「聞く」を回復する
おはようございます渡辺です。また新しい週のはじまりですね。今週もよろしくお願いいたします。
この週末、「聞く技術 聞いてもらう技術」- 東畑開人 を読みました。
著者の東畑さんは、臨床心理士の方でカウンセリングも実施されています。この本では、「聞く」の回復を目的に本論が進んでいきます。早速ですが、1日目「聞く技術 小手先編」からいきましょう。
聞く技術 小手先編
小手先というとアレですが、著者曰く
というわけで、「ちょっとやってみるか」となるような12の小手先が紹介されています。
12個もあるので、少しわかりづらそうなところだけ補足すると、先ずは「2.眉毛にしゃべらせよう」ですかね?これはつまり、分かりやすく反応をしようということです。
一生懸命話をしていても、聞いているか聞いてないのか分からないのは、話す気がうせますよね。その為にも反応しようという意味です。ただし、嘘はダメです。「3.正直でいよう」ですね。
あと、「8.気持ちと事実をセットに」は詳しく訊いて見るということ。気持ちを話していたら、「具体的に何があったの?」と事実を聞く。事実だけを話していたら、「どう、思ったの?」と気持ちを聞く。
例えば、「先週末旅行に行ったんだけど、生憎の天気で一歩もホテルから出られなかった」と言われると、「それは、残念」と反応してしまいそうですが、(反応してもよいかと思いますが)もしかしたら、逆に「ホテルですごくゆっくりとした豊かな時間を過ごせた」という続きがあるかもしれないということです。
またこの本では、逆説的ではありますが、小手先が使えるのは、余裕があるときで、余裕があるときは、小手先など使わなくても話を聞くことが出来るということです。そして話が聞けないのは、相手との関係が悪くなっているからということです。
こんな感じで、今週は「聞く」ということについて考えていきます。
それでは、今週もよろしくお願いいたします!
対象と環境
おはようございます渡辺です。雨降りのせいか、少し涼しいです。さて、「聞く」2日目は、対象と環境ということについて考えていきます。
ウィニコットという精神分析家の考えで、「対象としての母親」と「環境としての母親」の区別ということが述べられています。
「対象としての母親」とは、思い浮かべる母親(父親でもよいですが)の姿で、1人のひととして、思い出されるものになります。一方で、「環境としての母親」は見えないもので、電力のようなものです。スマホの充電がきれそうで、充電器につないで充電が始まったとして、「今日も電力が来てくれてありがたい」と思わないように、普段は気づかれないません。では、どんな時に気づかれるというと、失敗したときです。停電になって電気が使えない時に、「あれ?どうかしたかな」と思うように、いつも用意されているお弁当が用意されていない時に、気づかれる訳です。
同様に、「聞く」というものも普段は、それほど意識することがないかもしれません。それは、僕らがそれなりに、人の話を聞けているからです。なので、聞いていることを声にだして感謝されることもないですし、自分も意識もしていません。つまり「環境としての聞く」が機能しているわけです。
ただし、たまに上手くいかない時がある。そんなときに、「全然聞いてない」とか「まったくわかっていない」という声がある訳です。電力でいうところの停電です。いわば停聞です。そんな時は、いち早く電力を回復した方がいいように、いち早く「聞く」を回復した方がよいのですが、人間なのでそう簡単にはいかないこともあるでしょう。著者はこのように表現していました。
それでは、本日もよろしくお願いいたします!
孤立と孤独
おはようございます渡辺です。良い天気ですねー。さて、「聞く」3日目は、孤立と孤独ということについて考えていきます。
孤立と孤独。使い分けしていますでしょうか?ちなみに、
とのことです。「独りで立っている」のか「独りぼっちで、独り」なのか。著者は、以下のように使い分けているそうです。
孤独の前提には、安定した現実があり、現実が不安定で厳しい状況のときに、人は孤立に追い込まれやすくなるという訳です。僕の場合、週末はたいてい孤独な時間を過ごすことが多く、逆にその時間をとても大切にしているのですが、それはすごく恵まれているからこその事なんだということに気づきました。
また、「ハウジングファースト」という考えかたを紹介します。ホームレス支援の世界で拡がっている考え方で、まずは家を提供する。それから働く。というモデルです。ちゃんと働けるようになったら、個室が手に入るというモデルよりも、ハウジングファーストの方が、結果的に働くことへの障壁が下がるというものです。
先日、研修で『「信頼されたいなら結果を出せ」のジレンマ』というお話があったのですが、ダニエル・キムの成功循環モデルといわれるもので、「関係の質を整える」(環境を整える)ことが結果として、成功につながるというものです。
われわれが、話を聞けなくなるのは孤立しているからであり、孤立を防ぐためには、誰かに話を聞いてもらう事が必要。そうすることで初めて、聞くことができるようになる。
というわけで、明日は「聞いてもらう技術 小手先編」に行こうと思います。それでは、本日もよろしくお願いいたします!
聞いてもらう技術 小手先編
おはようございます渡辺です。
さて、「聞く」4日目は、「聞いてもらう技術 小手先編」です。
昨日の最後を振り返ると、話を聞けなくなるのは、聞いてもらえない時なので、先ずは聞いてもらいましょう。ということで、「聞いてもらう技術」です。決して、うまくしゃべる技術ではない「ちょっとやってみるか」となるような12の小手先を紹介します。
まず、日常編から補足すると、つまりは「隣の席に座ろう」です。2~7はその派生形みたいなものです。電車の座席とかもそうですが、我々とかく人と離れたところに座りがちですが、思い切って人の隣に座ってみる。顔なじみでも、ちょっと気になる人でも。まずは、隣にいるだけでも、何かをきっかけに会話が始まるからです。
続いて、緊急事態編の方になります。「ちょっと聞いて」と言える相手がいるというのは、すごくいいことです。しかしながら、その「ちょっと聞いて」が言えない僕らにとって、「なにかあった?」と聞いてもらう小手先がこの緊急事態編です。
簡単に云うと、いつもと少し様子が違うぞというのを、きちんと発信しようということですね。こんなことすると、
「かまってちゃんと思われてしまうかも・・」
と不安になってしまうこともあるかもしれませんが、緊急事態なので、大事に至る前に誰かに話を聞いてもらった方が良い。その為の技術です。
そして、身の回りでこのような兆候が見えたら、「なにかあった?」と声をかけてみること。それにより、「聞く」と「聞いてもらう」が循環するようになっていくわけですね。
それでは、本日もよろしくお願いいたします!
毒にも薬にもなる「ふつう」
おはようございます渡辺です。昨晩、何気なくYoutubeでおススメされたミシェルガンエレファントの98年のフジロックを観たのですが、ふてぶてしさと、粗雑さが、これぞロックンロールだと思いました。
さて、「聞く」最終日は、毒にも薬にもなる「ふつう」ということについて考えてみようと思います。
僕は「ふつう」という言葉が余り好きでは無いのですが、血気盛んな20代の頃に2つ上の先輩に口癖のように「ふつう」という方がいて、何かにつけてぶつかってました。僕も若かったというのと、先輩ながら同い年ということで僕も多少なりとも甘えがあったんだと思いますが、若気の至りです。お会いすることがあれば、一度お詫び申し上げたい。
「ふつう」というのは、その人の世界における「ふつう」であって、いわゆる「常識」にも近いかんじですかね。
この「ふつう」を語るに当たり、哲学者カントが「世間知」と呼んだものがでてくるのですが、これは、市井の人の智慧つまり、ローカルに共有された知を指します。
そして、「ふつう」が毒になる場合、それは世間知が排除や否定のために使われるときです。「ふつう、それくらい働いても問題ない」「月80時間残業とか、ふつうでしょ」などですね。ここでは、その人の背景や状況は排除されてしまい、世間知をある種強要するような形になっています。僕が新卒の時とかこんな感じでしたね。定時に帰ろうとものなら、「半休ですか?」とか冗談にもとれないようなことを言われたりしてました。
一方で、薬になる「ふつう」です。これは、包摂と肯定のために使われるときです。「ふつうそれくらい働いていたら、倒れるよ」コンスタントに80時間以上残業するの環境になれきっていた時に、その人の大変さや頑張りを肯定する形で働きました。
「聞く」というのは、自分の「ふつう」は相手の「ふつう」ではないかもしれないと発見することから始まるかもしれません。他人を理解するのは容易いことではないですが、違う「ふつう」があるかもということで、理解を深めてみようというのが「聞く」の連鎖の一歩目になりそうです。
そういう意味では、「聞いてもらう」も、自分の「ふつう」は相手の「ふつう」ではないかもしれないと発見することから始まるかもしれません。
自分では「ふつう」と思っていることなんだけど、これってあなたにとっても「ふつう」のことなのかな?
ちょっと漏らしてみる。そんな「聞いてもらう」体験をすることで、誰かの話を「聞く」ことができる余裕が少しでもうまれてくるかもしれませんね。
それでは、今週もあと1日。本日もよろしくお願いいたします!
(2023.05.22-05.26)
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