助けを求めて (11/15)【橙狐は見た】
あらすじ
氷室愛優は、玲子の妹で憑依体質を持つ。危険な式神を二体を封印した彼女を橙狐が見守る。深大寺真がクラスを乗っ取る。
私は逃げる事しかできない。愛優を助けるだけの力がない。教室を飛び出すと空を飛んで神社に向かった。神社に居る美成に助けを求める。
神社の結界に入ると一息ついた。自分のふがいなさに悲しくなる。式神なのに悲しく感じるのは不思議だが、彼女を守れない事で心が痛い。
巫女を探して屋内を探すが居ない。私は裏に回ると彼女がいた。いつものジーパンとTシャツ姿は、バイトの女の子に見える。
「美成さん、愛優ちゃんが大変です」
「鬼が来てるわね……」
ゆっくりとふりむくと彼女の瞳孔がせばまる。まるで猫の目のように光輝く。彼女の目は特殊で、普通の人間の瞳とは異なる。生来から持っている力だ。
「厄介な相手ね、黄泉から来てる……」
なんらかの理由で死後の世界から鬼を呼び寄せていた。このままでは町の住人が人形にされてしまう。私は巫女の美成にたずねてみる。
「なんでそんな事を?」
「理由は後よ、私の部下を連れてきて!」
私を氷室玲子と天之宮武雄を呼びに行くように、私のお尻を文字通りに叩いた。私を作った人から言われたら動くしかない。いそいで高校に向かって飛んでいく。
空を飛びながら小学校の方を見ると、赤黒い雲が見えた。愛優ちゃんが捕まって異変が始まっていた。
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