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#127 壮大な、あまりにも壮大な【書評】サピエンス全史 上

◾️はじめに

7月最後はこちら。サピエンス全史。の上巻。
何年か前の読書大好き芸人で紹介されて以来、
ずっと読みたかったけど、(ボリューム多くて)読めんのかな、と思ってた作品。

◾️要約

◆第一部 認知革命

・認知革命とは?
 脳で起こった革命。これにより脳が発達した。
・で、どうなった?
 ホモ・サピエンスは集団で虚構を信じることで最強の種になった。
 そして新たな大陸に到達することでそこでの巨大生物相を絶滅に追い込んだ。
 ホモ・サピエンスは(新たな大陸の環境に適応すべく)暖かい皮革など進化を遂げる一方、他の種には対応する時間もすべもなかった。

◆第二部 農業革命

・実は狩猟採集民より生活水準は劣るのに、なぜ農耕が広がった?
 人を多く養えたから。
・農業革命後、狩猟採集民に戻れなかったのはなぜ?
 人口は増えすぎて、(狩猟採集民の生活では)人口を維持できなくなるから。
・そうした社会は何で成り立っていた?
 想像上の秩序で成り立っていた
・想像上の秩序はどんな性質を持つ?
 ・物質的世界に埋め込まれている
 ・欲望を形作る
 ・共同主観的である
・だから?
 誰も(そこから)抜け出せないようになった。仮に一人が抜け出してもおかしなやつ、とみなされた。

・人の数が多くなった社会において何が生まれた?
 社会を維持するため尨大な量の情報を知っておく必要があったが人間の脳では不可能だった。
 シュメール人がそれを脳の外に出した。
 書記体系の発明。
 さらに数を生み出し世界中に広まった。
・支配するために何が必要だった?
 想像上の秩序による差別、ヒエラルキーが必要だった。
 文化的カテゴリーに基づきカテゴライズされ、その思想などに合致するものを自然としてみなされた。

◆第三部 人類の統一

・世界はどうなる?
 世界は貨幣、帝国、宗教で統一へ向かう。
・貨幣の特徴は?
 貨幣はその寛容性で広く受け入れられ、普遍的転換性と普遍的信頼性に基づき、もはやそれなしでは生活は成り立たなくなった。
・帝国とは?
 帝国は今のほとんどがその帝国主義の子孫であり、その影響は免れない。

ーーー下巻に続く。

◾️感想

マジでこの人無茶苦茶頭がいいと思う。
ただ、それもこの本の言葉を借りれば虚構なのか?
・・・いや確実に頭いいだろ。

父が娘に〜と同じく壮大なヒストリーを独自視点から切っていてとても面白い。

農業革命である日バチッと変わった、というわけじゃない。
とか。こういう説をぶち立てて、それが理路整然と説明されていくのがめちゃくちゃ面白いと感じます。

農業革命も革新というより必要性から生み出されたものであり、
人々が努力を積み重ね、その結果・・・生活は前よりしんどくなる。
これってなんかすごい真理。

そして想像上の秩序から逃れることができる人などいない。
それが社会である。

なんというか、、本物中の本物に出会った感じです。

◾️要約(詳細)

第一部

◆第1章 唯一生き延びた人類種

ホモ・サピエンスが唯一の人種として残っている。
人類は巨大な脳を共通で持っており、体はこのために大きな消耗を強いられる。
つまりいいことばかりではない。

この認知革命以降、サピエンスは一気に種の頂に駆け上った。
ただ脳が発達しただけで頂に登ったのではない。
それには虚構が必要だった。

◆第2章 虚構が協力を可能にした

サピエンスが主の頂点に立ったのは虚構のおかげ。
それがないと(通常の言語などでは)百五十人が協力できる限界。
それ以上は虚構、つまり宗教や企業など神話(物語、虚構)がないと集団で協力することができない。
サピエンスはそれができたため、他の種を滅ぼすことが可能であった。
百五十人のネアンデルタール人は千人を超して協力するサピエンスには敵わなかった。

◆第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし

狩猟採集の生活様式は認知革命以降、途方に暮れるほど多様であった。
生活集団は互いをごく親しく知っており、集団同士も協力することもあった。
集団は様々な土地に放浪し、現地に合わせた食生活を送った。
生き延びるために誰もが素晴らしい能力を持っている必要があり、現代人の脳より大きかったほどである。
そうした健康によく多様な食物、比較的短い労働時間、感染症の少なさから原初の豊かな社会とも言える。
ただ理想化はできない。厳しさもあった社会。
そして生活の全体像および具体的な出来事などは復元は不可能。
ただこれをもって重要なことは何もしなかったとは断定しがちだが、人類史7万年のうち6万年をそうするのは乱暴である。

◆第4章 史上最も危険な種

ホモ・サピエンスはオーストラリア大陸にわたる術を獲得していた。
そして人類の到達により大型の生物相は影響をうけ絶滅に。
人類が到達することによって生物相は減る。
それはオーストラリア大陸だけでなくアメリカ大陸でも起きた。
凄まじく早く二千年ほどでそれはなされ、適応する時間もなかった。
狩猟採集、農耕民、産業と3つの波で生物を絶滅させるホモ・サピエンスは
もっとも危険な種と言える。

第二部

◆第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇

農業革命は最大の詐欺。
実は狩猟採集民より生活水準は劣るのに、なぜ農耕が広がったか。
人を多く養えたから。
もう後戻りできなかった。
頑張って成功していいものに囲まれてさらにあくせく働く、現代人のそれと同じ。
一人ひとりの小さな改善が累積的に重なって、ホモ・サピエンスは小麦の奴隷(四六時中かまっていなくてはならなくなった)になった。
家畜化された動物は種の複製はできたが個々の牛をみればそれが幸せでないことは明らかだった。

◆第6章 神話による社会の拡大

農業革命後、人口を増やし共に生活していくことについて後戻りはできなかった。
そしてナワバリを区切り、我が家を持つようになった。
どんどん個人の空間が縮小する一方、彼らの時間は増えた。
その時間で先のことを考えるようになった。
狩猟採集民であれば考慮不要だった来年の収穫について。
そうした社会はすべて想像上の秩序で成り立っており、誰も抜け出せないようになった。
仮に一人が抜け出してもおかしなやつ、とみなされた。

◆第7章 書記体系の発明

人の数が多くなり、その社会を維持するため尨大な量の情報を知っておく必要があったが人間の脳では不可能だった。
シュメール人がそれを脳の外に出した。
書記体系の発明である。
だがそれは誰々、大麦、数字、といったものだった。
ホモ・サピエンスはそれを詩歌など何にでも応用できる完全な書記体系に発展させた。
それは様々な地域で紀元前3000-500年に起こった。
さらに数を生み出し、不完全な書記体系であるものの世界中に広まった。

◆第8章 想像上のヒエラルキーと差別

支配をするには想像上の秩序による差別、ヒエラルキーが必要だった。
それはあるところでは階級、あるところでは人種、によってヒエラルキーがつくられた。
そしてほとんどのところで男性は女性より、上に立った。
これは生物学的差異からではなく、文化的カテゴリーに基づくものだった。
その思想などに合致するものを自然としてみてきた。
それは良い状態で生まれればさらに富めるということだった。
だがこの1世紀で急激に変わってきており、なぜこうしたことが起きているのかは説明が難しい。

◆第9章 統一へ向かう世界

各地域で様々な文化が生まれて絶えず変化してきた。
であるのは確かだが、視点を千年単位で見ると世界は統一に向かっている。
もう存在を知らない土地とそこに住む人々はいなくなってきている。
全てが相互に影響し、メキシコのジャガイモもスペイン発祥のソースに合わせてアルゼンチンで食べられる。
そして紀元前千年頃に全世界を支配できる可能性のもつものが三つ生まれる。
貨幣、帝国、宗教である。

◆第10章 最強の征服者、貨幣

物々交換が限界を迎える中で交換、保存、持ち運びができるものが貨幣となった。
他の人がその価値を信頼していることでそれは成り立つ。
敵国であっても貨幣だけは信頼するという寛容さにより世界は金と銀という貨幣で統一に向かう。
たとえ自分の地域で価値がないとなっても、他の地域でそれが重要だとわかれば商人はそれを使って財をなし、やがてその価値は等しくなる。
普遍的転換性と普遍的信頼性に基づき、貨幣は人々に受け入れられ、もはやそれなしでは生活は成り立たなくなった。
時に人としてあるべき信頼や家族のコミュニティさえ壊す契機になりかねないくらいに。

◆第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン

帝国は基本的な構造やアイデンティティそのままに異国民異国領を飲み込むものである。
これは善と悪で二分し、帝国は悪だと決めつけるようなものではない。
なぜなら文化的な発展や民主主義などの考え方も帝国による産物であるためだ。
帝国は吸収した民族の文化を徐々に取り込み、帝国が崩壊する時にはその元の文化そのものは無くなっている。
つまり溶け込みすぎてもう取り出せなくなっている。
帝国によって彼らは我らになっていく。
現在の地球でも統一化の流れは続く。
温暖化など一つの国では対応することはできず、多くの民族が一つの目的に対して共通に立ち向かう必要がある。
これはまさに後期のローマ”帝国”の様相。

◾️アクション

(ビックヒストリーに触れて、何かアクションを、ってむずいな〜)
壮大な歴史の中のちっぽけな存在であることを思い、
謙虚に、
俯瞰で、
長期的思考で、
考える。ことを日頃からやっていく。

◾️ハッシュタグ

#MASA
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#ユヴァル・ノア・ハラリ
#虚構
#ホモ・サピエンス以外の種
#農業革命
#認知革命
#ビックヒストリー

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