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紙の本を読むのが好きです。単行本が好きですが文庫で多数購入の誘惑に大抵負けます。。。“…

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紙の本を読むのが好きです。単行本が好きですが文庫で多数購入の誘惑に大抵負けます。。。“書きたい物を書きたい時に書く” 超・のんびりでいきます。

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アンティーク 神は細部に宿る

「すごい眺めだな」 高層階のマンションのリビングから見える景色は、遮るものもなく、外国らしい色彩と形状の建物を見下ろせた。 ハリケーンほどではないが強めの暴風雨のせいで昼間なのに薄暗く、時折強い雨風が窓ガラスを叩く音が聞こえた。 それもまた非日常感があって、異国にいる気分を盛り上げていた。 招かれたばかりだというのに、つい友人を放って窓に張り付くように立って外を眺めていた。 「いい加減こっちに来いよ」 亮介が人に命令するような物言いをするのは珍しかった。 振り返ると、右

    • 深海のコール

      陽光の下 海に沈む 光と闇の粒子が混じり合う ほの暗い水中から 揺れきらめく水面を しばらく見上げ さらに ゆっくりと 沈んでいく 慣れ親しんだ闇に包まれ 深く息を吐く 心が鎮まる 日常の些細な事 表層の想いを 薄皮をめくる様に取り去っていく 嘘偽りのない 飾りのない 体裁を整えない いびつで熱く 真っ赤な 心をかかえ  コールする ありのままの 飾らない 嘘偽りのない 素のままの 想いを 音色に乗せ   コールする 広大な深海に その音が届く範囲はあまり

      • うなじに接吻

        真っ暗な寝室にそっと入り、音がしないようにドアを閉めた。 暗い中を壁伝いに手探りでゆっくり進み自分のベッドに辿り着くと、そっと掛け布団を持ち上げその隙間に滑り込む。 横たわり、ほぅ、と息を深く吐き出した時、くっ付けている隣のベッドから低い小さな声が聞こえた。 「……今何時」 深夜2時前だったが、あまり遅いと文句を言うのでサバを読む。 「1時過ぎ」 「夜更かししてないで早く寝なよ」 「うん」 寝ようとしたらまた声を掛けられた。 「寝入りばなに部屋に入られると目が覚め

        • こんなに広い宇宙には

          連詩『こんなに広い宇宙には(後)』 もう1人の自分を見つめて思う 出会わなければよかったと もう1人の自分が こんな小さな星の中に 本当に存在していたなんて、と もう1人の自分のあふれる笑顔に 真っ暗だった日々は より黒く 隅々まで塗り潰されていく もう1人の私に 出会ってからというもの 変わらざるを得なかったのです 子供の頃から愛されて 大人になっても大切にされ 生きてきたもう1人の自分 誠実に生きているもう1人の自分が すでにこの星に存在しているのですから 不

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          ひとめぼれ

          エキナカで足が止まった 目が やわらかい橙色の大輪の花から離れない 吸い寄せられる様に花の元へ向かう この花が自室に在るのを想像して ともて やわらかな心地になった 咲き誇っている一輪を買い求め 大切に胸に抱え 家路につく 似合う花瓶を探し 一等席に置く その光景に 心が温かくなった 翌日 帰宅後すぐに花瓶の水を替え 茎を少し斜めに切った 一日でも長く 咲いて共に在って欲しかった 数日経つと 外側の花びらが枯れ始めた せめてもと 美しいところだけを 接写で撮

          ひとめぼれ