし優しいがゆえに、父親の圧力に耐えられなかった。直接の原因が父親であることが、切実でつらかったです。それに比べると、親友と婚約者を裏切り、コソコソとラブラブしていたふたりはなかなか強かです。おそらく戦場での事故を理由に、国に戻ったジュナはジュヒを突き放しましたが、もしかれが何事もなく帰ってこられたら、また違う展開だったかもしれません。しかしここで二人が結ばれたら、やっぱりテスが浮かばれない。ど真ん中のヒロインポジションであったジュヒも、男性陣二人の早世によって残され悲しみにくれることとなります。そしてそれは、娘である主人公視点の物語の存在によって昇華されているようにも感じます。一方が幸せすぎたり、一方が不幸すぎることは、物語のバランスを欠き、納得度を下げます。そうすると、やはり二人が結ばれるのはあり得なかったのかも、などと考えました。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?