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ミナリアとレオノーア:強い呪い【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(48/50)

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第十章 ミナリアとレオノーア
第三話 強い呪い

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、全ての封印が解かれた事で、呪いが全世界に向かって広がり始めた。

「これは危険すぎるな」
 老剣士のマルシアルは、昔は魔王軍の先兵と闘う猛者だ。彼から見ても街の惨状は予想できない。樹木が宝石化していた、野良犬も宝石に変化している。生き物を宝石に変化させる呪いは、無機物である建物もゆっくりとだが美しく光るクリスタルに変えていた。

「ここまで強い呪いなら洞窟に入ることすら難しい……」
 老剣士のマルシアルは、大事そうにダイヤを御守り代わりに持っている。私も呪いに対抗できるのか、近くに居るだけでみんなが宝石化しない。

「洞窟までどれくらいだ?」
「歩いても数時間でつきます」
 銃使いのオスカーが質問する。軽いお手伝いの仕事を頼まれた時に見つけた洞窟だ、街からそれほどは離れていない。街から出ると別世界のようにクリスタルと宝石で埋め尽くされた景色が広がる。歩くだけで大変だが、オスカーは障害物を宝石銃で、どんどん破壊した。

「弾になる宝石がいくらでもあるからな」
 宝石の塊を銃の上の金属台に乗せて打ちまくる。台所から借りた漏斗ろうとを加工して利用する。無くなれば宝石を拾って置くだけだ。

「普段は宝石を加工するんだが今は応急だな」
 ケタ違いの魔法力で道が出来る、障害物もなくなり直線で洞窟に進む事ができた。そして懐かしいレオノーラが住む洞窟に到着する。

「ど……どんな化け物が居るんですか? 」
「骸骨くらいだけど……」
 赤の洞窟で一緒になったカルリト少年が怖そうにつぶやくが、凶悪なモンスターは居ない、中に入ると呪われて宝石化する洞窟なだけで、本来ならば人を入れてはいけない。老剣士が剣を抜く。

「俺が盾になる、十分に生きた、指示してくれ」
「彼女とまずお話します、あわてないでください……」
 老剣士のマルシアルが意気揚々と叫ぶ。どうやら私が命令を出す役らしいが、経験もない。私は彼をなだめて先頭に立つと一本道だけどぐねぐねと曲がる洞窟を歩く、周囲は美しい宝石で輝く。

 奥にある大きな洞窟に到着すると、少女が立っていた。漆黒の美しい髪、少女の顔は泣きそうだった。レオノーラが叫ぶ。

「ミナリア、助けて! 」
 彼女は、体の下半分が宝石化していた。呪いの封印が消えて全てをクリスタルに変化させ始めていた。


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